簡便法から原則法への変更に伴う会計処理

Question 

退職給付制度は変更していませんが、退職給付計算において簡便法から原則法に変更する場合、どのように会計処理すべきでしょうか。

Answer 

小規模企業等(原則として従業員300人未満の企業)については、簡便法による退職給付債務の算定が認められているため、数理計算が可能であっても、小規模企業等に該当すれば、簡便法を採用することは許容されるものと考えられます。

簡便法を採用している場合には、数理計算は可能であるが、会計方針として簡便法を採用している場合と数理計算が困難なため簡便法を採用している場合とが考えられます。

簡便法から原則法への変更については、変更の実態に応じて、従業員が大幅に増加して小規模企業等に該当しなくなった場合のように事実の変更に該当する場合と、会計方針の変更に該当する場合とが考えられます。会計方針の変更であれば、遡及適用することになりますが、事実の変更に該当する場合には、変更により生じた退職給付債務の差額は数理計算上の差異や過去勤務費用ではないと考えられ、遅延認識する根拠に乏しく、営業費用として損益処理することが適当と考えられます。

なお、事実の変更に該当する場合には、追加情報として注記することが考えられ、会計方針の変更に該当する場合には、遡及適用するとともに会計方針の変更の注記を行うことが必要になります。

根拠条文

      • 「財務諸表等規則」第8条の3の2、第8条の5
      • 「連結財務諸表規則」第14条の3、第15条
      • 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第6項(2)、第11項
      • 「退職給付に関する会計基準の適用指針」第47項、第111項


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