「時価の算定に関する会計基準」等の公表に伴う会社計算規則の改正のポイント

公認会計士 加藤圭介

2020年3月31日に公布・施行

法務省令第27号「会社計算規則の一部を改正する省令」が2020年3月31日に公布され、同日付けで施行されています。企業会計基準委員会(ASBJ)により、2019年7月4日に企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」等が公表され、これを受けて2020年3月6日に「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」が公布されていますが、今般、これらを受けて会社計算規則について所要の改正を行うものです。


1. 改正される規則

会社計算規則(平成18年法務省令第13号)

2. 改正の内容

金融商品に関する注記として表示すべき事項に「金融商品の時価の適切な区分ごとの内訳等に関する事項」を追加するものです(第109条第1項第3号)。

ただし、事業年度末において大会社であって有価証券報告書を提出しなければならない会社(会社法第444条第3項に規定する株式会社)以外の会社は、当該注記を省略することができるとされています(第109条柱書ただし書き)。

なお、「金融商品の時価の適切な区分ごとの内訳等に関する事項」については、実務上の負担等も考慮し、各株式会社の実情に応じて必要な限度での開示を可能とするために、改正前の第109項第1項及び第2項と同様に、金融商品の時価等の開示に関する適用指針(以下「金融商品時価等開示適用指針」)における定めとは異なり、概括的に定めることとされています。したがって、金融商品時価等開示適用指針において「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」として注記を求められる事項であったとしても、各株式会社の実情を踏まえ、計算書類においては注記を要しないと合理的に判断される項目については、注記をしないことも許容されるとされています(「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について」第3の4)。

3. 適用時期(附則第1条)

改正後の会社計算規則は公布の日(2020年3月31日)から施行されています。

4. 経過措置(附則第2条)

改正後の会社計算規則の規定は、2021年4月1日以後に開始する事業年度に係る計算書類及び連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例によります。

ただし、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係るものについては、改正後の会社計算規則の規定を適用することができます。

5. 公開草案からの変更点

公開草案からの変更点はありません。


なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。


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