米国エネルギー省、インフレ削減法に基づく先端エネルギー事業の投資税額控除の第2ラウンド申請受付を開始

  • 申請プロセスは第1ラウンドと同じ。
  • コンセプトペーパーの受付は2024年5月22日から2024年6月21日まで。
  • 2024年夏に正式申請の受付を開始し、受付期間は50日間。
  • 第2ラウンドの投資税額控除割り当て決定は、遅くとも2025年1月15日までに決定される。

内国歳入庁(以下、「IRS」)と財務省は、Notice 2024-36(以下、「Notice」)で、新内国歳入法(以下、「IRC」)セクション48C(e)プログラムの割り当て第2ラウンドの指針を発表しました。先端エネルギー事業投資に60億USドルが割り当てられ、このうちエネルギーコミュニティ人口調査において、標準地域にあるプロジェクトに25億USドルが配分されます。IRSは、第2ラウンドが終了した時点で、未配分の枠があるかどうか、また再度割り当てを行う必要があるかどうかを判断するとしています。

背景

インフレ削減法(IRA)によって延長されたIRCセクション48Cは、先端エネルギー事業に対する投資税額控除を提供しています。IRCセクション48Cに基づく控除は、基本控除が6%です(ただし、相場賃金と見習い使用要件を満たす場合、控除率は最大で30%になります<2022年12月7日付EY Global Tax Alert「New guidance explains wage and apprenticeship requirements for increased renewable energy tax credits」(英語のみ)参照>)。

Notice 2023-18では、IRCセクション48C控除を割り当てるためのIRCセクション48C(e)プログラムが確立され(2023年2月16日付EY Global Tax Alert「IRS and Treasury outline application process and other requirements for claiming IRC Section 48C credits for qualifying advanced energy projects」<英語のみ>参照)、さらなる指針がNotice 2023-44(2023年6月6日付EY Global Tax Alert「IRS releases additional guidance on claiming credits under IRC Section 48C for qualifying advanced energy projects」<英語のみ>参照)で公表されました。

先端エネルギー事業とは、以下のような事業として定義されます。

  • 所定の先進エネルギー資産を生産、もしくはリサイクルするための工業施設、あるいは製造施設を追加装備する、拡大する、または設立するもの。
  • (1)低炭素、もしくはゼロ炭素を実現する熱供給システム、(2)炭素回収・輸送・利用・貯蔵システム、(3)エネルギー効率化および産業プロセスからの廃棄物削減のための設備、あるいは、(4)温室効果ガス排出削減を目的とした、その他の産業技術の導入により、温室効果ガス排出量を20%以上削減するように設計された設備であり、産業施設、もしくは製造施設を改修するもの。

または、

  • 重要な材料(2020年エネルギー法第7002条(a)に定義)の加工、精製、リサイクルのための産業施設を追加装備する、拡大する、もしくは設立するもの。

第2ラウンドの指針

通知によると、第2ラウンドは第1ラウンドと同じ方法で実施されます。第1ラウンドで配分を受けられなかった場合でも、申請者は第2ラウンドで申請できないということではありません。申請手続きの詳細については、これまでの通達と更新された附属書AおよびBならびにCに記載されています。申請手続きの詳細については、2023年6月6日付EY Global Tax Alert「IRS releases additional guidance on claiming credits under IRC Section 48C for qualifying advanced energy projects」(英語のみ)をご参照ください。

申請手続きは2つの段階からなっています。最初にコンセプトペーパーをエネルギー省(以下、「DOE」)に提出し、次に正式なIRCセクション48C(e)プログラム申請書をDOEに提出します。

コンセプトペーパーについては、DOEが2024年5月22日に適格先端エネルギープロジェクト控除プログラム申請者ポータル(48C Portal)を開設し、ポータル開設後30日間となる2024年6月21日の午後5時(米国東部標準時)まで、提出が受け付けられます。

IRCセクション48C(e)プログラムの申請については、2024年夏に本申請を受け付けるためにポータルが開設される予定です。Noticeによると、このポータルの開設と閉鎖の正確な日付は、後日48Cポータルに掲載されるということです。IRCセクション48C(e)プログラムの申請に際しては、ポータルの開設後50日以内に申請を提出する必要があります。

IRSは2025年1月15日までに割り当ての決定を行います。

第2ラウンドの注目すべき変更点

先端エネルギー事業プログラムの第2ラウンド(付録A)が変更された目的の多くは、各カテゴリーにおける用語の明確化と適格および不適格なプロジェクトの例をクリアにするものです。変更内容は次のとおりです。(1)適格な技術を導入する事業とは、単なるクリーンエネルギーの製造やリサイクルではなく、「その他の先進的エネルギー資産」や「産業脱炭素化」の事業カテゴリーの下でのみ、適格になり得ることを明確にする、そして(2)適格な電解槽資産の例にアルカリ電池、プロトン交換膜、固体酸化物電解セルを追加するなど、特定のカテゴリーを拡大して新技術を含める。さらに、「その他の先進エネルギー資産」の適格な資産の例に、いくつかの燃料、化学物質、材料が追加されました。これらの追加には、低炭素セメント、低炭素鉄鋼、低炭素アルミニウム、低炭素化学物質、低炭素ガラスなど、業界平均と比較して排出量が大幅に低いエネルギー集約型材料を製造またはリサイクルする施設が含まれます。

さらに、2023年ラウンドの「温室効果ガス排出削減事業」カテゴリーは、「産業脱炭素事業」に名称変更されました。Noticeは、このカテゴリーが既存施設におけるエネルギー効率の高い改修事業に焦点を当てていることを明確にしています。必要な施設レベルの排出削減量は、施設(またはサブユニット)のベースライン排出量の最低20%に据え置かれます。

影響

IRCセクション48C(e)に基づく2024年の資金支援ラウンドのタイミングは早められており、申請者は、配分ラウンドが開始された後、コンセプトペーパーを準備し、提出するのに30日ありません。したがって、納税者は、速やかに事業に対する投資計画の評価プロセスを開始する必要があります。多くの事業カテゴリーが拡大され、特定の展開事業が含まれることから、2023年ラウンドでは対象外であった多くの産業、技術、材料が、2024年ラウンドでは申請対象となる可能性があると予想されます。可能性のある事業を検討する際には、納税者は、優先分野ならびに適格および不適格な事業の例に細心の注意を払って事業を検討し、正しいカテゴリーの下で申請できるように留意すべきです。

さらに、導入事業が含められることで、特定の技術が「産業脱炭素化事業」カテゴリーに適用するのに十分な温室効果ガス削減につながらなかったとしても、納税者は特定の技術の導入に対する配分を受け取ることができる可能性があります。IRSとDOEがIRCの下で利用可能な残りの60億USドルの資金を割り当てようとする中、各カテゴリーの対象事業の拡大と明確化、および優先分野の拡大が合わさり、非常に競争の激しい応募ラウンドとなることが予想されます。

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