子会社を吸収合併することにより孫会社株式を受け入れる場合の会計処理

Question

①会社(P社)は100%子会社A社を吸収合併しました。  ②過去にP社は保有していた100%子会社B社の株式全てをA社に譲渡して売却益を計上しています。 このように連結財務諸表上の未実現利益を含んでいる孫会社株式について、吸収合併によりどのように受け入れるのでしょうか。

Answer

子会社との吸収合併により未実現損益を含む孫会社株式を受け入れる場合、当該未実現損益を消去して孫会社株式を計上することになると考えられます。

親会社が子会社を吸収合併する場合、親会社の個別財務諸表上、原則として、子会社の適正な帳簿価額により資産及び負債を受け入れますが、連結財務諸表の作成にあたり、子会社の資産又は負債に含まれる未実現損益(親会社の個別財務諸表上、損益に計上された額に限る。)を消去している場合には、未実現損益消去後の金額で当該資産又は負債を受け入れる、と定められています(「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下、「企業結合等適用指針」という)第207項(2))。

本ケースのような孫会社株式について、上記の帳簿価額の修正に関して棚卸資産及び固定資産とは異なる定めはありません。合併にあたって受け入れる資産であり、過去に親会社の個別財務諸表上で売却損益を認識し、連結財務諸表上で未実現損益として消去して資本連結しているため、棚卸資産及び固定資産と同様に修正後の帳簿価額により受け入れ、当該修正に伴う差額は、特別損益(株式売却益修正損等の科目)に計上することになると考えられます(企業結合等適用指針第207項(2))。

数値例による解説

資料

B社株式の未実現利益は、2,000

P社の個別財務諸表上の仕訳

子会社A社の吸収合併に係る開始仕訳

(借)

(貸)

B社株式

10,000

負債

32,000

上記以外資産

140,000

資本金

100,000

関係会社株式売却益修正損
(特別損失)

2,000

利益剰余金

20,000

P社の連結財務諸表上の仕訳

未実現利益に係る開始仕訳

(借)

(貸)

連結剰余金期首残高

2,000

B社株式

2,000

合併 修正に係る仕訳

(借)

(貸)

B社株式

2,000

関係会社株式売却益修正損
(特別損失)

2,000

開始仕訳で消去した未実現利益を関係会社株式売却益修正損と相殺消去し、個別財務諸表上の仕訳を戻した。



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