岩崎:
高度外国人材が集まる拠点づくりをまず進め、そこから関西という土地の魅力を徐々に広げつつ、中長期滞在・居住者のニーズへとつなげていく。そういった道筋が見えてきますが、そこで課題となるのが、制度整備や情報発信、魅力の訴求といった「来る前」の対策と、住宅供給や教育・医療の整備をはじめとする「来た後」の環境づくりだと思われます。どのように見ておられますか。
草間氏:
「来る前」の導線として注目すべきは、やはりSNSや口コミによる拡散でしょう。先ほども触れたように、海外スタートアップやデジタルノマドは魅力発信の起点となり得る人々です。私どもではFUTRWORKSにおいて定期的に「FUTRFEST」というデジタルノマドを主なターゲットにしたイベントを年2回開催していますが、海外から参加された方がその体験をSNSに投稿し、それに触発されたフォロワーが来阪するといった流れがかなりできています。また、関西の強みとしては、京都や奈良等の歴史や文化に容易に触れられること、さまざまな食が楽しめること、さらには十三や天満など近隣エリアに見られる下町風情等が挙げられます。関西ならではの個性そのものに、人を引きつける魅力があります。
岩崎:
日本らしさと都市性の両方が味わえるわけですね。実際、外国人の方からそうした声が聞かれることはありますか。
草間氏:
そうですね。英国系スタートアップの私の知人は、こちらに来るたび十三の飲み屋街に繰り出して、喜々としてBARホッピングを楽しんでいます。要するに居酒屋のハシゴですが、言葉も通じない大阪のおっちゃんやおばちゃんとの交流がとにかく面白い、人情がいいというわけです。新しい仕掛けも大切ですが、同時にこうした関西本来の魅力もしっかり伝え、「選ばれる理由」を太くしていかなくてはなりません。
岩崎:
「来た後」についてはいかがでしょう。東京ではサービスアパートメントの開発も進んでいますが、関西の外国人向け居住空間は足りていますか。
草間氏:
短期・中期の滞在先という意味では、居住空間の提供にはまだまだ課題があるというのが実情で、長期滞在へとつなげるためにも、まずここを何とかすることが大きな課題だと感じています。短期・中期の受け入れを拡大しながら、長期のための環境整備を徐々に進めていこうという段階で、小規模ながら実験的な取り組みを開始したところです。その前提として、住宅だけでなく、教育や医療を含む生活面での基盤づくりは不可欠ですから、そこは行政との連携が重要になるとみています。
岩崎:
外国人にとっても暮らしやすいコミュニティーをどうつくるか、ですね。
草間氏:
おっしゃるとおりです。先ほどのFUTRWORKSを利用する外国人ワーカーにアンケート調査をしたところ、英語だけで生活が完結できるような基盤の整備や容易にアクセスできる外国人コミュニティーを求める声も多くありました。その意味で、大阪産業局が運営する大阪スタートアップ・エコシステムコンソーシアムと私どもが連携して開設した「Osaka Landing Pad」のような取り組みは、大きなポイントになると思っています。これは海外からのスタートアップに対し、各種手続きに必要な関係各所との導線をワンストップで提供する相談窓口です。
岩崎:
それは素晴らしいですね。事業に関することだけでなく、生活全般にわたるさまざまなサービスの支援までもカバーできると理想的です。大阪・関西万博で世界中の注目を集めた今、また大阪IRの開業を間近に控えたこの時期に、ぜひデベロッパーを含む多様な企業と生活関連サービス業者、そして行政が一体となった連携体制で、「高度外国人に選ばれる都市」をつくっていただきたいと思います。