中国、対外貿易及び外資安定に関する租税政策ガイドラインの公表他

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中国JBS‐中国税務および投資速報(日本語要約版)2022年6月

税務法規

1. 企業所得税

・「企業が企業所得税の予納申告において研究開発費用の追加控除優遇政策を享受することに関する公告」(国家税務総局公告2022年10号、以下「10号公告」)

概要

国家税務総局は、2021年に公布した公告により、企業が2021年度第3四半期、または9月期の企業所得税を予納する際、2021年度の研究開発費用について、自主的に追加控除優遇政策を先行して適用することができると定めていました。

企業の科学技術の革新をさらに奨励し、かつキャッシュフローへの影響を緩和するため、国家税務総局は2022年5月20日付で10号公告を公布し、2022年度も引き続き、2021年度と同様の優遇政策を施行することを明らかにしています。

10号公告により、一定の条件に合致する企業は、10月において第3四半期、または9月期の企業所得税を予納する際に、2022年度の第1四半期から第3四半期までの研究開発費用について、自主的に追加控除優遇政策の適用を選択することができます。

また、10月の予納において、優遇政策の適用を選択しない場合には、2022年度の企業所得税確定申告を行う際に、一括して適用を選択することができます。

企業が10月の予納において、自社は科学技術型中小企業の条件に合致すると考える場合、第3四半期、または9月期の企業所得税予納において、第1四半期から第3四半期までの研究開発費用について、一時的に100%の追加控除政策の適用を選択することができます。ただし、年度確定申告において、条件に合致しないことが明らかになった場合には、予納時に享受した優遇は年度確定申告で調整する必要があります。

10号公告は2022年1月1日から施行されます。

10号公告の全文は下記よりご確認ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n362/c5175756/content.html

(参考)研究開発費用の追加控除優遇政策を適用できる企業

条件に合致する企業の類型 2022年度以降において適用される研究開発費用の追加控除優遇政策
製造企業(製造業を主たる業務とし、優遇政策を享受する当年度において、主たる業務収入が収入総額の50%以上に達する企業、業種判定は『国民経済業界分類』 (GB/T 4574-2017)における定義に基づく) 200%
科学技術型中小企業
その他の条件に合致する企業(タバコ製造業、宿泊・飲食業、不動産業、賃貸・商業サービス業、娯楽業、財政部及び国家税務総局が定めるその他の業種を除く) 175%

2. 増値税

・「2022年 増値税の未控除税額還付政策に関する運用ガイドライン」(以下「運用ガイドライン」)

・「増値税未控除税額の全額還付政策の適用業種範囲を拡大することに関する公告」(財政部、国家税務総局公告2022年21号、以下「21号公告」)

・「増値税未控除税額の全額還付政策の適用業種範囲を拡大することに関する徴収管理事項についての公告」(国家税務総局公告2022年11号、以下「11号公告」)

概要

納税者による増値税未控除税額の還付政策適用に関する利便性を高めるため、国家税務総局は、未控除税額還付政策の内容を整理、要約し、2022年5月27日付で関連の運用ガイドラインを公布しました。

運用ガイドラインでは、未控除税額還付政策の適用対象や適用される政策、運用手順などに関して、詳しく説明しています。その他、運用ガイドラインでは、未控除税額還付政策における重要な論点についてもいくつか言及されています。具体的には、例えば以下が挙げられます。

  • 納税者が商品や役務を輸出したことによりクロスボーダーでの課税取引が発生し、かつ輸出増値税の免除控除還付方式を適用する場合において、まず輸出増値税の免除控除還付を行った後、まだ規定された条件に満たしている場合には、さらに未控除税額の還付を申請することができます。輸出増値税の免除控除還付方式を適用する場合、関連する仕入税額を未控除税額の還付に用いることはできません。
  • 納税者は主管税務機関に、未控除税額の還付を申請するか、次期に繰り越して控除するかのいずれかを選択することができます。
  • 納税者は規定された期間内に、未控除税額増加分の還付と未控除税額残額の還付を同時に申請することができます。

また、財政部、国家税務総局は、2022年6月7日付で21号公告を公布し、還付条件を満たす納税者の範囲が拡大されています。具体的には、以下の7業種に属する企業が追加されています。

  • 卸売及び小売業
  • 農業、林業、牧畜業、漁業
  • 宿泊及び飲食業
  • 住民サービス、修理及びその他のサービス業
  • 教育業
  • 衛生、社会福祉業
  • 文化、体育、娯楽業

条件を満たす上記7業種に属する企業は、2022年7月の納税申告期より主管税務機関に未控除税額増加分の還付及び未控除税額残額の一括還付を申請することができます。この還付政策は、2022年7月1日より施行されます。

国家税務総局は2022年6月7日付で、合わせて11号公告を公布し、関連する徴収管理事項も明らかにしています。11号公告も2022年7月1日より施行されます。

なお21号公告における7業種に属する企業とは、「国民経済業種分類」における7業種の事業に従事することによる増値税課税売上高の、増値税課税総売上高に占める割合が50%を超える増値税納税者のことを指します。

各関連規定の全文は下記よりご確認ください。

運用ガイドライン
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/c102089/c5175626/content.html

21号公告
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n359/c5175898/content.html

11号公告
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n359/c5175899/content.html

3. その他

・「対外貿易及び外資安定に関する租税政策ガイドライン」(以下「租税ガイドライン」)

概要

納税者が各政策及び措置を正確に把握し、かつ適時に運用することができるよう、国家税務総局は2022年5月31日付で租税ガイドラインを公布し、44項目の対外貿易及び外資分野に関する租税支援政策と徴収管理サービス措置を整理し公表しました。

租税ガイドラインにおける44項目では、主に以下の内容が含まれています。

対外貿易の安定に関する租税政策

  • 商品及び役務の輸出に関する租税政策
  • クロスボーダーでの課税取引に関する増値税政策
  • 対外貿易の新業態に関する税収政策
  • 輸出還付 (免) 税サービスの利便化措置

外資の安定に関する租税政策

  • 外商投資の奨励に関する租税政策
  • 金融市場の対外開放支持に関する租税政策

租税ガイドラインには、各租税優遇政策の適用対象、政策内容、適用条件、政策根拠等が整理された資料、及び関連する租税政策一覧表の2つの付属文書が設けられています。

租税ガイドラインは、納税者が適用できる租税優遇策に関する情報を迅速に収集し、かつその適用条件を充足するか否かの分析検討において、有益なものと考えられます。

租税ガイドラインの全文は下記よりご確認ください。
http://www.chinatax.gov.cn/chinatax/n810341/n810825/c101434/c5175739/content.html

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