EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人 会計情報トピックス
加藤 圭介、鈴木 真策、村田 貴広
この2019年6月第1四半期においては、実務対応報告18号の改正(2018年改正、2019年改正)、企業結合会計基準等が原則適用となります。また、収益認識会計基準、開示府令の改正を早期適用することができます。
本稿では、これらの会計基準等のうち、実務上適用するにあたって論点となることが多いと思われるものについて、基本的な取扱いを含め、2019年6月第1四半期決算での留意事項をQ&A方式で解説します。
Q1 2018年改正の実務対応報告18号等の改正の概要
Q2 2019年改正の実務対応報告18号等の概要
Q3 IFRS第16号及びTopic842の概要
Q4 決算期が相違している在外子会社等のIFRS第16号の適用時期
Q5 四半期連結財務諸表における表示
Q6 IFRSや米国会計基準の改訂が行われたときの会計処理・開示上の取扱い
Q7 開示府令改正の概要
Q8 開示府令の改正の早期適用
Q9 企業結合会計基準の改正の概要
Q10 収益認識会計基準の早期適用
なお、本稿の本文において、会計基準等の略称は以下を用いています。
正式名称 |
本文中の略称 |
---|---|
企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」 |
四半期会計基準 |
企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」 |
リース取引会計基準 |
企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」 |
企業結合会計基準 |
企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」 |
連結会計基準 |
企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」 |
収益認識会計基準 |
実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」 |
実務対応報告18号 |
実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」及び実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」 |
実務対応報告18号等 |
「企業内容等の開示に関する内閣府令」 |
開示府令 |
国際財務報告基準 |
IFRS |
国際財務報告基準第16号「リース」 |
IFRS第16号 |
米国会計基準基準更新書第2016-02号「リース(ASC Topic842)」 |
Topic842 |
国際財務報告基準第16号「リース」及び米国会計基準基準更新書第2016-02号「リース(Topic842)」 |
IFRS第16号等 |
連結財務諸表を作成する場合、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計方針は原則として統一するとされています(連結会計基準17項)。
ただし、在外子会社の財務諸表がIFRS又は米国会計基準に準拠して作成されている場合、当面の間、それらを連結決算手続上利用することができるものとするとされています。この場合であっても、のれんの償却など5項目については、当該修正額に重要性が乏しい場合を除き、連結決算手続上、当期純利益が適切に計上されるよう当該在外子会社等の会計処理を修正しなければならないとされています(実務対応報告18号 当面の取扱い)。これは当該項目のIFRS又は米国会計基準に準拠した会計処理が、我が国の会計基準に共通する考え方と乖離(かいり)するものであり、一般に当該差異に重要性があるため、修正なしに連結財務諸表に反映することは合理的でなく、その修正に実務上の支障は少ないと考えられたことによるものです(実務対応報告18号 本実務対応報告の考え方)
なお、実務対応報告18号で示される「修正5項目」以外についても、「明らかに合理的でないと認められる場合」には、連結決算手続上で修正を行う必要があることに留意するとされています(実務対応報告18号 当面の取扱い)。
在外子会社等においてIFRS第9号を適用し、資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合、売却損益及び減損損失の累計額は、その他の包括利益に表示され、純損益への組替調整は行われません。このため、今回の改正において、これらの組替調整を修正項目として追加することとされています<図表1参照>。また、持分法適用関連会社において実務対応報告第18号に準じて処理を行う場合にも、当該修正を行うことになります。
なお、本改正は2019年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から原則適用となっています。
図表1 2018年改正により追加された修正項目
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
(※1)売却時又は減損時に、累積されたOCIを当期の損益に計上すること |
すべてのリースについて資産及び負債を認識するIFRS第16号が2019年1月1日以後開始する事業年度の期首から適用され(Topic842は2018年12月15日より後に開始する年度の期首から(非公開企業では2019年12月15日より後に開始する年度の期末から(四半期決算はその翌年度の第1四半期から)))、3月決算会社では2019年6月の第1四半期より在外子会社等でIFRS第16号等の適用が開始されることから、実務対応報告18号においてIFRS第16号等について、修正国際会計基準における評価を踏まえて修正項目として追加することが適当か否かの検討が行われました。
この点、IFRS第16号のすべてのリースについて資産及び負債を認識する処理及び費用処理(利息処理)については、改正修正国際基準の「公表にあたって」において、「我が国における企業評価の実務において、オペレーティング・リースを企業が借入金等で資金を調達して設備投資することと経済的な実態に違いはないと捉えて財務情報の調整を行っている例が見られるため、IFRS第16号の費用認識モデルの論拠のようにオペレーティング・リースを資金提供を含む取引として捉えて費用認識することには相応の有用性が認められると考えられる」と評価しています。実務対応報告18号の改正の審議においては、上記の修正国際基準の評価を参考に、IFRS第16号等に基づく会計処理の考え方が、我が国の会計基準に共通する考え方と乖離するか否かについて検討が行われた結果、IFRS第16号等における会計処理を修正項目としないことを内容とする実務対応報告18号の改正が2019年6月28日に公表され、同日以後適用されています。
したがって、実務対応報告18号の「当面の取扱い」を適用し、在外子会社がIFRS又は米国会計基準に準拠して会計処理を行った財務諸表を連結決算手続上で取り込んでいる場合、IFRS第16号等のリース取引を「日本基準」(リース取引会計基準)に修正することなく、オンバランスされた在外子会社のリース取引が親会社の連結財務諸表に取り込まれることになります。
IFRS第16号は、2019年に開始する事業年度から適用される新しい基準です。
従来のリース基準における借手は、リースをファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分していましたが、IFRS第16号ではこの区分がなくなり、基本的には、すべてのリースを貸借対照表に認識するようになります。したがって、IFRS第16号を適用すると、賃借不動産、車両、社宅などに関して、資産や負債が認識されることになる可能性があります。
この際に借手は、リース料の支払義務である「リース負債」と、リース期間にわたって原資産を使用する権利である「使用権資産」を認識します。
「リース負債」は、リース期間にわたって支払われるリース料総額の割引現在価値に基づいて測定します。「使用権資産」は、リース負債に前払リース料、リース・インセンティブ、当初直接コスト、および原状回復の見積コストを調整した金額により測定します。したがって、IFRS第16号の適用によって、貸借対照表の資産及び負債が増加することになります。
一方で、利息の計上に伴ってリース負債を増額し、リース料の支払に伴ってリース負債を減額します。また、使用権資産は、IAS第16号「有形固定資産」に従って減価償却を行います。リース負債の認識に伴う支払利息が発生することにより、借手のリースに係る費用は、リース負債の残高の多いリース期間の初期においてより多く生じることになります。これにより、IFRS第16号ではリース費用がリース期間において前加重になるといわれます(図表2参照)。
また、この基準書を適用する際には、いくつかの移行措置が認められています。おおまかに区分すると、リースを契約した時まで遡(さかのぼ)って会計処理をする完全遡及適用アプローチと、適用した期の期首時点の情報を用いて会計処理をする修正遡及適用アプローチが認められています。
図表2 IFRS第16号「リース」の変更イメージ
Topic842は、米国財務会計基準審議会(FASB)が公表した新たなリース会計基準で、米国の公開企業は2018年12月15日より後に開始する事業年度及びその四半期決算より、米国の非公開企業は2019年12月15日より後に開始する事業年度の年度末及び四半期決算はその翌年度(2020年12月15日より後に開始する事業年度の四半期決算)から本基準を適用します。いずれの企業であっても、本基準を早期適用することが可能です。
Topic842における借手の会計処理に関して、IFRS第16号と同様に、基本的にすべてのリースについて「リース負債」と「使用権資産」を貸借対照表に認識することになります。なお、IFRS第16号とは異なり、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分は維持されます。
Topic842におけるファイナンス・リースについては、基本的にIFRS第16号と同様の会計処理となります。オペレーティング・リースについては、リース開始日のリース負債と使用権資産の測定はファイナンス・リースと同様となりますが、リース開始日後は、毎期末同じ割引率を用いて未払リース料の現在価値でリース負債を測定し、使用権資産は、リース期間を通してその時点でのリース負債に前払又は未払のリース料、受領したリース・インセンティブの残存金額、未償却の初期直接費用、使用権資産の減損金額を加減して測定します。なお、それぞれの費用認識の方法及びタイミングは従前の基準(Topic840)と変更はありません。つまり、ファイナンス・リースでは減価償却費と金利費用を別々に認識し、オペレーティング・リースではリース費用のみを認識することになります(図表3参照)。
本基準適用に際しては、IFRS第16号と同様に、いくつかの経過措置が認められています。原則として修正遡及アプローチにより、適用初年度の比較年度として表示されるすべての会計期間に遡って適用することが求められますが、Topic842の発効日を適用開始日とする緩和措置を選択することも可能です。緩和措置を選択した場合は、適用初年度の比較情報については修正再表示を行わず、移行に伴う累積的影響を適用開始日に認識することになります。
図表3 Topic842「リース」の変更イメージ
在外子会社の個別決算上はIFRS第16号の適用時期の定めに従い、2019年12月期の期首からIFRS第16号を適用することになります。12月末決算の在外子会社の決算を基本的にそのまま取り込んでいる場合、2019年12月期の期首からIFRS第16号が原則適用となった当該子会社の決算を連結決算に取り込む形となるため、親会社の連結財務諸表においては、2020年3月期の第1四半期から、在外子会社でIFRS第16号が適用された財務諸表を取り込むことになります。
(1)のとおり、在外子会社の個別決算上はIFRS第16号の適用時期の定めに従い、2019年12月期の期首からIFRS第16号を適用することになります。ただし、連結決算日は親会社の会計期間を基礎として決定されることから(連結会計基準15項)、会計基準の適用も親会社の連結会計年度ベースで決定されると考えられます。このため、12月決算会社を連結決算日に仮決算を行って取り込んでいる場合、親会社の連結財務諸表の観点からは、2019年1月1日以後開始する連結会計年度、すなわち、2020年3月期の期首からIFRS第16号を原則適用することになると考えられます。したがって、連結決算日に仮決算を行って取り込んでいる場合でも連結財務諸表においてIFRS第16号が適用されるのは、2020年3月期の第1四半期決算からとなります。
IFRS第16号等では、借手のリース取引において「使用権資産」や「リース負債」などの新たな表示科目が使われます。実務対応報告18号は会計処理を定めるものであり、連結財務諸表の表示、注記は原則として連結会計基準や連結財務諸表規則等に従うとされていますが(実務対応報告公開草案第44号『連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い(案)』に対するコメント コメント対応(2))、我が国における会計基準や開示規則上、連結子会社等がIFRS第16号等を適用したときの表示に関する明文の規定はありません。したがって、基本的には各企業において、従来の表示方法との整合性や重要性等を踏まえ、適切な表示方法を検討する必要があると考えられます。
なお、四半期連結貸借対照表における「使用権資産」の表示については、以下の方法が考えられます。
実務対応報告18号等の当面の取扱いを適用し、IFRSや米国会計基準により作成された連結子会社及び持分法適用会社(以下、これらを合わせて「連結子会社等」という。)の財務諸表を基礎に連結財務諸表を作成している場合において、連結子会社等の財務諸表が適用しているIFRSや米国会計基準の改訂が行われたときには、連結財務諸表においても会計方針の変更として取り扱われ、重要性に応じて会計方針の変更の注記の要否を検討する必要があります。
したがって、連結子会社等におけるIFRS第16号又はTopic842の適用による影響が連結財務諸表上も重要性がある場合には、四半期連結財務諸表において会計基準等の改正等による会計方針の変更に準じて、当該会計基準等の名称、当該会計方針の変更の内容、税金等調整前四半期純損益金額に対する前連結会計年度の対応する四半期連結累計期間における影響額及びその他の重要な項目に対する影響額、経過措置を適用した場合、その旨及び当該経過的な取扱いの概要、将来に影響を及ぼす可能性がある場合にはその旨、影響額を記載することに留意が必要です。
なお、すでにIFRS第16号等が適用されている連結子会社等の連結財務諸表を利用しているケースとして、12月決算会社の第1四半期連結財務諸表では以下のような記載がなされています。
2019年1月31日に、開示府令の改正が公布、施行されています。2018年6月に公表された金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告における「財務情報及び記述情報の充実」等に関する提言を踏まえて、金融商品取引法に基づく開示書類の記載内容の改正が行われました。このうち四半期報告書に係る改正については2020年6月第1四半期の四半期報告書から原則適用されますが、2019年6月第1四半期の四半期報告書から早期適用した場合には、記載内容について以下のような改正が行われます。
改正前の規定では、経営成績等の状況の異常な変動等の投資者の判断に「重要な影響を及ぼす可能性のある事項」が発生した場合にその内容の記載が求められましたが、改正後の規定では、経営者が経営成績等の状況に「重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク」が発生した場合にその内容等の記載が求められることになります。
重要事象等(提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象)が存在する場合にはその旨及びその具体的な内容の記載に加え、当該重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策の記載が求められることになります。また、記載箇所についても、改正前の「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」から、「事業等のリスク」に変更されます。
前期の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、当四半期累計期間に重要な変更があった場合には、その旨及び具体的な内容の記載が求められることになります。
改正前の規定では、当四半期累計期間に財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めている会社については、会社法施行規則118項3号に掲げる事項の記載が求められていましたが、改正後の規定では基本方針を新たに定めた場合にのみ当該記載が要求され、前期から基本方針を定めている会社については重要な変更があった場合にその内容の記載が求められることになります。
開示府令上、2019年6月第1四半期の四半期報告書からの早期適用について、前期(2019年3月期)の有価証券報告書において早期適用をしているか否かを要件とする旨の規定はありません。
このため、前期の有価証券報告書において早期適用をしていない項目について、2019年6月第1四半期の四半期報告書から早期適用をすることはできます。適用時期については、項目ごとに選択することができるものと考えられますが、対処すべき課題等と財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(開示府令第四号の三様式(記載上の注意)(8)a(c))の規定は、同時に適用しなければならないと考えられます。また、重要事象等(開示府令第四号の三様式(記載上の注意)(7)b)と経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(開示府令第四号の三様式(記載上の注意)(7)a)の規定は、同時に適用しなければならないと考えられます。
一方、前期の有価証券報告書で改正後の開示府令を早期適用している項目については、四半期報告書が前期の有価証券報告書の記載を前提とするものであることから、2019年6月第1四半期の四半期報告書においても早期適用をするものと考えられます。
なお、改正後の開示府令の規定を当事業年度に係る四半期報告書から適用する場合には、その旨を記載することが考えられます(FASF「四半期報告書の作成要領」)。
2019年1月16日に、企業会計基準委員会(ASBJ)より改正された企業結合会計基準が公表されました。従来、企業結合に関して、将来の業績に依存して追加で対価を支払う場合の会計処理は企業結合会計基準で明確化されていましたが、逆に将来の業績に依存して対価が返還される場合の取扱いが明確にされていませんでした。今回の改正により、企業結合契約において定められるものであって、企業結合契約締結後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して、企業結合日後に追加的に交付される若しくは引き渡される又は返還される取得対価が、条件付取得対価(企業結合会計基準(注2))と定義され、対価が返還される条件付取得対価の会計処理が明確化されました。
対価が返還される条件付取得対価の会計処理は、対価の交付を行う場合と同様の会計処理とされています。すなわち、条件付取得対価が企業結合契約締結後の将来の業績に依存する場合において、対価の一部が返還されるときには、条件付取得対価の返還が確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、返還される対価の金額を取得原価から減額するとともに、のれんを減額する又は負ののれんを追加的に認識することとされています(企業結合会計基準27項(1))。また、追加的に認識する又は減額するのれん又は負ののれんは、企業結合日時点で認識又は減額されたものと仮定して計算し、追加認識又は減額する事業年度以前に対応する償却額及び減損損失額は損益として処理することとされています(企業結合会計基準(注4))。
上記のとおり、対価の返還が確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で会計処理を行うこととなりますので、会計処理を行うタイミングは対価の交付又は引渡しを行う条件付取得対価の場合と同様となります。
収益認識会計基準は2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からの原則適用となりますが、2019年4月1日以後開始年度からの早期適用も認められています。2020年3月期の期首から早期適用する上場企業における最初の開示は2019年6月第1四半期となりますが、この場合の主な留意点は以下のとおりです。
収益認識会計基準の適用初年度においては、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用するのが原則的な方法です。ただし、適用初年度の累積的影響額を適用初年度の当期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することができるとする経過措置が定められています(収益認識会計基準84項)。これらの取扱いについては図表4をご参照ください。
図表4 収益認識会計基準の適用初年度の取扱い
(2019年6月第1四半期から適用する場合)
なお、原則的な取扱いによる場合において、適用初年度の前期の期首までにほとんどすべての収益の額を認識した契約や適用初年度の前期内に開始して終了した契約について前期の四半期財務諸表等を遡及的に修正しないことを認める等の例外的な定めが設けられています(収益認識会計基準85項)。また、経過措置(収益認識会計基準84項ただし書き)による場合も、適用初年度の期首より前までに、従前の取扱いに従ってほとんどすべての収益の額を認識した契約について新たな会計方針を遡及適用しない定めや契約変更に関する例外的な取扱いが定められています(収益認識会計基準86項)。
収益認識会計基準においては、契約資産と債権を適切な科目で貸借対照表に表示又は残高の注記をすることとされていますが(収益認識会計基準79項)、収益認識会計基準を早期適用する場合には、年度で早期適用する場合と同様に、四半期(連結)貸借対照表上、契約資産と債権を区分表示せず、かつ、それぞれの残高を注記しないことができます(収益認識会計基準88項)。また、四半期(連結)損益計算書上、我が国の実務において現在用いられている売上高、売上収益、営業収益等の科目を継続して用いることができます(収益認識会計基準155項)。
収益認識会計基準の適用は会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当するため、四半期会計基準10-2項に従い図表5のような注記が必要となります。
図表5 会計方針の変更の注記例
(当四半期から収益認識会計基準を早期適用した場合)
|
|||
---|---|---|---|
|
|||
|
|||
|
|||
|
|||