EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2021年2月、内国歳入庁(IRS)の大規模事業者・国際局(Large Business and International Division)局長Douglas O’Donnell氏は、「コロナ禍においても事前確認・相互協議(APMA)プログラムはオンライン環境に柔軟に適応して順調に機能しており、予想以上に合意件数も伸びている」とのコメントを発表しています。
O’Donnell氏は、「コロナ禍によって各国の税務当局間の連携が深まっており、特にクロスボーダー取引を行う多国籍企業や富裕層に対するコンプライアンス強化の必要性があるとの認識で一致している」との見方を示した上で、各国税務当局による情報やリソースの共有を目的とした「情報共有と協働のための合同国際タスクフォース」(JITSIC:Joint International Taskforce on Shared Intelligence and Collaboration)及び「国際コンプライアンス保証プログラム」(ICAP: International Compliance Assurance Program)の活動について触れ、「IRSはアジア、アフリカ、南米等の国々に対してICAPへの参加を促している」と述べています。
O’Donnell氏によれば、ICAPの活動は、関係各国の税務当局が特定の取引を低リスクであると認定・合意し、文書でその旨を納税者に伝えることを目的としています。同氏は、「納税者は当該文書に法的拘束力がないことを懸念するかもしれないが、各国課税当局が当該取引についてさらなる調査を行うことはないという明確な意思表示を行うことの意味を理解してもらいたい」とコメントしています。
APMAにおけるテクノロジー導入及び各国税務当局との連携強化により、APA及びMAPの合意件数が増加傾向にあることは間違いありません。コロナ禍の影響で各国税務当局との係争が増加することが予想される中、APA及びMAPは納税者にとってより重要な解決手段となるものと思われます。
本アラートの詳細は、2021年2月16日付、EY Global Tax Alert、「US IRS's Advance Pricing and Mutual Agreement Program continues case closures despite COVID restrictions」(英語のみ)をご覧ください。