EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
要点
(出所)日本証券業協会作成(2016年1月~2021年6月の国内での公募による起債を集計)
(注)折れ線グラフの数字は発行数を示している。
本ガイドラインでは、ソーシャルボンドがもたらすメリットとして、発行のメリット、投資のメリット、社会的なメリットに分けて整理されています。
本ガイドラインでは、発行体がソーシャルボンドを発行する場合、通常の社債などの発行手続きに加えて、以下の追加的な手続きが必要です。
出典:金融庁「ソーシャルボンドガイドライン」
本ガイドラインの第3章では、ICMAソーシャルボンド原則と同様、ソーシャルボンドに期待される事項と具体的対応方法が4つの「核となる要素」と2つの「重要な推奨項目」に分けて規定されています。
出典:金融庁「金融庁広報誌アクセスFSA No.217」 p.14
ソーシャルボンドによる調達資金は、ソーシャルプロジェクトに充当されるべきとした上、ソーシャルプロジェクトは、特定の社会的課題の解決への貢献を目指すプロジェクトであって、かつ、当該プロジェクトにより、対象となる特定の人々に対してポジティブな社会的な効果をもたらすことを目的とするものと規定されています。
ソーシャルプロジェクトの具体的な事業区分および対象となる人々の例は「付属書1」に、具体的な資金使途の例は「付属書2」で示されています。これらは、ICMAソーシャルボンド原則に示される例に加え、わが国の社会的課題として想定されるものに対し、国内外の民間企業などによるソーシャルボンドの発行事例などを勘案し、その例示が行われています 。
出典:金融庁「ソーシャルボンドガイドライン」
発行体は、ソーシャルボンドを通じて実現しようとする「社会的な目標」、ソーシャルプロジェクトが社会的な目標に合致すると判断する際の「プロセス」を、事前に投資家に説明すべきであり、また、ソーシャルプロジェクトを評価・選定するための「規準」についても事前に投資家に説明することが望ましいなどと規定されています。また、これら「社会的な目標」、「規準」、 「プロセス」の具体的な内容が例示されています。
発行体は、ソーシャルボンドの調達資金の充当を適切な方法により追跡管理を行うべきとし、その方法は投資家に説明すべきと規定されています。また、追跡管理の具体的な方法が例示されています。
発行体は、少なくとも1年に1回、また、大きな状況の変化があった場合にはその都度、資金の使用状況やソーシャルプロジェクトがもたらす社会的な効果を開示すべきと規定されています。社会的な効果の開示は、可能な場合、定量的な指標を用いて示されることが望ましいと規定されています。また、プロジェクトの最終的な社会的な効果(目標)をインパクトとした上、インパクトに至る過程を、アウトプット、アウトカム、インパクトという形で段階的に指標を使って示す方法も例示などなされています。
出典:金融庁「ソーシャルボンドガイドライン」
ソーシャルボンドの発行体はフレームワークを作成し、ソーシャルボンドが4つの核となる要素に適合していることを、 投資家に説明し、一般に開示すべきであるとされています。
発行体は、4つの核となる要素に係る対応などについて、外部機関によるレビューを活用することが望ましいと規定されています。また、外部機関がのっとるべき事項、外部機関の組織としての要件およびレビューの結果に係わる文書に含めるべき情報なども規定されています。
本ガイドラインでは、ソーシャルボンド市場が健全に発展するためには、投資家の役割が極めて重要であり、投資家に望まれる事項として、主に以下のように述べています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、コロナ対策支援を目的とするソーシャルボンドの発行が世界的に大きく拡大するなど、ESGのE(環境)に加え、「G(社会)」分野における投資の重要性も高まってきており、国内外で大きく注目されている中、本ガイドラインを活用したソーシャルボンドの発行が今後進むものと期待されています。