EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2020年6月2日、フランス閣僚評議会に2021年改正財政法の第一次草案(法案)が提出されました。当該法案は、今後数週間にわたりフランス議会で審議される予定となっており、修正される可能性があります。
このアラートでは、当該法案の法人税関連の主な規定をまとめています。今回の法案では、税務上の欠損金繰戻しの条件を一時的に緩和することが提案されています。
フランス税法第220条により、法人税の課税対象となる企業は、ある事業年度に生じた税務上の欠損金について、一定の条件のもと繰戻しを選択し、100万ユーロまで前事業年度の課税所得と相殺することができます1。この制度により、繰戻額に現行の法人税標準税率を乗じた額を、以後5年間の法人税額から控除し、残額がある場合は5年目の年度末に還付されます。
COVID-19パンデミックの影響を受けた企業の財務状況を改善するため、当該法案では2020年6月30日から2021年6月30日までの間に終了する事業年度に発生した税務上の欠損金については、例外的に繰戻しを過去3事業年度について認め、限度額を定めずに課税所得と相殺することが提案されています(上記現行制度における条件に加えて、連結納税の場合や現行制度に基づいて、既にその年度の欠損金繰戻しを選択している場合など、いくつか特別な条件があります)。対応する税額控除額を算定する法人税率は、2022年1月1日以降に開始する事業年度に適用される税率、すなわち通常25%となります。
この新しい政策による例外的繰戻し制度を利用するかの選択は、2021年6月30日終了事業年度の確定申告書の提出期限までで2、当該選択対象年度の次年度の法人税最終納付までに行わなければならないとされています。
巻末注
本アラートの詳細は、2021年6月8日付EY Global Tax Alert 「French Government issues draft Amending Finance Bill for 2021」(英語のみ)をご覧ください。