中国、個人所得税の2021年度確定申告に関わるQ&A他

中国JBS‐中国税務および投資速報(日本語要約版)2022年3月

税務法規

・「2021年度個人所得税の総合所得の年度確定申告に関わる政策についての百問百答」

概要

国家税務総局は2022年2月23日付で、「2021年度個人所得税の総合所得の確定申告に関わる政策についての百問百答」(「Q&A」)を公表しました。2021年度の個人所得税(総合所得)の年度確定申告は2022年3月1日から2022年6月30日までの期間に行わなければなりません。

「Q&A」の内容は詳細で、個人所得税の確定申告に関わる幾つか基本的概念(例えば、居住者、非居住者の定義とそれぞれの納税義務、各種所得の定義など)について説明するとともに、納税者が確定申告を行う際のルール(例えば、各控除項目に適用される控除のルール、賞与の申告方法など)について、例を挙げて説明しています。また、ある所得が国外所得に属するか否かの判断などについても明らかにしています。

「Q&A」の全文は下記サイトからご覧ください。
https://12366.chinatax.gov.cn/zqdetail/getlmPage?lmid=e48cc09d67b4f2600167df59f5550804&zqlmmc=5Liq5Lq65omA5b6X56iO54Ot54K56Zeu6aKY&logoid=e48cc09d6752e977016755358f0b005d&lm
bm=2d05f99896e041c2a06a1d8a77f18ee1

・「中小零細企業の設備・器具に関わる所得税の損金算入政策についての公告」(財政部、国家税務総局公告2022年12号)(「12号公告」)

概要

財政部および国家税務総局は2022年3月2日付で、中小零細企業(注:中国語は「中小微企業」)の設備・器具に関わる所得税の損金算入政策について規定した12号公告を公布しました。

12号公告によれば、適格の中小零細企業¹が2022年1月1日から2022年12月31日までの期間に新たに購入した設備・器具²の単価が500万元以上の場合、次の加速減価償却政策の適用を選択することができます。

設備・器具の種類

税法上の減価償却年数

加速減価償却政策

電子設備

3年

単価の100%を購入年度に一括して損金算入する

飛行機、列車、汽船以外の運搬具

4年

単価の50%を購入年度に一括して損金算入する。残りの50%は規定に従って残余年度に減価償却費を計算し、損金算入する

生産経営活動に関連する器具、工具、家具

5年

単価の50%を購入年度に一括して損金算入する。残りの50%は規定に従って残余年度に減価償却費を計算し、損金算入する

飛行機、列車、汽船、機器、機械およびその他の生産設備

10年

単価の50%を購入年度に一括して損金算入する。残りの50%は規定に従って残余年度に減価償却費を計算し、損金算入する

企業が上記の政策を選択適用したことにより、当年度に欠損金が生じた場合、以後の5カ納税年度に繰り越すことができます。また、繰越期間延長政策の適用を受けている企業は当該政策の規定に従うことになります(例えば、ハイテク企業と科学技術型中小企業で発生した欠損金は、繰越期間が5年から最長10年に延長されます)。

中小零細企業が2022年度に上記の政策の適用を選択しなかった場合、以後の年度に当該政策の適用を受けることもできません。

¹ 12号公告によれば、適格の中小零細企業とは、国家が制限または禁止していない業種に従事し、かつ以下の条件を満たす企業を指します。

  • 情報伝送業、建築業、リースおよびビジネスサービス業:従業員数2,000人以下、あるいは営業収入10億元以下または資産総額12億元以下
  • 不動産開発経営:営業収入20億元以下または資産総額1億元以下
  • その他の業種:従業員数1,000人以下または営業収入4億元以下

² 現行の規定によれば、「新たに購入する設備・器具」には、購入(中古の設備・器具の新規購入を含む)および自社建設、自社開発の設備・器具が含まれます。ただし、12号公告の公式解釈(「新たに購入する設備・器具」の解釈を含む)はまだ公表されていません。

12号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://szs.mof.gov.cn/zhengcefabu/202203/t20220304_3792671.htm

・「小型企業の企業所得税優遇政策のさらなる実施に関する公告」(財務部、国家税務総局公告2022年13号)(「13号公告」)

概要

財政部および国家税務総局は2022年3月14日付で、小型企業(注:中国語は「小微企業」)の企業所得税優遇政策に関する13号公告を公布しました。

13号公告および現行の「小型企業および個人経営者に対する所得税優遇政策の実施に関する公告」(財政部、国家税務総局公告2021年12号)(「12号公告」)によれば、適格の小型薄利企業には次のような企業所得税優遇政策が適用されます。

課税所得額の範囲

優遇政策

適用税率

適用期間

課税所得額(年)のうち100万元以下の部分

所得額の12.5%を課税所得額とする

20%

2021年1月1日から2022年12月31日まで

課税所得額(年)のうち100万元超300万元以下の部分

所得額の50%を課税所得額とする

20%

2019年1月1日から2021年12月31日まで

課税所得額(年)のうち100万元超300万元以下の部分

所得額の25%を課税所得額とする(13号公告に基づく)

20%

2022年1月1日から2024年12月31日まで

ここでいう適格の小型薄利企業とは、国家が制限または禁止していない業種に従事し、かつ①年度の課税所得額が300万元以下、②従業員数が300人以下、③資産総額5,000万元以下という3つの条件を同時に満たす企業を指します。そのうち、従業員数には、企業と労働関係のある労働者数と企業が受け入れた労務派遣労働者数が含まれます。

13号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n362/c5173677/content.html

12号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://szs.mof.gov.cn/zhengcefabu/202104/t20210409_3683758.htm

「小型企業の<六税両費>減免政策のさらなる実施に関する公告」(財政部、国家税務総局公告2022年10号)(「10号公告」)

・「小型企業の<六税両費>減免政策のさらなる実施に関わる徴収管理問題に関する公告」(国家税務総局公告2022年3号)(「3号公告」)

概要

財政部および国家税務総局が2022年3月1日付で公布した10号公告では、2022年1月1日から2024年12月31日まで、省、自治区、直轄市の人民政府は当地域の実状に基づき、増値税の小規模納税者、小型薄利企業および個人経営者に対して、50%の税額の範囲内で資源税、都市維持建設税、不動産税、城鎮土地使用税、印紙税(証券取引印紙税を含まない)、耕地占用税および教育費附加、地方教育附加(「六税両費」)を減額することができると規定しています。当該公告によれば、これらの納税者が既に法に基づき、六税両費に関わるその他の優遇政策の適用を受けている場合も、重ねて当該政策の適用を受けることができます。

国家税務総局が2022年3月4日付で公布した3号公告では、上記の優遇政策に関わる徴収管理に関する事項(例えば、小型薄利企業の判定と減免適用期間など)について規定しています。

10号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://szs.mof.gov.cn/zhengcefabu/202203/t20220303_3792359.htm

3号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n364/c5173291/content.html

3号公告の公式解釈の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810760/c5173292/content.html

・「サービス業分野における困難業種の救済・発展の促進に関わる増値税政策に関する公告」(財政部、国家税務総局公告2022年11号)(「11号公告」)

概要

サービス業分野における困難業種の救済・発展を促進するため、財政部および国家税務総局は2022年3月3日付で、関連する業種の増値税政策について規定した11号公告を公布しました。

11号公告に基づき、「増値税改革の深化に関する政策についての公告」(財政部、国家税務総局、税関総署公告2019年39号)(「39号公告」)および「生活性サービス業に関わる増値税追加控除政策の明確化に関する公告」(財政部、国家税務総局公告2019年87号)(「87号公告」)に規定する以下の増値税追加控除政策の適用期限(2021年12月31日)は2022年12月31日まで延長されます。

  • 生産サービス業の納税者1は、当期に控除可能な仕入税額に加えて、その10%を追加で納税額から控除することができる
  • 生活性サービス業の納税者1は、当期に控除可能な仕入税額に加えて、その15%を追加で納税額から控除することができる

そのほか、11号公告では、公共交通運輸サービスに関わる増値税免除政策などについても規定しています。

¹ 生産サービス業の納税者とは、郵政サービス、電信サービス、現代サービスの提供による売上高が総売上高の50%超を占める納税者をいい、生活性サービス業の納税者とは、文化・体育サービス、教育・医療サービス、観光・娯楽サービス、飲食・宿泊サービス、住民日常サービスの提供による売上高が総売上高の50%超を占める納税者をいいます。

11号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://szs.mof.gov.cn/zhengcefabu/202203/t20220304_3792526.htm

39号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c4160283/content.html

87号公告の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n359/c5137752/content.html

商務法規

・2022年政府活動報告

概要

第13期全国人民代表大会第5回会議で、国務院の李克強総理は2021年の政府活動の回顧および2022年の政府活動の任務を含む政府活動報告(以下、「2022年活動報告」)を行い、その中で、2022年度のGDP成長率の目標が約5.5%であることも示されました。

「2022年活動報告」における租税優遇に関する主な内容は次のとおりです。

税目

納税者

主な優遇内容

企業所得税

小型薄利企業

  • 課税所得額(年)が100万元超300万元未満の部分の企業所得税をさらに半減する1

企業所得税

科学技術型中小企業

  • 科学技術型中小企業の研究開発費用の割増損金算入割合を75%から100%に引き上げる2

企業所得税

ハイテク企業

  • 企業所得税優遇政策の整備

企業所得税

その他の企業

  • 企業の基礎研究への投入に対する租税優遇の実行
  • 設備・器具の加速減価償却政策の整備3

増値税

製造業、小型企業および個人経営者への支援

  • 減税・費用軽減政策の減免幅の引上げ、適用範囲の拡大

増値税

小規模納税者

  • 増値税の段階的な免除

増値税

小型企業

  • 未控除税額の残額/増加額の全額還付

増値税

製造業、科学研究および技術サービス、生態環境保護、電力ガス、交通運輸などの業種

  • 未控除税額の還付問題の全面的な解決

個人所得税

個人

  • 3歳未満の乳幼児の養育費用を特別付加控除に組み入れる4

財政部、国家税務総局およびその他の関連部門は今後、「2022年活動報告」において提起された措置について、一連の税務、商務法規を公布すると見込まれます(一部は既に公布済み)。

前述の「小型企業の企業所得税優遇政策のさらなる実施に関する公告」(13号公告)を参照。

従来の規定では、製造業企業のみ研究開発費用の割増損金算入割合が100%とされていました。

前述の「中小零細企業の設備・器具に関わる所得税の損金算入政策についての公告」(12号公告)を参照。

現行規定に基づく3歳以上の子女教育費の控除基準は1,000元/月/人です。

「2022年活動報告」の全文は下記サイトからご覧ください。
http://www.gov.cn/premier/2022-03/05/content_5677248.htm

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