オープンイノベーション促進税制を適用する際の留意点
Japan tax alert 2021年3月18日号
概要
令和2年度税制改正において、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの 間に、国内の事業会社またはその国内CVC(Corporate Venture Capital)が、スタートアップ企業とのオープンイノベーションに向け、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価額の25%が所得控除される制度が創設されました。
要件
1. 対象法人
- 本税制の対象法人は、青色申告書を提出する法人で、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを目指す、株式会社その他これに類する法人加えて、対象法人が主体となるCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)が出資する場合も対象
- 加えて、対象法人が主体となるCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)が出資する場合も対象
2. 出資を受けるスタートアップ企業の要件
3. 出資の要件
- 純投資目的ではなく、5年以上の株式保有を予定する1件あたり1億円以上の大規模出資(中小企業の出資の場合は、1件あたり1,000万円以上。海外スタートアップ企業への出資の場合には、一律1件あたり5億円以上)
- オープンイノベーション要件を満たす出資
手続き
初年度の証明書交付及び翌事業年度以降における手続きフローは下記の通りです。翌事業年度以降も、5年間、オープンイノベーションに向けて取り組んでいることを毎事業年度末に経済産業大臣に報告し、継続証明書の交付を受ける必要があります。
留意点
(要件)
- 出資対象となるスタートアップ企業は、その発行済株式の総数に占める複数の法人による出資割合が合計3分の2未満である必要があります。すなわち、LPSや民法組合、個人投資家など、法人以外の者による出資割合が合計3分の1超である必要があります。創業者の資産管理会社がスタートアップ企業の株式を保有している場合は、当該資産管理会社は法人株主としてカウントされます。これまでご相談いただいた中で、当該要件を満たせないケースが多くありましたので、ご留意ください。(申請ガイドラインP.13参照)
- オープンイノベーション要件として、オープンイノベーションに資する株式取得であることが必要なため、例えば、投資契約に「買戻し条項」が含まれており、対等な連携に依拠したオープンイノベーションの実施が確認できない場合、当該要件を満たせない可能性があります。反社会的勢力を排除するために設けられている場合は問題ないと思いますが、当該条項がある場合は、経済産業省への事前相談をお勧めします。(申請ガイドラインP.22参照)
- 本税制の適用を受けるためには、確定申告書に別表10(6)と証明書の添付が必要になります。
- 繰越欠損金がある場合にその繰越額によっては当該税制の利用ができない場合がありますので、ご留意ください。
- 特別勘定積立金として計上する科目名については、「特定株式取得積立金」「オープンイノベーション促進積立金」などが利用されています。
(手続き)
- 経済産業省への相談や申請が集中すると想定される3~6月は、余裕をもった事前相談・証明書交付申請をお勧めします。
- 事前相談と証明書交付申請は、原則的には「オープンイノベーション促進税制」申請ウェブサイトで行います。申請ウェブサイトの利用にあたっては、政府共通認証基盤「GビズID」プライムアカウントを作成する必要があり、作成までに2週間ぐらいを要します。また投資先企業もGビズIDを作成の上、投資先企業に申請内容の確認と署名の依頼が必要になります(オープンイノベーション促進税制 利用者マニュアルを参照)。
※本アラートの詳細は、下記PDFからご覧ください。
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