OECD、BEPS2.0第1の柱におけるAmount Aの税の確実性に関するパブリック・コンサルテーション・ドキュメントを発表

エグゼクティブサマリー

2022年5月27日、経済協力開発機構(OECD)事務局は、経済のデジタル化に伴う課税上の課題への対応(Addressing the Tax Challenges Arising from the Digitalisation of the Economy)に関するOECD/G20プロジェクト(BEPS 2.0 プロジェクト)の第1の柱について、Tax Certainty Framework for Amount A(Amount Aのための税の確実性の枠組み)およびTax Certainty for Issues Related to Amount A(Amount Aに関する課題についての税の確実性)と題した2つのパブリック・コンサルテーション・ドキュメントを発表しました。

一つ目のコンサルテーションドキュメントで定められた税の確実性(Tax Certainty)の枠組みは、多国籍企業(MNE)グループに、Amount A規則に関する確実性を保証することを目的として、 3 つのメカニズムを提案しています。

i. 範囲確実性レビュー(Amount A規則の適用範囲外としたグループが、規則の適用範囲内に含まれないという確実性を提供する)

ii. 事前確実性レビュー(将来の一定期間について、Amount A規則に基づくグループのレベニューソーシング(および潜在的にはセグメンテーション)のための方法について確実性を提供する)

iii. 包括的確実性レビュー(終了期間についてグループのAmount A規則の適用可能性について、多国間で拘束力のある確実性を提供する)

これらの税の確実性のメカニズムの中で生じた意見の相違は、拘束力のある決定パネル(Determination Panel)プロセスによって解決されることになっています。枠組みにはさらに、グループがこれらの確実性のメカニズムを利用しなかった場合に、複数の税務当局が協調的な検討(coordinated review)を通じて同意することを可能にする規定案も含まれています。

「Amount Aに関する問題についての税の確実性」と題した二つ目のコンサルテーションドキュメントには、移転価格と恒久的施設の帰属利益に関する係争について、権限ある当局へ相互協議(MAP)の申し立てを行ってから2年以内に解決できない場合に、強制的・拘束力的なメカニズムにより解決することを定めた規定案が含まれています。この文書には以下の3つが含まれています。

i. 紛争解決へのアクセス

ii. Amount Aに関連する問題についての強制的・拘束力的紛争解決メカニズム

iii. 今後合意されることとなっている特定の基準を満たす開発途上国が関与する紛争のための代替的な選択的・拘束力的紛争解決メカニズム(強制的・拘束力的紛争解決メカニズムの代わりに適用される)

いずれのコンサルテーションドキュメントも、OECD事務局が過去に公開した作業文書と同様に、利害関係者から意見を得るためのもので、包摂的枠組み参加国のコンセンサスを反映したものではありません。これらの文書は、最終的な合意の決定に対して何等の妨げを生じるものではないことを前提に発表されています。また、文書全体を通して、まだ合意されていない主要な分野が特定されており、交渉中に表明された別の見解が脚注で示されている場合もあれば、まだ議論中の提案が括弧書きで示されている場合もあります。

OECDは、規則案に対するコメントを2022年6月10日までに書面で提出するよう求めています。

 

本アラートの詳細は、2022年6月7日付EY Global Tax Alert 「OECD releases public consultation documents on tax certainty under Amount A for Pillar One」(英語のみ)をご覧ください。
 

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