EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYの関連サービス
-
企業の不正行為に対する規制当局の法執行やそれを許さない世間の風潮が強まる今、EYのプロフェッショナルは、企業によるインテグリティやコンプライアンスのフレームワークの強化をサポートします。実際に違反行為があったり、不正や贈賄の疑いが生じたりした場合には、EYのForensicsチームが速やかに対応し、会社を守る支援をします。
続きを読む
また、新興国の回答者の3分の1が、上位者やハイパーフォーマー(高い成果を上げる人材)が関与している場合、非倫理的行動が容認されることが多くなるとしています。この傾向が著しく高いのはインド(62%)、タイ(52%)、マレーシア(48%)です。こうした調査結果は「2024 ACFE Report to the Nations」にも見られ、不正行為全体に占める割合は一般従業員によるものが37%であるのに対して、管理職が41%に上るという報告と合致します。
「EYグローバルインテグリティレポート2024」では新興国の回答者の30%が、インテグリティが低下した主な要因に「財務プロセスや統制の不備」を、26%が不正行為の主な要因に「リーダーの適切な姿勢の欠如」を、それぞれ挙げています。3分の2近くが、コンプライアンス規範が向上した理由に「強力なリーダーシップ」を挙げていることと対照的であり、これは興味深い結果です。
米国 Ethisphere社の「2024 Ethical Culture Report: Closing the Speak Up Gap」1によると、不正行為を目にした場合、従業員の93%が通報することに前向きである反面、不正行為を目撃して実際に通報した人は50%にとどまりました。「EYグローバルインテグリティレポート2024」では回答者の半数以上が、通報しない主な理由に「圧力」を挙げています。さらに、報復を受けるのではないかという不安も、通報を妨げる要因です。EY Africa Forensic & Integrity Services LeaderのSharon van Rooyenは次のように指摘しています。「南アフリカでは、企業が内部告発制度の改善を進めてはいるものの、汚職・腐敗防止の取り組みに携わる個人や内部通報者が殺害されるといった重大事件が複数あり、個人の安全が依然として懸念事項であるのが現状です」
新興国の回答者は、自身の組織では、内部通報者を対象とした支援策や保護策を強化し、不正行為を通報しやすい環境整備にも取り組んでいるとしています。しかし、改善の余地は大きく残されています。リーダーシップ文化を醸成して組織全体にインテグリティを浸透させるために、組織が講じることのできる主な対応は以下の4つです。
- 模範的な行動。従業員が安心して声を上げることができる環境の醸成に、管理職のリーダーシップは不可欠です。管理職が組織の価値観を体現し、通報された不正行為への具体的な対策を講じる姿勢を示すことで、従業員が不正行為を目撃した際に通報する意欲が高まります。
- 上級管理職の問題。管理職が指導力を発揮できない場合、上級管理職がインテグリティ上の問題を担当し、対処する責任を負います。従業員は通常、上級管理職よりも直属の管理職である上司と近い関係にあることが多く、こうしたつながりによって、ホットラインではなく上司に不正行為を通報する従業員が6倍も多いことが、Ethisphere社の調査結果に示されています1。
- 文化に起因する障壁への対応。組織文化がもたらす価値観や考え方の中には、声を上げる際に障壁となるものもあります。プライバシー管理と機密保持の強化に加え、内部通報者のフォローアップとして進捗状況を継続的に伝えることや、通報ホットラインの運営、問題解決の第三者委託も、有効な対策になります。
- リーダーの説明責任の明確化。管理職・経営幹部・取締役会クラスのリーダーの説明責任を、より厳格化する必要があります。具体的な対応策の例として、不正行為の通報をリーダーに義務づけ、認識した不正行為が適切に報告されたかを確認するための認証を定期的に実施する仕組みが考えられます。さらに、真に中立的立場の担当者が通報された不正行為の調査・解決にあたるよう徹底する必要もあるでしょう。