米国内国歳入庁2022-2023年優先ガイダンスプラン、昨年同様の移転価格プロジェクトを含むものに

  • 米国内国歳入庁(IRS)および財務省は、特定の移転価格の規定に関するガイダンスの策定を引き続き行っています。
  • 納税者が、事前協議やその他の移転価格問題を検討する際には、これらのガイダンスに即する必要があります。

2022-2023年優先ガイダンスプランの中で、IRSと財務省は、2022年7月1日から2023年6月30日までの計画年度で、どのプロジェクトに予算や人的資源を配分するかをリストアップしています。今年の計画には、2021-2022年のガイダンスプラン(2021年9月29日付EY Global Tax AlertUS IRS and Treasury release 2021-2022 Priority Guidance Plan with new transfer pricing projectsをご参照ください)に記載されたものと同様の移転価格関連プロジェクトが含まれています。

IRSと財務省は、内国歳入法セクション482条1の規制に基づき、独立企業間価格の算定に及ぼすグループメンバーシップの影響(特に金融取引)を明確にする移転価格プロジェクトを再び取り上げました。さらに、今年のガイダンスプランには、(1)米国の租税条約の下、米国の権限のある当局に対して支援を要請・取得するための手続を定める歳入手続2015-40、および(2)事前協議を要請・取得するための手続を定める歳入手続2015-41の更新が再度盛り込まれました。

2021-2022年のプランと同様に、今回のガイダンスプランでは移転価格を対象とするセクション367条と482条の規定が挙げられています。このプロジェクトは、2021–2022年優先ガイダンスプランの2つのプロジェクトを組み合わせたものと思われ、(1)367条(d)および482条の「集約、現実的な代替案、無形資産の定義」の変更に対応する規定、(2)定期的な調整など独立企業原則の一定の側面を明確にする482条の規定が含まれています。

2021-2022年のプランと異なり、今年のガイダンスプランには、482条の規定に関するプロジェクトのうち、「異なる分類の取引に関する特定方法のガイダンスと最適方法ルールの調整」や「取引や取り決めの事実関係に基づくリスク配分を決定する裁量」に関する部分は含まれていません。

また、ガイダンスプランには、昨年同様、367条(d)の対象となる無形資産のインバウンドの移転が含まれています。米国人が351条または361条に基づく交換で外国法人に無形資産移転する場合、国外への移転は一般的に367条(d)の適用を受けることになります。

今後の影響

移転価格に関するいくつかの項目が優先ガイダンスプランに含まれ、IRSが追加予算を確保したことは、移転価格に関する執行活動が今後前進することを示しています。さらに、歳入手続2015-40と2015-41の修正は、事前確認・相互協議プログラムの承認基準、および権限ある当局による支援の要請をどのように構成するかについて、納税者により多くのガイダンスを与えることになります。
 

巻末注

  1. すべての「セクション」参照は、1986年内国歳入法およびそれに基づいて公布された規則を指します。

     

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