連結納税制適用時の表示上の取扱い

Question 

連結納税制度を適用している場合の繰延税金資産及び繰延税金負債、その他関連科目の表示と開示はどのように行いますか。

Answer 

(1)連結財務諸表

連結財務諸表上、繰延税金資産と繰延税金負債は、納税主体ごとに相殺表示します。このため、連結納税制度を適用していない場合、親会社および連結子会社は別の納税主体として、それぞれの会社ごとに相殺することになります。
連結納税制度を適用している場合、連結納税主体となっている親会社および連結子会社は、法人税について同一の納税主体となることから、連結納税各社の繰延税金資産と繰延税金負債の法人税部分は相殺表示されることになります。一方、連結納税主体の繰延税金資産(繰延税金負債)と、連結納税主体に属さない連結子会社の繰延税金負債(繰延税金資産)は、原則として相殺しません。
なお、個別財務諸表において計上された、連結法人税の個別帰属額に係る親子会社間の未収入金および未払金については、連結会社間債権債務として相殺消去されることになります。

(2)個別財務諸表

  • 損益計算書
    連結納税親会社に係る連結法人税個別帰属額は、連結納税親会社の「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示します。また、連結納税子会社に係る連結法人税個別帰属額は、連結納税子会社の「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示します。なお、「法人税、住民税及び事業税」の金額がマイナスとなる場合にはマイナス表示となります。

  • 貸借対照表
    連結法人税として納付すべき額は、連結納税親会社の貸借対照表上の「未払法人税等」に含めて表示されます。また、各連結納税子会社に係る連結法人税の個別帰属額は、連結納税親会社の貸借対照表上の「未収入金」に合計額が計上され、各連結納税子会社の貸借対照表上の「未払金」に、それぞれの金額が計上されます。
    なお、連結納税会社(連結納税親会社または連結納税子会社)間で連結法人税の個別帰属額の授受を行わない場合には、未収入金を計上する連結納税会社がその支払いを免除する決定を行い、相手方に意思表示を行った時に連結法人税の個別帰属額に係る「未収入金」と「未払金」の消滅を認識します(債務免除に係る損失は営業外費用または特別損失、債務免除に係る利益は営業外収益または特別利益に計上)。

(3)開示

①連結納税制度適用時または離脱時における注記

連結納税制度を適用した場合、または取りやめた場合における最初の連結財務諸表および財務諸表においては、その旨を注記することが適当と考えられます。

②偶発債務の注記

連結納税子会社が連帯納付義務を履行する可能性がある場合に、連結納税子会社の財務諸表において偶発債務としての注記が必要となることがあると考えられます。ただし、通常は連帯納付義務を履行する可能性は極めて低いと考えられ、そのような場合には注記は必要ないものとされています。

根拠条文、参照条文等

      • 「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」Q17

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