中国JBS‐中国税務及び投資速報(日本語要約版)2023年6月
税務法規
1. 企業所得税
・研究開発費用の加算控除政策を享受するための予納申告の最適化に関する事項の公告(国家税務総局・財政部公告2023年第11号)
概要
国家税務総局公告2022年第10号(以下「10号公告」、「企業の研究開発費用の加算控除優遇政策を享受するための予納申告の最適化に関する事項の公告」)に基づき、企業が10月に第3四半期分(四半期毎の予納申告)または9月分(月毎の予納申告)の企業所得税を予納申告する際、その年度の第1四半期から第3四半期までの研究開発費用の加算控除政策を享受することができるとされていました。
研究開発費用の加算控除政策を享受するための予納申告手続きを最適化し、企業による早期の優遇享受を促進するため、国家税務総局と財政部は23年6月21日に共同で国家税務総局、財政部公告2023年11号(以下「11号公告」)を公布し、研究開発費用の加算控除政策を享受するための予納申告の最適化に関する具体的な事項を明らかにしました。
11号公告に基づき、23年1月1日より、条件を満たす企業は自主的に以下の方式を選択し、企業所得税の予納申告において研究開発費用の加算控除政策を享受することができます。
選択肢 | 申告時期 |
第2四半期分(四半期毎の予納申告)または6月分(月毎の予納申告)の企業所得税を予納申告する際に、その年度の上半期における研究開発費用の加算控除政策を享受する。 | 7月 |
第3四半期分(四半期毎の予納申告)または9月分(月毎の予納申告)の企業所得税を予納申告する際に、その年度の第1四半期から第3四半期までにおける研究開発費用の加算控除政策を享受する。 | 10月 |
また、条件を満たす企業は、年度確定申告(翌年5月末)の際に申告し、まだ享受していない研究開発費用の加算控除政策を享受することもできます。
企業が研究開発費用の加算控除政策を享受する場合には、「実際に発生したものを自ら判別し、申告を通じて享受し、事後の調査に備えて関連資料を保存する」の方式が採用され、企業は「中華人民共和国企業所得税月度(四半期)予納申告表(A類)」及び「研究開発費用の追加控除優遇明細表」に記入する必要があります。「研究開発費用の追加控除優遇明細表」は、規定されたその他の資料とともに、事後の調査に備えて保存しなければなりません。
適時に租税優遇政策を享受することによるキャッシュフローへの影響を考慮し、条件を満たす納税者において上半期中に多額の研究開発費用が生じた場合には、7月にその上半期に係る研究開発費用を申告し、加算控除政策を享受することが考えられます。
2. 個人所得税
・粤港澳大湾区における個人所得税優遇政策のさらなる実施に関する通知(粤財税2023年第21号)
概要
財税2019年31号通達(以下「31号通達」、「粤港澳大湾区における個人所得税優遇政策に関する通知」)に基づき、19年1月1日から23年12月31日までの間、大湾区で働く海外ハイエンド人材と不足人材(以下「海外人材」)に対して、珠江デルタ9市で納税済みの個人所得税額がその課税所得額の15%を超える部分につき、珠江デルタ9市の人民政府より財政補助金を支給し、かつその補助金(以下「個人税補助金」)は個人所得税免税とされています。
この31号通達に基づき、広東省科学技術庁、広東省財政庁、国家税務総局広東省税務局及び広東省人力資源と社会保障庁は、23年6月2日に共同で粤財税2023年21号通達(以下「21号通達」)を公布し、大湾区個人所得税優遇政策をさらに実施することが明らかになりました。
21号通達では、珠江デルタ9市の各納税年度の納税者の個人税補助金の額は、毎年1人当たり最高で500万人民元を超えないことが明確に規定されています。これまで深圳市を除き、大湾区のその他の地方政府部門が、書面による通知で個人税補助金の上限額に言及したことはありませんでした。
21号通達により、「個人所得税納付済税額」とは、総合所得(つまり賃金・給与所得、労務報酬所得、原稿報酬所得及び特許権使用料所得)、事業所得及び人材プロジェクトなどへの参画により取得した補助金に係る個人所得税を言います。
海外人材は現地の主管部門に認定を申請し、個人税補助金を取得します。しかしながら現在のところ、大湾区内の9市は21年度の個人税補助金申告受付(通常は22年までに完了)をまだ開始していません。合理的な観点から推測するに、大湾区の関連する地方政府部門は今年中に、21年度と22年度の個人税補助金の申告受付を開始すると考えられます。条件を満たす納税者は、継続的に動向を注視の上、現地主管部門が公表する通知に留意し、適時に対応を採ることが推奨されます。
31号通達に規定された個人税補助金に関する政策は、24年1月1日に失効します。この政策が今後も継続されるか否かは未定です。
なお上述の珠江デルタ9市とは、広東省の広州市、深圳市、珠海市、佛山市、恵州市、東莞市、中山市、江門市及び肇慶市を指します。
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