期末日後の建物取壊しの意思決定が減損の兆候に該当するか

2017年5月17日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

会社法監査の後発事象期間中において、建物の取壊しの意思決定を行った場合、期末日時点における減損の兆候となるのでしょうか。

Answer 

期末日時点で建物を含む資産グループについて収益性が低下した事実などの減損の兆候がなく、かつ、取壊しの意思決定を形式上期末日後に先送りしたのではないのであれば、後発事象期間中における建物の取壊しの意思決定は期末時点における減損の兆候とはならないと考えます。

修正後発事象は、発生した事象の実質的な原因が決算日現在において既に存在しているかどうかにより判断するものとされています。建物の取壊しの意思決定は、当初の予定よりも著しく早期に除却するような状況に該当するため、それ自体も減損の兆候となりうると考えられます。さらに、その実質的な原因が決算日現在において既に存在しているのであれば、期末日現在において減損の兆候が存在していると考えられます。

その点を踏まえて、会社法監査の後発事象期間中に建物の取壊しの意思決定を行ったとしても、

①期末日時点で建物を含む資産グループについて減損の兆候がないこと、
②意思決定を形式上期末日後に先送りしたのではないこと

という要件を満たす限りは、期末時点に遡って減損の兆候を識別することにはならないと考えます。

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