Tax controversy update vol. 1 ― コロナ禍(後)の税務調査

夏休み、そしてオリンピックが終了し、税務調査が本格化してきています。1年前とは随分異なり、最近では国税局もコロナ馴れしてきた感があります。国税局の会社を訪問しての調査リクエストは根強く、実際、会社を訪問しての調査が多く実施されています。

8月3日のNHKニュースで、大阪局長の就任会見の模様が報道されました。会見のメインは納税困難な方への対応でしたが、税務調査についてもコメントがありました。「コロナで調査件数が減っているが、富裕層と国際取引は別」といった趣旨の内容でしたが、これは大阪国税局だけではなく、国税庁全体の方針だと思われます。それは私達の日頃の肌感覚とも一致しています。

また、昨年7月から国税局の調査体制が変更になりました。見た目にはそう目立つものではありませんが、私達は、それが法人税調査の内容を変えてきていると考えています。具体的にどういった変更かといいますと、国税庁は、昭和61年(1986年)の制度創設以来ずっと、(金利・役務等簡易な事案以外の本格的な)移転価格調査は同調査の専担部門のみが行うという体制を維持してきましたが、昨年7月から、一般の調査担当部門においても(本格的な)移転価格調査を担当することが可能となりました。そういったことから、最近は数年に一度定期的に行われる通常の税務調査において、移転価格関連の資料依頼が多くなってきていますし、さらに、調査初期の概要ヒアリングの段階で、移転価格の機能・リスクに関するヒアリングも同時に行われていたというケースにも私達は接しています。移転価格の場合、デリケートな回答を行う必要がある場合も多いため、調査担当官の質問が移転価格に関連するものかどうかの見立てがとても重要と考えています。詳細は、当メンバーが雑誌記事(「移転価格調査の最新事情と対応のポイント」(旬刊経理情報2021.2.10 (No.1602))にも書いていますので、是非ともご参照ください。


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