Mojo Fertility社が、男性の生殖能力をどのように支援しているか

Mojo Fertility社が、男性の生殖能力をどのように支援しているか


EY Studio+チームは、新たな顧客体験とバリューチェーンの設計を通じて、革新的な生殖能力検査技術を、それを必要とする人々へ直接届けました。


要点

  • Mojo Fertility社はAI技術により生殖能力検査の精度を大幅に向上させたが、利用促進のためには日常的にアクセス可能な体験設計が課題であった。
  • EY Studio+は「自己をデータで把握する」潮流に着目し、ターゲットを再定義したうえで家庭用検査キットとブランド・体験設計を一体で開発した。
  • 家庭用検査キットの導入により利便性と精度を両立し、男性の意識変革とサービス普及を促進するとともに市場価値の拡大につなげた。


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妊娠・出産支援に向けて、男性が自ら生殖能力データを活用できるようにするには

不妊・生殖医療分野における男性向けの生殖能力検査・分析技術を提供する、Mojo Fertility社は、高精度な検査結果を提供しています。次の課題としては、どのようにそれをより身近なものにすることでした。


毎年、約1億8,000万人が不妊の課題に直面しています。これは、6組に1組のカップルに相当します。また、世界的にも男性の生殖能力は低下しており、生殖機能の指標である精子数は過去40年間で50%減少しています。その一方で、不妊治療を受けているのは全人口の1%未満にとどまっているのが現状です。

妊娠に悩む多くのカップルは、体外受精(IVF: In Vitro Fertilization )などの生殖補助医療に頼りますが、高額で、精度やスピードにも課題があり、精神的負担も大きいのが現状です。最終的に、75%は妊娠に至らないと言われています。

精子の質低下は、妊娠に大きな影響を及ぼします。しかし、従来の生殖能力検査の精度は約30%に過ぎません。検査機関で技師が顕微鏡を使って目視で数える方法しかなく、そのプロセス自体が時代遅れになっていました。

Mojo Fertility社の共同創業者であるMohamed Taha氏は、自身が3つの異なる検査機関で精子数の検査を受け、結果が食い違うという経験をしました。ご本人はこの一連の経験を「好ましいものではなかった」と振り返っています。

こうした課題を背景に、2017年、Taha氏、Daniel Thomas氏、Fanny Chesa氏、Tobias Boecker氏は、検査プロセスからヒューマンエラーを排除し、より良い体験を提供することを目的にMojo Fertility社を設立しました。

同社は、精子を95%の精度でカウントし、精子数、運動性、DNAの完全性を分析できるAIベースの新技術を開発しました。しかし、その価値を医療機関に的確に伝えることができていませんでした。

ストックホルムのEY Studio+チームは創業者と連携し、北欧の不妊治療ラボを対象としたブランド開発およびコミュニケーション施策を開始しました。

さらに、チームメンバーは男性を直接ターゲットにする機会を見いだしました。

調査の結果、男性はパートナーとの妊娠問題が生じた場合にのみ、生殖能力検査を受ける傾向があることが分かりました。そのためMojo Fertility社の取り組みには、課題が顕在化する前に関心を喚起するプル型のアプローチが必要でした。

Mojo Fertility社のミッションを実現するためには、プッシュ型だけではなく、自然に関心を持ってもらう仕組みが必要でした。男性は自分自身の生殖能力が気になった時に初めて、その重要性に向き合うからです

男性の生殖能力について、オープンに語れる社会を目指す
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男性の生殖能力について、オープンに語れる社会を目指す

「自己をデータで把握する(Quantify me)」という潮流を捉え、新たなブランドとテクノロジーが、意識と行動の両面を変えつつあります。


当初、EY Studio+チームは18~25歳の男性を対象に意識調査を行いました。この層は、これまでタブーとされてきたテーマについても、オープンに話す傾向があります。

しかし、調査では多くの人は自身の生殖能力に関心を示しませんでした。理由はシンプルで、まだ「子どもを持つこと」を具体的に考えていない人が大半だったためです。

そこでEY Studio+チームは、将来父親になることに関心を持ち始める25~35歳にターゲットを広げました。この層では、DNA検査、予防医療、性的ウェルビーイングなど「健康に関するデータ」への関心が高い傾向にあります。「自己をデータで把握する(Quantify me)」の潮流に着目し、精子数を知ることがコレステロール値を把握することと同じくらい“当たり前”になることを目指しました。

調査の結果、この層は理解・関心を示しやすいことが分かりました。そこでEY Studio+チームは、彼らに向けた革新的な製品・サービス「Mojo Home Kit」の開発を支援しました。Mojo Home Kitは、自宅で採取したサンプルを検査機関へ直接送付できる家庭用検査キットです。

精子は輸送時の影響を受けやすいため、サンプルを迅速かつ安全に検査機関へ届ける仕組み作りが不可欠でした。この「物流戦略」こそがサービスの要となりました。具体的には、パッケージに複雑な機構を加えずに、可能な限り低温を保てる製品設計の検討が必要でした。加えて、使いやすいデジタルプラットフォームを整備し、スムーズかつ即時の集荷を可能にしました。

Mojo Home Kitの実現に向け、EY Studio+は、男性がサンプルを採取して送付できるよう、洗練されたデザインの断熱ボトルを着想源としたパッケージコンセプトを設計しました。さらに、ビジュアル・アイデンティティ、パッケージデザイン、デジタルプロダクトデザイン、顧客体験設計、コピーライティングまで一貫して支援しました。ローンチでは、ストックホルムとロンドンで、ターゲットを絞りつつ創造性の高い広告キャンペーンを展開し、男性の妊娠力に関する対話を“自然なもの”にすることを目指しました。


より良い検査が、より確かな妊娠につながる
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より良い検査が、より確かな妊娠につながる

精子分析を、より魅力的で利用しやすいものにすることで、より多くのカップルが子どもを持てる可能性が広がります。


EY Studio+チームは、家庭用検査キットのコンセプトからローンチまでをわずか6カ月の期間で実現させました。その後、同社の市場企業評価額は2倍に拡大しています。

キットは現在、スウェーデンではオンラインで、ロンドンでは薬局を通じて提供されています。いずれも調査で生殖医療ケアへの需要が高い地域でした。チームが設計した採取用ボトルにより、医学的に適切な時間内でサンプルを提供でき、劣化を最小限に抑えることで、より正確な結果につながります。

このキットはターゲット層から高い評価を得ており、「分析に耐え得る状態を保つための梱包(こんぽう)が非常に良い。全体として素晴らしいサービスで、結果も当日に受け取れた」といった声も寄せられています。

Mojo Fertility社の技術は自動化され、AIを活用しているため、従来の検査機関の処理能力を大きく上回るスケールが見込まれます。家庭用検査キットの提供により、より多くのカップルが人生を変える可能性のあるサービスにアクセスでき、より早く次の行動へ移れるようになります。

これらのサービスは、ストレスや費用、時間の無駄を抑えながら、より多くのカップルが望む家族を築くことを後押しします。さらに、その可能性はそれだけに限りません。

家族計画だけでなく、精子の健康状態は、私たちの全身の健康状態について多くの示唆を与えてくれます」とTahaは語ります。「それは、命に関わる疾患との明確な関連だけを意味するのではありません。現代の技術とデータサイエンスが進歩する中で、生殖能力検査は、精子の質が“健康な赤ちゃんの誕生”に与える影響や、遺伝的な健康要因の理解を深める上で、極めて大きな可能性を秘めています」




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サマリー 

Mojo Fertility社は、生殖能力検査の普及に向けた課題に対し、EY Studio+と連携し家庭用検査キットを開発。人間中心設計とターゲット戦略により意識変革を促し、利便性と精度を両立した新たな体験を実現した。



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