EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2023年4月11日、ガブリエル・ボリッチ大統領率いるチリ政府は、現在上院で審議中の鉱業ロイヤルティ法案(法案12093-08号)の承認に向けた修正案を提出しました。
修正案には、以下の3つの基本事項が含まれています。
現地でいわゆる安定税制(通称「tax stability」税制)と呼ばれる税制の対象となる鉱業会社は、四半期ごとに監査済みの財務諸表をCMF宛に申告することが義務付けられています。ただし、この法令の一部が廃止されたことにより当該申告義務化は、個々の契約が終了した時点で消滅することになりました。これまで監査済み財務諸表を通じてCMFに申告されてきた情報が、公共政策の設計の上で有用であるとみなされてきたことを鑑み、修正案では、この申告義務(同じく四半期ベース)を鉱業界の納税者全般に適用することを提案しています。
現行の「RIOMA」(調整後鉱業営業利益)に基づくと課税ロイヤルティを決めるためのマージンのベースとなる課税所得には、(現在適用されている鉱業に対する特定税とは異なり)スタートアップ・操業費用の損金算入を認めていません。修正案では、これら費用を、所得税法上設定されている最長6年間にわたる償却を行うことが認められています。したがって、所得税法上の償却が6年未満の期間で完了した場合、6年間の償却全額が反映されるようにRIOMAを調整する必要があります。
修正案では、所有者が利益分配金を支払う際に適用する税率に上限を設定することを提案しています(通称「Global Complementary or Additional Tax」課税)。鉱業ロイヤルティ納税者に課税される所得税とロイヤルティ課税、利益分配に掛かる最終税を含めて、最大課税率(「最大潜在的税負担」とも呼ばれます)に上限が設けられます。具体的には、所有者が支払う鉱業ロイヤルティ課税、最終税(利益の100%を分配すると仮定)の合計が、税引き前RIOMAで定義される営業利益率の48%を超える場合には、ロイヤルティ課税額を調整することで当該利益率が48%を超えないよう調整されます。
前記の通り、最終税は、100%分配を前提とし、法人税等を含む所得税法上の純課税所得に対しては35%の税負担を前提として算出されます。この方式により、銅価格が高いビジネスサイクルでは、高水準の営業利益に対する税が過度な課税を生じさせないようにし、通常のサイクル、または低価格のサイクルでは歳入を確保することが可能となります。
最後に、政府は上院に対して本修正案の根拠を、税制安定化措置内に鉱業界宛の説明を行う予定でしたが、本修正案ではそのような詳細な説明は盛り込まれていませんでした。
Ernst & Young Tax Co., Latin America Tax Desk, Japan & Asia Pacific
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※所属・役職は記事公開当時のものです
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