保険金等で取得した固定資産について圧縮記帳を行った場合の固定資産圧縮損と保険差益の相殺表示の可否

2017年10月20日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

災害によって滅失した固定資産について保険金を受領し、当該保険金により新たに同一種類、同一用途の固定資産を取得するとともに、直接減額方式による圧縮記帳を行いました。その場合、圧縮記帳により生じた圧縮損及び受入益あるいは保険差益の表示は、総額表示すべきでしょうか、相殺表示すべきでしょうか。

Answer 

保険差益と固定資産圧縮損の表示については、総額表示とすべきか、相殺表示とすべきかについて明確な定めはないため、どちらも採用することができると考えます。 監査第一委員会報告第43号「圧縮記帳に関する監査上の取扱い」(以下、「圧縮記帳監査上取扱」という。)の「Ⅲ 3. 圧縮損及び譲渡益等の表示」では、交換取引の場合には損益表示の問題は生じないとしたうえで、交換取引に準ずる収容等に伴う代替資産、特定資産の買換え等による固定資産の取得の場合には、本来圧縮損と譲渡益は損益計算書上相殺表示が望ましいとしていながらも、税務上の取扱いとの調整がなされるまでは、両建表示しても監査上妥当なものとして扱われるとしています。
したがって、実務上は総額で両建て表示することも、相殺表示とすることも認められると考えられます。 また、保険差益は国庫補助金等の受入益と同様の取扱いとされていることから(圧縮記帳監査上取扱Ⅲ2.)、交換に準ずるものと同様に、総額で両建表示する方法と、純額表示する方法のどちらも認められると考えられます。
なお、相殺表示を行った場合には、注記にて相殺表示した旨を開示することが考えられます。

根拠条文

  • 企業会計原則注解 注24
  • 連続意見書第三 有形固定資産の減価償却費 第一 四 3
  • 監査第一委員会報告第43号「圧縮記帳に関する監査上の取扱い」
  • 審理室情報第5号「監査第一委員会報告第43号について」

この記事に関連するテーマ別一覧

その他

企業会計ナビ

企業会計ナビ

会計・監査や経営にまつわる最新情報、解説記事などを発信しています。 

一覧ページへ