メキシコ大統領、輸出産業に税制優遇措置を付与

2023年10月11日、主要な輸出産業部門に税制上の優遇措置を付与する政令が公布されました。この目的のために、当該優遇措置の恩恵を受ける主要部門が特定されています。政令は、サプライチェーンとオペレーションチェーンを中断させないことを目指すニアショアリング効果を考慮したもので、投資の呼び込みためにメキシコを有利な立ち位置に置くものです。

外国からの投資を奨励するため、次のリストに従って、産業における生産、加工、製造に専念し、輸出産業の主要部門で輸出を行う人々(企業/個人)に税制上の優遇措置が付与されます:

I. 人および動物用の食品
II. 肥料および農薬
III. 製薬用原料および医薬品
IV. 簡易またはロードされたカード、回路、コンデンサー、抵抗器、コネクター、半導体、コイル、変圧器、ハーネス、およびコンピューターや電話用のモデムなどの電子コンポーネント
V. 時計用機械、計測・制御・ナビゲーション機器、医療用電子機器
VI. バッテリー、アキュムレーター、電池、電気ケーブル、プラグ、コンセント、ヒューズおよび電気設備用付属品
VII. 自動車、バン、トラック用のガソリンエンジン、ハイブリッド、および代替燃料エンジン
VIII. 自動車、バン、トラック、列車、船舶、航空機用の電気・電子機器、ステアリングシステム、サスペンション、ブレーキ、トランスミッションシステム、シート、内装品、およびダイカスト金属部品
IX. 航空機用内燃エンジン、タービン、およびトランスミッション
X. 医療・歯科・実験室用の非電子機器・装置、医療用使い捨て材料、および眼科用光学製品

税制上の優遇措置は、固定資産(メキシコで初めて使用するもの)への投資の即時償却から成り、政令で定められた償却率のみを適用して投資額から控除し、対象となる物品の種類に応じて86%から89%の範囲、また、対象となる機械設備が使用される活動に応じて56%から88%の範囲となります。さらに、毎月の法人税支払いにおいて即時償却が反映される仕組みが設けられており、企業のキャッシュフローに恩恵をもたらします。

なお、恩恵を受ける納税者には、従業員の訓練に要した経費の25%が追加で損金算入される税制優遇措置が与えられます。

この政令の恩恵を受ける納税者は、一定の要件を満たす必要があり、連邦納税者登録簿に登録されていること、コンプライアンスに関して肯定的な税務意見を有していること、税制優遇措置の適用を選択する旨の通知書を提出することなどが定められています。これらの要件のいずれかが満たされない場合は、税金、更新料、対応する課徴金を負担しなければならず、税制優遇措置は無効となります。

税額控除(タックスクレジット)を有している納税者、オンラインでのデジタル税領収書の発行証明書をキャンセルした納税者などは、税制上の優遇措置の適用から除外されます。

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※所属・役職は記事公開当時のものです