ドイツで登録されている知的財産権の課税

Japan tax alert 2020年12月14日号

ドイツで知的財産権(特許権、ブランド、著作権など)を登録している企業に影響を及ぼす可能性のある税務トピックについて、お知らせいたします。本トピックについては、2020年12月31日までに対応が必要になる可能性がありますのでご留意ください。

ドイツ所得税法(第49条(1)第2f号及び第6号ITA)によると、ドイツで登録されている知的財産権に係るライセンス料が支払われる、または当該知的財産権が譲渡される場合、当該知的財産権の所有者がドイツ非居住者であっても、ドイツで課税が発生すると規定されています。この規定は、税務当局内でもあまり知られておりませんでしたが、ドイツ連邦財務省は、2020年11月6日にこの規定に関する通達を発表しました。当該通達によると、「ドイツで知的財産権が登録されているという事実は、そのような権利による所得がドイツで課税する(源泉徴収および申告)条件として十分であり、その所有者がドイツ居住者である必要はない」とされています。

ドイツ所在ではない企業からも課税が可能とするこの規定は、多国籍企業の税務に甚大な影響を及ぼす可能性があることから、財務省は、2020年11月20日に、この規定を撤廃する法律草案を発表しました。この草案では、非居住者に対しては、知的財産権のライセンス料及び譲渡による収入の課税はしない、また、この規定は過去に遡って適用されることとされています。

なお、この法律は、未だ可決されておらず2020年内の適用は難しい状況となっております。さらに新規定が最終的にどのような規定となるのかわかっておらず、新規定が発効するまでの間は不確実性が残ることとなります。少なくとも新規定が適用されるまでの期間は、ドイツで知的財産権を登録している日本企業が過去数年間にドイツにて課税所得の申告漏れを指摘されるリスクは理論上は残ることとなります。

※本アラートの詳細は、下記PDFからご覧ください。


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