IFRS第17号およびIFRS第9号の影響に関する保険業界の最新情報～海外の保険会社グループが公表した上半期の期中財務諸表からの所見～

日本の保険会社によるIFRS適用の検討、IFRS適用域内の保険子会社の財務分析、IFRS適用地域への投資判断の際、保険業界で先行する開示事例の分析は有用となるでしょう。

要点

• EYはグローバルに活動する保険会社30社の期中財務諸表（6月30日時点）におけるIFRS第17号およびIFRS第9号に関する各社の財務指標を比較・分析した。
• 加えて、主要なメソドロジーの選択（例えば、保険契約負債の測定に用いる割引率の決定方法）やKPIの設定に関する比較も実施している。

欧州を中心に多くの保険会社が2023年1月1日からIFRS第17号およびIFRS第9号の適用を開始しています。

EYはグローバルに活動する保険会社30社の上半期の期中財務諸表（IAS第34号に準拠）におけるIFRS第17号およびIFRS第9号の適用の影響について分析しました。レポート” Market updates on the impact of IFRS 17 and IFRS 9（PDF、英語版のみ）”では、その分析結果について、詳しく考察しています。

同レポートでは、

• 2023年6月30日時点の保険収益に対する純利益（net profit）の比率（net profit margin）、およびその期間比較
• 2023年6月30日時点の保険契約負債のうち、契約上のサービス・マージン（CSM）や非金融リスクに係るリスク調整が占める割合、およびその期間比較
• 2023年6月30日時点のCSM残高に対する、過去6か月間のCSMリリース額の比率、およびその期間比較
• CSMリリース額と（新契約獲得による）CSM増加額との比較（CSM成長率）、およびその期間比較
• 全期間の予想信用損失（lifetime expected credit loss）が、（FVOCI及び償却原価で測定される）負債性金融商品に対してどの程度計上されているのか
• 保険契約負債の測定に用いる割引率や非金融リスクに係るリスク調整の決定方法、および保険金融収益費用に係るOCIオプションの適用有無
• KPI設定に関する比較

などが分析されています。なお、各社の2023年度の年次報告書でより多くの情報が開示され次第、本分析の更新を予定しています。

日本の保険会社によるIFRS適用事例はまだ少ないですが、今後、自社におけるIFRSへの移行の検討、IFRS適用域内の保険子会社のIFRSに基づく財務数値の分析、および同地域への新規投資の検討等に際して、先行する事例の分析は参考となるものでしょう。
 

レポートの全文は、「Market updates on the impact of IFRS 17 and IFRS 9（PDF、英語版のみ）」をご覧ください。