ブラジルの新しい移転価格税制と関税評価への影響

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  • ブラジル政府は、独立企業間原則を採用した新しい移転価格(TP)税制を公表した。
  • この新税制は、関連当事者から商品を輸入する関税評価にも影響を与える可能性がある。

2022年12月29日、ブラジル政府は、国内で新しいTPルールを導入する暫定措置(PM) 1,152号を公表しました。

当該PMは、大統領によって署名および公布され、法制化されるためには、公布から60暦日以内(さらに60暦日延長可能)に議会で承認される必要があります。

新しいTPルールの詳細については、2022年12月30日付EY Global Tax Alert「Brazilian Government publishes Provisional Measure adopting arm’s-length principle(英語のみ)」をご参照ください。

本アラートでは、この新税制が関税評価に与える影響に焦点を当てます。

新移転価格税制が関税評価に与える影響

ブラジル連邦歳入庁(RFB)は2022年6月23日、標準措置2,090号(IN RFB 2.090/22)の通達で、ブラジルの輸入業者が関連当事者から商品を輸入する関税評価にTP評価方法を利用できることを正式に決定しました。近年、税関調査でもこの評価方法が適用されていました。

一方、ブラジル税関当局が、TP税制上で規定されたパラメータ価格(例えば、現地市場における輸入品の再販価格を確定するためのみなし利益率や固定利益率を想定した価格)を関税課税価格の検証に用いたことにより、納税者と税務当局との間で異なる解釈が生じていました。納税者は、パラメータ価格による算定が現地で実際に販売されている価格と合わないため、ブラジルで申告された関税課税価格を検証するための適切な根拠にはなっていないと主張していました。

今回、TP税制を修正したPM1,152号の導入により、新しいTP検証方法が関税価額の公正化につながることが期待されています。新しいTP税制は従前と異なり、みなしマージンや固定マージンに基づきません。代わりに、おのおのの当事者が取引において果たす機能およびリスクの分析、ならびに独立した当事者間で行われるであろう価格を使用する方法、すなわち独立企業間原則に沿ったアプローチに焦点が当てられており、その結果関税評価原則とも広く一致することとなります。

新しいTP税制は2024年1月から施行されますが、納税者はこの税制度に従って、今年度(2023年)からの適用を選択できます。2023年に一旦新TP税制を選択すると、その取消が出来ない点にも留意する必要があります。

このような状況下、関税評価とTP検証方法との調和を図ることが今後不可欠となります。今後ブラジルの輸入業者は、関連会社間の取引価格が当事者間の関係によって影響を受けていないことを証明できるようになり、会社間取引で公正かつ論理的な市場価格を証明することができるようになります。その結果、ブラジル税関当局が従前より使用してきたパラメータ価格をベースとした課税価格の評価適用のリスクを低減することができます。

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※所属・役職は記事公開当時のものです

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