欧州委員会、シェル事業体の悪用防止に関する指令案(UNSHELL)を発表

エグゼクティブサマリー


2021年12月22日、欧州委員会(以下、「欧州委員会」)は、税務上のシェル事業体の悪用を防止するためのルールを定めた指令案を公表しました(この指令案「UNSHELL」は、ATAD IIIとも呼ばれます)。この取り組みは、欧州委員会が2021年5月に発表した「21世紀のビジネス税制に関するコミュニケーション」の中で発表されたものです1

この指令案は、経済活動に従事しているが最低限の実体がなく、税制上の優遇措置を得る目的で悪用されているとみられる事業(シェルカンパニー)を加盟国が特定するのを支援するために、報告義務を含むEU全体での「実体テスト」の導入を目指しています。また、欧州委員会は、税務上シェル事業体として認定された場合には措置を加えることを提案しています。また、課税分野の行政協力に関する指令(指令2011/16/EUまたはDAC)を改正して、情報の自動交換を行うことや、加盟国間における税務調査の要請も想定しています。

今後、加盟国は、指令案の最終的な合意を目指した交渉段階に入ります。EUでは、租税に関する指令の採択には27の加盟国すべての全会一致が必要です。欧州委員会は、2024年1月1日に規則を発効させるために、加盟国が2023年6月30日までに同指令を国内法に置き換えることを提案しています。

本アラートの詳細は、2021年12月22日付EY Global Tax Alert 「European Commission publishes draft Directive for preventing the misuse of shell entities (UNSHELL) 」(英語のみ)をご覧ください。
 

巻末注

  1. 2021年5月18日付EY Global Tax Alert「European Commission publishes Communication on Business Taxation for the 21st century」(英語のみ)をご参照ください。


お問い合わせ先

関谷 浩一 パートナー

荒木 知 ディレクター

大堀 秀樹 ディレクター


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