中国、個人所得税の確定申告に関わる公告他

中国JBS‐中国税務および投資速報(日本語要約版)2022年2月

税務法規

・「2021年度個人所得税の総合所得の確定申告に関わる事項についての公告」(国家税務総局公告[2022]1号)(「1号公告」)

概要

納税者の合法的な権益を保護し、総合所得に対する個人所得税の確定申告制度を合理的かつ健全なものとするため、国家税務総局は2022年2月8日付で、居住者個人(「納税者」)が行う2021年度の確定申告に関する事項について規定した1号公告を公布しました。

1号公告の主な内容は次のとおりです。

還付税額または追納税額の計算

納税者は2021年度に取得した総合所得(賃金・給与、労務報酬、原稿料、使用料の4種の所得)の収入額について、次の公式によって個人所得税の還付税額または追納税額を計算します。

還付税額または追納税額=[(総合所得の収入額−6万元〈基礎控除額〉−特別控除〈法定社会保険料、住宅積立金〉−特別付加控除〈子女教育費支出など〉−法に基づくその他の控除−適格の公益慈善事業寄付金)×適用税率−速算控除額]−予納税額


2021年度確定申告の必要性

年度確定申告が必要な場合

年度確定申告が必要ない場合

次のいずれかに該当する場合、納税者は年度確定申告を行わなければならない。

  • 予納税額が当年度の納付すべき税額を上回り、かつ還付を申請する場合
  • 納税年度内に取得した総合所得が12万元を超え、かつ追納税額が400元を超える場合
  • 所得項目の適用に誤りがあり、または源泉徴収義務者が源泉徴収義務を履行しなかったため、納税年度内に総合所得の過少申告または未申告が生じた場合

納税者が納税年度内に個人所得税を予納し、かつ次のいずれかに該当する場合、年度確定申告は行わなくてよい。

  • 当年度に追納すべき税額があるが、年間の総合所得が12万元を超えない場合
  • 当年度に追納すべき税額が400元を超えない場合
  • 予納税額が当年度の納付すべき税額と一致する場合
  • 年度確定申告により税額還付を受けられるが、還付を申請しない場合
申告期間

2021年度の個人所得税の確定申告期間は2022年3月1日から6月30日までです。納税者は確定申告を行う前に、未申告の収入や未控除の費用(例えば、寄付金、控除可能な教育費支出など)がないかをチェックする必要があります。

なお、2021年度の確定申告により税額の追納が必要となる納税者が、申告期間内に申告を行わず、税額を追納しない場合、税務機関は滞納金を追徴し、かつ「個人所得税納税記録」にその旨を記録します。

1号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n363/c5172700/content.html

・「インフラセクターにおける不動産投資信託(REITs)の試行に関わる租税政策に関する公告」(財政部、国家税務総局公告2022年3号)(「3号公告」)

概要

財政部および国家税務総局が2022年1月26日付で公布した3号公告(2021年1月1日施行)では、証券監督管理委員会、発展改革委員会が関連規定に基づき展開するインフラセクターにおける不動産投資信託(「インフラREITs」)の試行に関わる租税政策について規定しています。

3号公告によれば、インフラREITsの組成前に、オリジネーターがプロジェクト会社にインフラ資産を譲渡し、プロジェクト会社の持ち分を取得する場合、次のとおり特殊税務処理が適用されます。

課税基礎(税務上の簿価)

企業所得税の影響

インフラ資産プロジェクト会社が取得するインフラ資産の課税基礎は、インフラ資産の元の課税基礎をもって確定する。

プロジェクト会社の持ち分オリジネーターが取得するプロジェクト会社の持ち分の課税基礎は、インフラ資産の元の課税基礎をもって確定する。
所得を認識せず、企業所得税は課されない。

また、インフラREITsの組成段階において、 オリジネーターがインフラREITsにプロジェクト会社の持ち分を譲渡し、実現する資産評価額の増加に関して、オリジネーターはインフラREITsの資金調達が完了し、持ち分譲渡代金が支払われるまで、企業所得税の納付を繰り延べることができます。そのうち、オリジネーターが戦略的割り当ての要求に従って保有するインフラREITsのシェアに対応する資産評価額の増加については、実際の譲渡時まで企業所得税の納付を繰り延べることができます。

そのほか、インフラREITsの運営、分配などの段階における租税の取り扱いについては、現行の租税に関する法規に従うものとされています。

3号公告に基づき、「企業の再編業務に関わる企業所得税の処理に関する若干の問題についての通知」(財税[2009]59号)(「59号通達」)に規定する要件をすべて満たさなくとも、インフラREITs組成前の資産譲渡/持ち分取得には特殊税務処理を適用することができます。また、企業所得税の納付を繰り延べるという規定は、オリジネーターのキャッシュフロー圧力を緩和することになります。3号公告の公布により、インフラREITsの発展がさらに促進され、インフラプロジェクトへの民間資本の呼び込みにもつながることが期待されます。

3号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://szs.mof.gov.cn/zhengcefabu/202201/t20220129_3785838.htm

59号通達の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n362/c25375/content.html


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