貸付金の時価算定の基本的考え方

2015年12月14日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

長期貸付金の時価を算定する場合、貸倒引当金を控除した後の貸借対照表価額を時価とみなすことができますか。

Answer 

長期貸付金の時価算定に際しては、市場価格がないため、長期貸付金から発生する将来の見積キャッシュ・フローを割り引いて現在価値を算定する方法(DCF法)を用いることになると考えられます。また、信用リスクに関しては、貸付先の状況を考慮して時価に反映する必要があり、将来の見積キャッシュ・フローあるいは割引率のいずれかに織り込むことになると考えられます。
会計上の貸倒引当金の算定は、過去の貸倒実績率を用いるなどの一定のルールに基づいて行われる場合があると考えられ、「時価算定の際に算出される信用リスク」が反映されていないケースがあると思われます。また、キャッシュ・フロー見積法を用いるとしても、割引率として約定利子率または債権取得当初の実効利子率を用いているため、時価とは相違します。
したがって、貸倒引当金を控除した後の貸借対照表価額は原則として時価と異なることになると考えられ、当該価額を時価とみなす場合には、合理的な説明が求められます。

根拠条文

  • 「金融資産の時価の算定に関する実務上の取扱い」Q3
  • 「金融商品に関する会計基準」第28項

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