株主資本等変動計算書 第3回 注記事項の扱い

公認会計士 七海健太郎

4. 注記事項


(1)財務諸表等における注記事項

有価証券報告書における財務諸表では、株主資本等変動計算書に関する注記事項として以下のi)からiv)を記載します。連結財務諸表を作成している場合は、現在の情報開示の中心が連結財務諸表であることから、以下の注記事項は連結財務諸表に記載し、個別財務諸表ではii) 自己株式の種類および総数に関する事項以外は、注記を省略することができます。

i)発行済株式の種類および総数に関する事項

a)発行済株式の種類ごとに、当期首および当期末の発行済株式数ならびに当期に増加または減少した発行済株式数

b)発行済株式の種類ごとの変動事由の概要

ii)自己株式の種類および株式数に関する事項

a)自己株式の種類ごとに、当期首および当期末の自己株式数ならびに当期に増加または減少した自己株式数

b)自己株式の種類ごとの変動事由の概要
なお、連結株主資本等変動計算書に開示する自己株式数は以下の合計となります。

ア.親会社が保有する自己株式の株式数

イ.子会社または関連会社が保有する親会社株式または投資会社の株式の株式数のうち、親会社または投資会社の持分に相当する株式数

iii)新株予約権および自己新株予約権に関する事項

a)新株予約権の目的となる株式の種類

b)新株予約権の目的となる株式の数

c)新株予約権の当期末残高

d)自己新株予約権に関する事項

iv)配当に関する事項

a)配当財産が金銭の場合には、株式の種類ごとの配当金の総額、1株当たり配当額、基準日および効力発生日

b)配当財産が金銭以外の場合(分割型の会社分割を含む)には、株式の種類ごとに配当財産の種類ならびに配当財産の帳簿価額(配当の効力発生日における時価をもって純資産を減少させる場合には、当該時価により評価した後の帳簿価額をいう)、1株当たり配当額、基準日および効力発生日

c)基準日が当期に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌期となるものについては、配当の原資およびa)またはb)に準ずる事項

(2)計算書類等における注記事項

会社法による計算書類の個別注記表、および連結計算書類の連結注記表では、株主資本等変動計算書に関して以下の事項を注記します。財務諸表と同様、連結計算書類を作成している場合は、個別注記表においては以下のii)の事項(自己株式)以外は、注記を省略することができます。

個別注記表(会計規105)

連結注記表(会計規106)

i) 発行済株式
ii) 自己株式
iii) 配当
iv) 新株予約権

i) 発行済株式
ii) 配当
iii) 新株予約権
 

財務諸表における注記事項と比べると、注記事項の項目は同様ですが、記載すべきと規定されている内容は、以下のように財務諸表と異なっている点が見られます。

項目

財務諸表における注記との相違

i)発行済株式

  • 当期末の株式数を記載すれば足り、当期首および当期に増加または減少した株式数の記載は求められていません。

ii)自己株式

  • 発行済株式と同様、当期末の自己株式数を記載すれば足り、当期首および当期に増加または減少した自己株式数の記載は求められていません。
  • 連結注記表では、自己株式の注記は求められていません。

iii)配当

  • 1株当たり配当額、基準日および効力発生日は記載が求められていません。

iv)新株予約権

  • 新株予約権の目的となる株式の数は当期末の数を記載すれば足り、当期首および当期に増加または減少した株式数の記載は求められていません。
  • 権利行使期間の初日が到来していないものは記載対象から除かれます。
  • 自己新株予約権については記載が求められていません。

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  • 第3回 注記事項の扱い (2013.01.24)