中国税務及び投資速報(日本語要約版)2021 年8月‐ユニラテラル事前確認の簡易手続他

税務法規

「ユニラテラル事前確認への簡易手続の適用に関する事項についての公告」
(国家税務総局公告[2021]24号)(“24号公告”)


概要

クロスボーダー業務に従事する企業の租税管理の負担を軽減するため、国家税務総局は2021年7月26日付で、ユニラテラル事前確認への簡易手続の適用について規定した24号公告(2021年9月1日施行)を公布しました。

24号公告の主な内容は次のとおりです。

簡易手続

24号公告によると、所轄税務機関が申請の受理に関する「税務事項通知書」を送付する日の属する納税年度の前3カ年度において、毎年発生する関連者間取引金額が4,000万元以上で、かつ規定の要件 (例えば、企業が申請を提出する日の属する年度の前10カ年度内に事前確認を実施したことがあり、実施結果が合意内容に従っていた場合など) のいずれかを満たす企業は、ユニラテラル事前確認に関する簡易手続の適用を申請することができます。

簡易手続による場合、「事前確認管理の整備に関する事項についての公告」(国家税務総局公告[2016]64号)(“64号公告”)に規定する一般的な事前確認の手続(“一般手続”)における6つのステップ(予備会談、協議意向、分析・評価、正式申請、締結、実施の監督)が、3つのステップに簡素化されます。すなわち、一般手続における予備会談のステップはなく、協議意向、分析・評価及び正式申請の3つのステップは、1つのステップ(評価申請)に統合されます。

簡易手続

税務機関は企業の申請を受け取った日から90日以内に企業に「税務事項通知書」を送付し、かつ通知書の送付後6カ月以内に、企業との協議を完了することとされています。

国家税務総局の公式解釈によれば、規定の期限までに税務機関と企業が合意できない場合、企業は一般手続に従って改めてユニラテラル事前確認の申請をする必要があります。その際、企業の負担を軽減するため、簡易手続においてすでに提出した資料は再度提出しなくてよいとされています。

例外的な状況

同時に2つ以上の省、自治区、直轄市及び計画単列市の税務機関が関わるユニラテラル事前確認の場合、簡易手続は当面適用されません。

また、企業が24号公告に列挙する5つの状況(例えば、税務機関が企業に対して特別納税調整の調査またはその他の税務案件の調査を実施している場合、あるいは企業が関連規定に従って同期資料を保存していない場合など)のいずれかに該当する場合、簡易手続は適用されません。

24号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5167276/content.html

国家税務総局による24号公告の公式解釈は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5167283/content.html

64号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c2292979/content.html


「減税・費用軽減政策の運用ガイドライン」


概要

納税者が租税優遇政策について調べる際の便宜のために、国家税務総局は2021年7月30日付で、「減税・費用軽減政策の運用ガイドライン」(“ガイドライン”)を公布しました。

当該ガイドラインのうち、研究開発費用の追加控除政策1に関するガイドラインでは、適用対象、政策内容、手続などについて整理しているだけでなく、13のQ&Aにより、当該政策の適用に関する事項について明らかにしています。

例えば、ガイドラインのQ&Aによれば、ある製造業企業が、2021年より前に追加控除政策の適用される研究開発費用を無形資産として計上した場合、2020年12月31日までは無形資産原価の175%に基づいて税務上の償却費を計算しますが、2021年1月1日以降は無形資産原価の200%に基づいて計算した償却費を損金算入することができます。

また、100%の追加控除率が適用される製造業企業で発生した委託研究開発費用の追加控除については、次のように説明しています。

  • 製造業企業が国内の外部機構または個人に研究開発活動を委託することにより発生した費用は、実際発生額の80%を委託元の研究開発費用に計上し、100%の割合で追加控除額を計算する。
  • 海外に研究開発活動を委託することにより発生した費用は、実際発生額の80%を委託元の海外委託研究開発費用に計上する。海外委託研究開発費用のうち、国内における適格の研究開発費用の3分の2を超えない部分は、100%の割合で追加控除額を計算する。
  1. 企業所得税法によれば、企業で新技術、新製品、新工程の開発のために発生した研究開発費用は、当該費用を当期損益に計上する場合、実際発生額に加えてその50%を追加で損金算入することができ、無形資産を形成する場合は、無形資産原価の150%を償却することができます。企業の研究開発投資を奨励するため、この追加控除の割合は現在、175%に引き上げられています(2023年12月31日まで)。また、2021年1月1日以降、製造業企業の追加控除の割合は100%に引き上げられました。

「ガイドライン」の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n3723562/c101826/jsjfzcczzy.html

商務法規

「海南自由貿易港におけるクロスボーダーサービス貿易の特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」
(商務部令[2021]3号)(“3号令”)


概要

商務部は2021年7月23日付の3号令により、「海南自由貿易港におけるクロスボーダーサービス貿易の特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」(“「ネガティブリスト」”)(2021年8月26日施行)を公布しました。

「ネガティブリスト」はクロスボーダーサービス貿易分野における最初のネガティブリストであり、金融サービス、ビジネスサービス、技術サービスなどの、国外サービス提供者が(クロスボーダーの引渡し、国外消費、自然人の移動を通じた)クロスボーダー方式で提供するサービスに係る11分類70項目の特別管理措置を列挙しています。

特に説明がない限り、「ネガティブリスト」は国外サービス提供者が海南自由貿易港の市場主体及び個人に提供するサービスのみに適用されます。また、「ネガティブリスト」以外の分野は、国内外のサービス及びサービス提供者を平等に取り扱うという原則に基づき管理が行われます。

国外サービス提供者が「ネガティブリスト」で禁止されているサービスをクロスボーダー方式で提供することはできません。

「ネガティブリスト」の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.mofcom.gov.cn/article/b/c/202107/20210703180049.shtml


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