税率変更時における未認識項目に関する連結財務諸表上での会計処理

2017年10月20日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

法人税等について税率変更があった場合、連結財務諸表上、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(以下、「未認識項目」とする。)はどのように処理するでしょうか。

Answer 

税効果会計に係る会計基準注解(注7)では、資産の評価替えにより生じた評価差額が直接資本の部に計上される場合において、税率変更があったこと等により当該評価差額に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を修正したときは、修正差額を評価差額に加減して処理するものとされています。未認識項目に係る一時差異に対応する繰延税金資産又は繰延税金負債は、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)を相手勘定として処理することになるため、税率変更により繰延税金資産又は繰延税金負債が増減する場合には、資産の評価替えにより生じた評価差額が直接純資産の部に計上される場合と同様に、その他の包括利益を相手勘定として処理することになると考えます。

退職給付に係る未認識項目を負債(又は資産)として認識する会計処理は、連結手続の一環であり、当該連結手続に関する連結修正項目により生じた一時差異は、連結手続上でのみ生じる将来減算一時差異及び将来加算一時差異と考えられます。 未認識項目に係るその他の包括利益(及びその他の包括利益累計額)の処理にあたっては、税効果を調整する必要があり、未認識項目に係る一時差異に対応する繰延税金資産・負債は、その他の包括利益により調整されることになります。 また、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」第114項にある回収可能性の見直し時の会計処理の説明においても、連結上、未認識項目の負債認識において生じる将来減算一時差異に対応する繰延税金資産は、退職給付に係る調整額(その他の包括利益)を相手勘定として取崩しを行う考え方が示されています。
なお、資本連結において子会社の純資産に評価差額が認識され、資本連結により消去されている場合には、税率変更時において法人税等調整額(連結損益計算書項目)により調整することになると考えられるため、留意が必要です。

根拠条文

  • 退職給付に関する会計基準の適用指針 第33項
  • 連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針 第2項、第25項
  • 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第114項

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