オーストラリア、公開草案(ED) ― 国別報告書の公表および税務への取組みに関する声明を含む多国籍企業の税務の透明性対策

特定の大規模多国籍企業に対し、一定の国別(country-by-country:CBC)税務情報を公表することを義務付ける法案および説明用のメモランダム(EM)草案がオーストラリア財務省(こちら)より公表され、コンサルテーションが行われています。

これは、多国籍企業向け税務のインテグリティと透明性対策に関連する2022年選挙での労働党の発表に伴う22年の予算措置です。

今回の改正案では、CBCレポーティング親会社(CBC reporting parent)が特定のカテゴリーである法人、パートナーシップ、トラストに該当し、CBCレポーティンググループのメンバーである場合、国税庁長官(Commissioner of Taxation)主導の下、オーストラリア政府のウェブサイトに承認された様式で特定の税務情報を公表することが求められます。違反した場合は罰則が適用されます。

国税庁長官は、海外との取引が少ない企業に対して、書面による通知を行うことで新措置の適用から除外することができます。

CBCレポーティング親会社は、CBCレポーティンググループ内の各企業名と、グループの税務への取組みの概要を公表することが義務付けられています。

CBCレポーティンググループが活動する所在国ごとに、CBCレポーティング親会社は、グループレベルで以下の情報を公表する必要があります:

  • 主な事業活動
  • 従業員数
  • 非関連会社からの売上高
  • 関連会社間取引による売上高
  • 関連会社間取引による費用
  • 税引前利益(損失)
  • 無形資産目録(評価額を含む)
  • 有形資産目録(評価額を含む)
  • 法人所得税納税額(現金ベース)
  • 未払法人所得税(当期)
  • 実効税率
  • 未払法人所得税(当期)と当該所在国の適用税率を税引前損益に適用した場合に発生する法人所得税額との差異の理由
  • 上記情報の算出および表示に使用された通貨
  • 追加的な要件が規則により追加されることがあります

これらの税務情報は、当該課税年度の終了後12カ月以内に公表されなければなりませんが、国税庁長官は書面による通知により、代替課税年度を承認することができます。

この改正は、2023年7月1日以降に開始する課税年度の報告義務に適用されます。

財務省は、2023年4月28日まで公開草案に関するコンサルテーションを受け付けています。


*英語版と翻訳版に相違がある場合は英語版が優先されます。

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Brisbane
渡辺 登二 ディレクター

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※所属・役職は記事公開当時のものです



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