EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 加藤 大輔
2020年3月決算会社において、新型コロナウイルス感染症(以下「本感染症」という。)により特別損失を計上した会社の傾向と開示の状況は?
① 3月31日決算
② 2020年7月末までに有価証券報告書を提出している
③ 日本基準を採用している
特別損失を計上した会社のうち、損益計算書に係る注記(以下「P/L特損注記」という。)において、特別損失の内容として、本感染症に言及した会社は<図表>のとおりであった。項目別では、減損損失の次に「操業、営業停止中の固定費等」を特別損失に計上している会社が多かった。特にサービス業においては、本感染症の感染拡大防止のため、政府や各自治体の要請によるイベントや公演の中止に伴う費用や休業・休園中に発生する人件費や減価償却費などの固定費が発生したことにより、当該項目を特別損失に計上している会社が多かった。なお、「操業、営業停止中の固定費等」における損益計算書上の科目名としては、「災害による損失」としている会社の他、「操業中止関連費用」、「臨時休園による損失」、「臨時休業による損失」などとしている会社があった。
(※1)東京証券取引所の33業種区分で集計(非上場会社の有報提出会社の場合は、金融庁提出者業種で分類)。
(※2)同一の会社で複数の項目を記載している場合、それぞれ1社としてカウントしている。
(※3)操業、営業停止中の固定費のほか、イベント等の中止又は延期等に伴う損失も含めている。
(※4)支援金や当感染症の拡大防止対策に係る費用など。
(旬刊経理情報(中央経済社)2020年9月20日号 No.1589「2020年3月期有報におけるコロナ禍関連の開示分析」を一部修正)
2020年3月期 有報開示事例分析