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公認会計士 髙平圭
内閣府令第61号「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等(以下「本改正」という。)が、2021年9月24日に公布されています。
本改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した改正企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(2021年6月17日公表)を踏まえ、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「財務諸表等規則」という。)等について所要の改正を行うものです。
また、ASBJが公表した以下の会計基準を、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第1条第3項及び財務諸表等規則第1条第3項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とするとされています。
1. 貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体への出資に関する注記の新設(財務諸表等規則第8条の6の2第3項、連結財務諸表規則第15条の5の2第3項、中間財務諸表等規則第5条の3の2、中間連結財務諸表規則第15条の2、四半期財務諸表等規則第8条の2第6項、四半期連結財務諸表規則第15条の2第6項)
財務諸表等規則第8条の6の2第1項本文の規定にかかわらず、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)への出資については、財務諸表等規則第8条の6の2第1項第2号に掲げる事項(金融商品の時価等に関する事項)の記載を要しないとされています。この場合には、その旨及び当該出資の貸借対照表計上額を注記しなければならないとされています。
2. 投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合の注記の新設(財務諸表等規則第8条の6の2第4項及び第5項、連結財務諸表規則第15条の5の2第4項及び第5項、中間財務諸表等規則第5条の3の2、中間連結財務諸表規則第15条の2、四半期財務諸表等規則第8条の2第7項及び第8項、四半期連結財務諸表規則第15条の2第7項及び第8項)
投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、財務諸表等規則第8条の6の2第1項第2号に掲げる事項の記載については、当該投資信託等が含まれている旨を注記しなければならないとされています(当該投資信託等の貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)。
また、財務諸表等規則第8条の6の2第1項本文の規定にかかわらず、投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、同項第3号に掲げる事項(金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項)の記載を要しないとされています。この場合には、次に掲げる事項を注記しなければならないとされています。
(1)第1項第3号に掲げる事項を注記していない旨
(2)当該投資信託等の貸借対照表計上額
(3)当該投資信託等の期首残高から期末残高への調整表(当該投資信託等の貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く。)
(4)貸借対照表日における解約又は買戻請求に関する制限の内容ごとの内訳(投資信託等について、運用することを目的としている場合に限り、その貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く。)
3. 財務諸表等規則第8条の6の2第4項に規定する「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合」の取扱いに関する留意事項(財務諸表等規則ガイドライン8の6の2-4、連結財務諸表規則ガイドライン15の5の2、中間財務諸表等規則ガイドライン5の3の2、中間連結財務諸表規則ガイドライン15の2、四半期財務諸表等規則ガイドライン8の2、四半期連結財務諸表規則ガイドライン15の2)
財務諸表等規則第8条の6の2第4項に規定する「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合」とは、投資信託等について、市場価格が存在せず、かつ、解約又は買戻請求(以下「解約等」という。)に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限があるときであって、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合をいい、信託財産又は資産を主として金融商品に対する投資として運用することを目的とする投資信託等については、次のいずれかに該当する必要があるとされています。
(1)当該投資信託等の財務諸表が国際会計基準又は米国会計基準に従い作成されている場合
(2)当該投資信託等の財務諸表が国際会計基準及び米国会計基準以外の会計基準に従い作成され、当該会計基準における時価の算定に関する定めが国際会計基準又は米国会計基準と概ね同等であると判断される場合
(3)当該投資信託等を構成する個々の信託財産又は資産について、一般社団法人投資信託協会が定める「投資信託財産の評価及び計理等に関する規則」に従い評価が行われている場合
4. 財務諸表等規則第8条の6の2第5項に規定する注記の取扱いに関する留意事項(財務諸表等規則ガイドライン8の6の2-5、連結財務諸表規則ガイドライン15の5の2、中間財務諸表等規則ガイドライン5の3の2、中間連結財務諸表規則ガイドライン15の2、四半期財務諸表等規則ガイドライン8の2、四半期連結財務諸表規則ガイドライン15の2)
(1)財務諸表等規則第8条の6の2第5項第3号の記載(当該投資信託等の期首残高から期末残高への調整表)に当たっては、次の①から④までに掲げる事項に区別して注記するものとされています。
① 当事業年度の損益に計上した額及びその科目
② 当事業年度の評価・換算差額等に計上した額及びその科目
③ 購入、売却及び償還のそれぞれの額(ただし、これらの額の純額により記載することができる。)
④ これまで投資信託等の基準価額を時価とみなしておらず、当事業年度に投資信託等の基準価額を時価とみなすこととした額及びこれまで投資信託等の基準価額を時価とみなしていたものの、当事業年度に投資信託等の基準価額を時価とみなさないこととした額
(2)上記4(1)①に規定する当事業年度の損益に計上した額のうち貸借対照表日において保有する投資信託等の評価損益及びその科目を注記するものとされています。
(3)財務諸表等規則第8条の6の2第5項第4号の記載(貸借対照表日における解約又は買戻請求に関する制限の内容ごとの内訳)に当たっては、解約等に関する制限の内容が異なる投資信託等を複数保有している場合、投資信託等の基準価額を時価とみなす判断の前提となった解約等に関する制限の内容が類似する投資信託等ごとに集計したうえで、集計した当該投資信託等の貸借対照表計上額に重要性があるものを対象として、解約等に関する制限の主な内容及び貸借対照表計上額を注記することができるとされています。
5. 経過措置(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(令和2年内閣府令第9号))の改正(附則第2条第5項から第8項)
(1)貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体への出資については、2022年4月1日前に開始する事業年度に係る財務諸表について、新財務諸表等規則第8条の6の2第1項第2号に掲げる事項(金融商品の時価等に関する事項)の記載を省略することができるとされています。この場合には、その旨及び当該出資の貸借対照表計上額を注記しなければならないとされています。
(2)投資信託等については、2022年4月1日前に開始する事業年度に係る財務諸表について、新財務諸表等規則第8条の6の2第1項第3号に掲げる事項(金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項)の記載を省略することができるとされています。この場合には、その旨及び当該金融商品の貸借対照表計上額を注記しなければならないとされています。
(3)投資信託等について、財務諸表に初めて新財務諸表等規則第8条の6の2第1項第3号に掲げる事項を記載する場合には、当該財務諸表に含まれる比較情報について記載することを要しないとされています。
(4)投資信託等について、2022年4月1日前に開始する事業年度に係る財務諸表に初めて新財務諸表等規則第8条の6の2第1項第3号に掲げる事項を記載する場合(投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、時価の算定に係る会計処理を事業年度末に係る財務諸表から適用する場合に限る。)には、同号二(2)に掲げる事項の記載を省略することができるとされています。この場合には、翌事業年度の財務諸表に含まれる比較情報について記載することを要しないとされています。
ASBJが公表した以下の会計基準を、連結財務諸表規則第1条第3項及び財務諸表等規則第1条第3項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準とするとされています。
公布の日(2021年9月24日)から施行されています。
軽微な修正を除き、公開草案からの変更点はありません。
なお、本稿は本改正の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。
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