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海外の保険会社により公表された2024年次財務報告から得られる所見
~IFRS第17号及びIFRS第9号の適用~


日本の保険会社によるIFRS適用の検討、IFRS適用域内の保険子会社の財務分析、IFRS適用地域への投資判断の際、保険業界で先行する開示事例の分析は有用となるでしょう。


要点

  • EYはグローバルに活動する保険会社50社の連結財務諸表(2024年12月31日時点)におけるIFRS第17号及びIFRS第9号に関する各社の開示を分析し、独自に財務指標を定義・計算した上で比較した。
  • 加えて、KPIや会計方針の変更などに関する分析も実施している。

欧州を中心に多くの保険会社が2023年1月1日からIFRS第17号及びIFRS第9号の適用を開始しています。
EYはグローバルに活動する保険会社50社の年次財務諸表におけるIFRS第17号及びIFRS第9号の適用の影響について分析しました。レポートReporting under IFRS 17 and IFRS 9 Observations from year-end 2024 financial statements published by insurers(PDF、英語版のみ)”では、その分析結果について、詳しく考察しています。


同レポートでは、

  • 2024年12月31日時点の税引前純利益に対する保険サービス損益、金融損益やその他損益の寄与割合、及び同日時点の包括利益に対する税引後利益やその他の包括利益の寄与割合
  • 2024年12月31日時点の保険サービス損益に占める、CSMのリリース金額、非金融リスクに係るリスク調整のリリース金額、当期のサービスに関連する実績差異などの割合
  • 2024年12月31日時点の(一般モデル及び変動手数料アプローチが適用される)保険契約負債について、履行キャッシュ・フローの現在価値に対する、非金融リスクに係るリスク調整の割合及び(保険料配分アプローチが適用される)発生保険金に係る負債について、履行キャッシュ・フローの現在価値に対する、非金融リスクに係るリスク調整の割合
  • 2024年12月31日時点の(一般モデル及び変動手数料アプローチが適用される)残存カバーに係る負債について、履行キャッシュ・フローの現在価値に対する、CSM残高の割合
  • 2024年度に獲得した新契約に係るCSMの金額と、2024年度にリリースしたCSMの金額との比較
  • 2024年度中の新契約のCSM(新契約に係る損失要素を控除後)と、当該新契約のキャッシュ・インフロー(予想保険料)の現在価値の比較(新契約の収益性)
  • (純損益へのリリース前の)2024年度末のCSM残高に対する、CSMの純損益へのリリース額の割合
  • 2024年12月31日時点のCSM残高合計に対する、移行時に修正遡及アプローチが適用された契約グループ、公正価値アプローチが適用された契約グループ、その他の契約グループ(完全遡及アプローチが適用された契約を含む)ごとのCSMが占める割合
  • 2024年12月31日時点のCSMが純損益に認識される将来期間
  • 2024年12月31日時点の(損失要素を除く)残存カバーに係る負債に対する、損失要素の割合
  • 2024年12月31日時点の残存カバーに係る負債における損失要素に対する、残存カバーに係る資産(再保険契約)における損失回収要素の割合
  • 2024年12月31日時点の発行した元受保険契約グループのCSMに対する、再保険契約のCSMの割合
  • 負債性金融商品及び資本性金融商品のIFRS第9号に基づく分類(FVPL、FVOCI、償却原価測定への分類)
  • KPI(資本、営業損益<operating profit>、税引前純損益<net profit before tax>、コンバインド・レシオ、ROE)の期間比較
  • IFRS第9号及びIFRS第17号に係る会計方針の変更、会計上の見積りの変更や誤謬の訂正の有無、及びIFRS第17号の割引率に含まれる非流動性プレミアムの推算及び期間比較


などが分析されています。

日本の保険会社によるIFRS適用事例はまだ少ないですが、今後、自社におけるIFRSへの移行の検討、IFRS適用域内の保険子会社のIFRSに基づく財務数値の分析、及び同地域への新規投資の検討等に際して、先行する事例の分析は参考となるものでしょう。

レポートの全文は、「Reporting under IFRS 17 and IFRS 9 Observations from year-end 2024 financial statements published by insurers(PDF、英語版のみ)」をご覧ください。


PDF資料をダウンロード(英語版のみ)


サマリー

多くの国及び地域で、2023年1月1日よりIFRS第17号の適用が開始されています。2024年12月31日時点の年次財務諸表をもとにEYがその財務的側面に与える影響についてさまざまな角度から分析を行いました。IFRS第17号が与える影響を理解することは、日本の保険会社によるIFRS適用の検討、IFRS適用域内の保険子会社の財務分析、IFRS適用地域への投資判断の際、有用となるでしょう。


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