ストック・オプションの税効果

2012年1月13日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

従業員に付与したストック・オプションを費用処理しても、税務上は損金不算入とされ、権利行使されずに権利行使期間末日となり戻入益が計上されれば差異が解消されます。
権利行使か権利不行使かが確定するまでは税務上の取扱いが確定しないものと考え、一時差異を認識できるでしょうか。

Answer 

(1)税制適格ストック・オプションの場合
税制適格ストック・オプションを付与された個人については、付与時のみではなく権利行使時にも所得税の給与所得課税がなく、株式譲渡時に譲渡所得として課税されます。
付与した会社側は、法人税法上、個人の所得税に対応して給与所得とすべき場合にのみ損金算入が認められるため、ストック・オプション費用は永久に損金算入されない永久差異となり、将来減算一時差異は認識できません。なお、権利不行使による戻入益は益金不算入となりますが、一時差異を認識しないため、税効果会計の適用対象にはなりません。

(2)税制非適格ストック・オプションの場合
税制適格ストック・オプションに該当しない場合には、付与された個人が権利行使した時点で、行使時の時価が権利行使価額を上回っている差額が給与所得として課税され、付与した会社側の法人税上は損金算入が認められます。そのため、ストック・オプション費用については税効果会計上、将来減算一時差異が認識されます。
なお、権利不行使による戻入益は益金不算入となり、減算されるため、権利行使時だけではなく、不行使が確定した時点でも将来減算一時差異が解消します。従って、権利行使時及び権利不行使確定時に繰延税金資産が取り崩されることになります。

根拠条文

  • 法人税法 第54条第1項、第2項、第3項

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