EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
要点
世界の企業環境における地殻変動は、法務部門が対応すべき課題の複雑さ、緊急性、そして量をますます増加させています。2025年EY Lawジェネラルカウンセル調査(本調査)によると、一部の法務部門は革新を遂げ、こうした変化に対応できている一方で、内部的な圧力による障壁に直面している部門もあります。
法務部門は、調達、人材、支出、テクノロジーに関する意思決定の方法を見直すことで、自信を持って将来を再構築するために必要な先見性、スピード、柔軟性、専門性を備えることにより、リスクをより適切に管理し、今日のビジネスの優先事項を支えることが可能となります。
社内法務の専門家にとって、これほど素晴らしい時代はかつてありませんでした。複数の分野で破壊的な変化が起きている今、私たち法務の専門家は、非常に幅広い領域でビジネスに価値を提供できるのです。
第1章
外部要因が法務部門の進化を加速させる一方で、内部の障害がその変化への抵抗を生み出している。
CEOと法務部門は、組織に影響を及ぼす破壊的要因に対して見解が一致しているようです。EYのCEO Outlook Pulse Report(2024年9月)(PDF)およびEY Lawの調査によれば、地政学的な影響、規制の圧力、新興テクノロジーが、近い将来法務部門に対する大きな試練を与える重要な外部要因として挙げられています。これらの外部要因により、法務部門がビジネスに影響を与える可能性のある重大な変化を予測し、より迅速かつ効率的に業務を遂行し、複雑化する案件に対応するための専門知識を育成することが、ますます重要になっています。Nokia社の最高法務責任者であるEsa Niinimäki氏は、「社内法務の専門家にとって、これほど素晴らしい時代はかつてありませんでした。複数の分野で破壊的な変化が起きている今、私たち法務の専門家は、非常に幅広い領域でビジネスに価値を提供できるのです」と述べています。
地政学的な事象に対処するには、しばしば高い機動力と先見性が必要となります。そして、法務部門は進化する地政学的課題に対して戦略的な助言を行うために、ますます重要な役割を担うようになっています。
「法務部門は、迅速かつ戦略的に、一貫した慎重な方法で問いに答える能力が求められています。こうした大きく複雑な課題に対応するためには、法務機能が、リアルタイムで意思決定できる機動力のある専門家をフロントエンドに配置し、テクノロジーやスペシャリストによるバックエンドの支援を受ける必要があります」と、FjordStream Advisors社の創業者兼CEOであり、Haleon社、GSKコンシューマーヘルスケア社、Pearson Plc社の元ジェネラルカウンセルであるBjarne Tellmann氏は述べています。
AI、データプライバシー、サステナビリティといった分野における規制の変化の速さと量の多さを考慮すると、規制が複雑であることもまた、法務部門の4分の3にとって大きな課題となっています。Lenovo社ソリューション&サービスグループのジェネラルカウンセルであるSarah Rosser氏は「新しい規制の量とスピードが、社内法務チームの助言およびコンプライアンスの負担を増加させています。法務部門はこれらの規制の変化に継続的に適応しなければならず、それはリソースを多く必要とし、支援する上でも課題となっています」と述べています。
調査によると、60%の法務部門が国・地域をまたぐ規制変更のモニタリングに課題を抱えており、約半数が、規制が不明確な場合に助言を提供することに困難を感じていると報告しています。「誰も正解を知らず、正しい方向性すら分からない状況で指針を示す能力は、ビジネスを継続するために不可欠です。暗闇の中でも行動できる力が必要なのです」と、Sanoma社のチーフ・リーガル・オフィサーであるJalmari Sasi氏は助言しています。
法務部門は、これらの規制の変化に継続的に適応しなければならず、それは多くのリソースを必要とし、支援する上で課題となっています。
テクノロジーの急速な発展もまた法務部門の進化を促しています。テクノロジーの進化は組織が直面するリスクの複雑さと規模を増大させますが、同時に効率性を高め、新たな製品やサービスを提供する機会も生み出します。その結果、法務部門は、許容可能なリスク水準の下で事業部門がこうした機会をどのように追求できるのかを判断するよう、しばしば圧力を受けています。こうした状況において、迅速な対応とテクノロジーへの深い理解は法務部門にとって必須条件になります。
外部要因が法務部門の進化を促す一方で、内部の圧力がその進展を妨げています。
主な要因は予算的制約であり、回答者の83%が今後12カ月以内に予算が増加すると予想しているにもかかわらず、そのうち10%以上の増加を見込んでいるのは40%です。しかし、これらの予算増加は特定のプロジェクトや項目に割り当てられることが多く、人材の追加採用や新しいテクノロジーの導入などには使えません。その結果、複雑な業務量が増加する中で、運営モデルを変えない限り、予算の増加だけでは不十分ということになります。
実際、予算は法務機能の調達戦略の有効性を妨げる最も一般的な障壁として挙げられており、ビジネス上の要求に対応するために必要な専門知識を確保することを困難にしています。多くの法務部門は、業務の調達先を社内外の両方に求めていますが、より革新的でコスト効率の高い調達手法の導入は一部の部門では進みが遅く、法務部門のリーダーの4分の1が調達の変更に対する抵抗に直面し、3分の1が調達目標の整合性を欠いています。また、外部プロバイダーとの連携も、ほぼ全ての法務部門にとって課題となっています。複数の外部プロバイダーとの調整や管理は、69%の法務部門が最も一般的な課題として挙げており、これが調達の意思決定に影響を与えている可能性があります。
予算もまた、法務部門のテクノロジーおよびデータ戦略における最も一般的な制約であり、65%がそれを課題としています。その結果、将来のイノベーションに資金を投じるためには、大半の法務部門でコスト削減策が必要とされています。皮肉なことに、63%の法務部門はコストを管理するために、今後12カ月間でテクノロジーの活用を増やす予定です。
統合報告やダッシュボード、規制変更に関する自動ホライズン・スキャニング、知的財産管理の自動化などの新しいテクノロジー機能を完全に導入したと報告する法務部門はほとんどありませんが、大半は将来的に導入を計画しています。同様に、特定のユースケースに対して生成AIを導入している法務部門は3分の1未満です。56%は、生成AIについて、まだアイデア出しや試験運用の段階にあると回答しており、多くが将来的な活用を計画しているものの、生成AIを法務部門の優先事項としているのはわずか25%にとどまっています。
法務部門の87%では、テクノロジーの進化の遅れにより、データに関連するさまざまな課題が生じています。具体的には、データが整理されていない、異なる場所に保管されている(52%)、法務とビジネスのプラットフォームが連携していない(44%)、正確なデータへのアクセスが制限されている(41%)といった問題です。データ関連のこれらの課題は、生成AIや契約管理ソリューションなど、高品質でアクセス可能なデータセットを必要とするテクノロジーの導入を妨げています。Lenovo社のSarah Rosser氏は「将来のことを考えると、AIがもたらす可能性にワクワクしますが、これまでの経験から言えるのは、成功のために必要不可欠なものとなるのは、今もなお、プロセス、ナレッジ、チェンジマネジメントといった基礎的な要素です」と述べています。
さらに、法務部門のうち、進化するテクノロジー環境に対応するために必要となる、高度な支援を提供できる専任のデータサイエンティスト、プロダクトマネージャー、ビジネスアナリストを常駐させているのは、3分の1未満です。
第2章
変革の基盤を築くことで、法務部門はその変化から最大限の価値を引き出すことができます。
法務部門がより戦略的で影響力のある役割を果たすためには、進化が必要です。多くの法務部門がこの課題に取り組んでいますが、その成果にはばらつきがあります。Anglo American社の法務オペレーション責任者であるAshley John氏は次のように述べています:「多くの法務部門は、思考やアイデアの面で依然として硬直的すぎます。部門があらゆる方面から圧力を受けていることを考えると、法務がビジネスに価値を提供する方法にも進化が必要です」
この調査から得られたインサイトに基づくと、変革を進めるにはまず、ビジネスと法務機能が直面している課題と、法務が支援すべき優先事項を理解することが必要であることが明白です。その上で、法務部門は予算の配分、コスト管理、ビジネスとの連携、業務のソーシング、人材のスキル向上、テクノロジーの活用を「変革を推進するため」ではなく「変革を可能にするため」に設計することができます。基盤が整えば、法務部門はビジネスと連携しながら、継続的に革新と進化を遂げることができます。
以下の6つのステップを経ることで、法務部門は変革の基盤を整えることができます。
より効果的なビジネスパートナーになるためには、ジェネラルカウンセルは、法律家であるだけでなく、ビジネスリーダーのように考える必要があります。広い視野と戦略的な目的意識が不可欠です。
過去12カ月間にステークホルダーへのインタビューを実施した法務部門はわずか11%で、継続的なフィードバックサイクルを確立している部門は20%にとどまります。法務部門が、リソースの集中や進捗を妨げている課題を理解してその特定を行うには、法務部門内外のステークホルダーからのインサイトとフィードバックが不可欠です。Wärtsilä Marine社の法務・コンプライアンス担当副社長であるSinikka Ilveskoski氏は次のように述べています。「計画や意思決定はビジネスの現場で行われます。そこに関わることで、学びの機会が得られ、法務専門家として多くのことを提供できるという確信が深まります」
さらに、法務部門の運営成熟度を同業他社のベンチマークと比較して評価したと回答したのはわずか17%です。こうした評価は、適切なレベルのビジネス支援に対しては、常に最も洗練されたアプローチが要求されるとは限らないことを理解できるという意味で、優先順位付けに役立ちます。全ての法務部門に共通する運営戦略は存在しませんが、重要なのは「何が可能か」を理解し、それをステークホルダーのインサイトと組み合わせて最適なアプローチを構築することです。Tellmann氏は次のように助言しています:「より効果的なビジネスパートナーになるためには、ジェネラルカウンセルは、法律家であるだけでなく、ビジネスリーダーのように考える必要があります。広い視野と戦略的な目的意識が不可欠です」
法務部門がパフォーマンスを追跡し、ビジネスを支える役割を証明できる指標を確立することも重要です。訴訟やリスク関連の指標に注力する法務部門もある一方、パフォーマンスや効率性の測定に取り組んでいる部門ははるかに少数です。Anglo American社のAshley John氏は「主要なステークホルダーと合意し、また、機能的なパフォーマンス指標と達成目標を含めた定量的な価値評価手法を用いることで、法務部門はその価値を示すことができます。この手法は法務機能戦略の中核となるべきであり、報酬指標にも組み込むことさえ可能です」と述べています。
指標は、法務部門の目標や課題と整合している必要があります。また、法務部門がビジネスの支援においてより戦略的な役割を担っていることから、パフォーマンスや効率性に関する指標も重要な要素となります。
予算の制約がある中で、調査によると多くの法務部門がコスト管理のためにさまざまな手法の活用拡大を計画しています。テクノロジーや自動化、法務プロジェクト管理、ナレッジマネジメントなどは業務効率を高める手段です。一方、法務プロセスのアウトソーシング、リソースの再配分、代替的な報酬体系などは直接的なコスト削減手法です。しかし、過去12カ月間に支出管理評価を実施した法務部門はわずか24%であり、請求書レビューを自動化している部門も38%にとどまっています。
実際の支出、支出パターン、業界標準をさらに深く掘り下げることで、コスト要因や得られている価値についてより深いインサイトが得られます。これにステークホルダーの優先事項や課題に関するインサイトを組み合わせることで、法務部門はより的確な予算決定を行えるようになります。また、請求書の異常を検出するツールは、請求ガイドラインが順守されているかを確認するのに役立ちます。
さらに、調査によると、法務部門の約半数が事業部門に対して一部の法務費用をチャージバックしており、29%は全ての法務費用を完全にチャージバックしています。チャージバック制度は、法務費用の透明性を高め、潜在的にコスト削減につながる可能性があります。これは、各部門が法務への依頼を慎重に検討し、潜在的な法的問題に積極的に対処することで、不要な費用を最小限に抑えることを促すためです。チャージバック制度を導入する場合、法務部門は他の事業部門と連携し、チャージバックのタイミングや方法、法務部門が提供する対価について、合意を得ることが重要です。
ますます多くの法務部門が、業務の提供方法を変える必要があることを認識しています。実際、75%が調達戦略の見直しを優先事項としていますが、過去12カ月以内に社内外の調達方法の見直しを完了したのはわずか21%にとどまります。支出のデータ駆動型分析と、業界基準と比較した調達オプションの階層化を含む評価は、大きな変革に着手する前に不可欠なステップです。
徹底的な評価には、まず社内チームからのフィードバックと、業務がどこで、どのように、なぜ行われているのか、そしてうまくいっている点・いない点の詳細を含める必要があります。次に、事業ニーズに適したアプローチを形成するために、この情報は、事業上の課題や優先事項、業務量と複雑性、予算とともに分析される必要があります。最後に、さまざまな調達アプローチの利点と課題を検討する必要があります。1つの方法が全てのニーズに対する最適解であるとは限らないためです。Tellmann氏は「法務部門はサプライヤーを組み合わせる方法を見つけるべきです。高級スポーツカーが常に最適な解決策とは限りませんから」と述べています。
ソーシングの変更は、法務業務の進め方に対する先入観や、アウトソーシングや社内のセンター・オブ・エクセレンス(CoE)を優先する企業方針によって複雑化する可能性があります。上記の3つのステップを踏むことで、法務部門は事業に最も適したアプローチに対する強力なビジネスケースを構築することができます。
調査によると、今後1年間で法務部門は、専門知識へのアクセス、適切な人材との業務のマッチング、効率向上、コスト削減を目的として、社内外のリソースをより多様に活用する新しい働き方を採用する予定です。例えば、60%の法務部門が今後1年間でビッグ4企業や代替法務サービスプロバイダーの利用を増やす予定であり、53%は社内の業務センターやCoEの利用を増やす予定です。
一部の法務部門では、特定の事業ニーズに合わせた独自のアプローチを構築しています。例えば、Rosser氏は「戦術的対応チームは新しい規制の解釈・影響評価・コンプライアンス対応に注力できる一方、他のチームは日常業務やプロジェクトを継続することで、支援の継続性を確保しつつ、日常業務への影響を最小限にすることができています」と述べています。
全ての法務部門が、追加の専門知識へのアクセスが必要であると報告しており、64%が現在の人材のスキルアップや再教育によってそれを実現する計画です。その結果、57%の法務部門にとって人材の定着が重要な優先事項となっています。
調査によると、多くの法務部門のリーダーは、職場体験の向上を目的とした取り組みを通じて人材を引きつけている一方で、人材育成やキャリアアップの機会提供に注力している部門は少数でした。しかし、EY 2024 Work Reimagined Survey(EY働き方再考に関するグローバル意識調査2024)では、社内法務チームが報告した主なモチベーションの要因は、より良いウェルビーイングプログラム、キャリアアップの機会、報酬、そして組織のパーパスやカルチャーであることが明らかになりました。したがって、法務部門のリーダーは、自部門のチームにとって真に効果のある取り組みに注力しているかを確認すべきです。加えて、法務部門のリーダーは、生成AIやエージェント型AIの急速な進化が法務業務にどのような影響を与えるかを考慮し、将来に備えて現在の人材に異なるソフトスキルや専門性を育成する方法を検討する必要があります。
三菱UFJフィナンシャル・グループのグループチーフリーガルオフィサーの森浩志氏は「社内の弁護士に成長の機会や将来のポジションの可能性を示すことは非常に重要です。私たちが弁護士に提供している機会の一部には、マネジメントへの関与や、彼らが支援している事業部門への異動などがあります。その経験を生かすことで、弁護士は関連する案件やプロジェクトに対してさらに優れた支援を提供できるようになり、企業の戦略や将来の発展にも貢献できるようになります」と述べています。
調査はまた、変化や変革が社内人材に与える影響についての認識が高まっていることを明らかにしています。多くの法務部門のリーダーが、心理的安全性を育むために、人々が自由に意見を言える前向きな文化の構築(72%)、意義あるビジョンと文化の策定(60%)、変化に関する社内コミュニケーションの強化(44%)、実験的な取り組みの奨励(44%)のような取り組みを行っています。Randstad N.V. のジェネラルカウンセルであるFiona van Lede氏は「定期的なエンゲージメント調査、月次のチームウェビナー、スキルギャップ評価は、チームメンバーとのつながりを保ち、リーダーシップが順調に進んでいる点や注意が必要な領域を把握するための重要なツールです」と語っています。
法務部門は、リスクを最後の段階で処理するだけの部門ではなく、どれだけのリスクを受け入れるか、あるいは回避するかを早期に判断するために協働すべき部門であるべきです。
63%の法務部門は、自社にビジョン、目標、チャーターがあると回答していますが、ガバナンスおよび運用モデルを持つのは49%、ステークホルダーとのコミュニケーションの頻度を定めているのは36%、サードパーティーのリスク管理を行っているのは29%にとどまります。さらに、リスク許容度、リスクオーナー、基準、リスク評価マトリクス、コミュニケーション計画、緊急対応・緩和計画を文書化しているのは3分の1未満です。
このような状況では、法務部門はリスクの「所有者」ではないにもかかわらず、ポリシーの施行や、潜在的なリスクに直面した際のビジネスの進め方に関する助言を求められるため、非常に不安定な立場に置かれます。組織のリスク許容度に関する明確な整合が取れていない場合、この役割はさらに困難になります。「法務部門は、リスクを最後の段階で処理するだけの部門ではなく、どれだけのリスクを受け入れるか、あるいは回避するかを早期に判断するために協働すべき部門であるべきです」と、森浩志氏は述べています。リスク管理に関する議論の場に積極的に参加することで、法務部門は、組織のリスク許容度に対する共通認識を反映し、リスク発生時に事業部門が意思決定・対応できるような、詳細なリスク管理・ガバナンスプログラムの構築に貢献できます。
Hg社のパートナー兼ジェネラルカウンセルであるSamantha McGonigle氏は「法務部門はリスクと機会の交差点に位置しており、環境に応じて常に対応を進化させています。Hgでは、法務とコンプライアンスは別々の機能であるため、協働的なワーキングモデルが堅固なリスク管理プログラムを機能させる鍵となっています」と語ります。
75%の法務部門が規制コンプライアンスを最優先事項としていますが、最終的には規制コンプライアンスは企業全体の課題であり、法務部門は事業部門の各機能責任者と密接に連携し、規制の変化をより的確に予測し、コンプライアンスを管理するための解決策を共同で開発する必要があります。
法務部門は、規制変更の管理とコンプライアンスの向上のために、さまざまな戦略を活用する予定であると報告しています。これには、より優れたテクノロジーの確保、プロセスの合理化、複数の国・地域に対応できるプロバイダーの活用などが含まれます。これらの取り組みを組み合わせることで、法務部門は現在直面している多様な課題により効果的に対応することができます。「最良のアプローチは、調整され、自動化され、厳選されたアップデートを提供するものです」と、NatWest Group法務・規制部門のイノベーション&テクノロジー責任者であるKenny Robertson氏は述べています。
法務部門は、意思決定を支援し、業務効率を高め、付加価値を提供するために、データとテクノロジーを必要としています。実際、法務部門の75%が、デジタル化における最優先事項として「法務テクノロジーやデータ戦略の構築・改善」を挙げています。しかし、テクノロジーが変革の推進力としてのみ扱われることが多く、有効化手段としての役割が果たされないため、真の効果を発揮できないケースが少なくありません。限られた予算をより有効に活用するためには、その戦略を支えるテクノロジーを選定する前に、まず戦略の立て方に焦点を当てるべきです。
成功するデジタル化戦略の基盤は、解決策を必要とするビジネスニーズ、課題、および機会を明確に理解することにあります。社内チームや事業部門からのフィードバックは不可欠です。「テクノロジーは摩擦や障害を取り除くべきものです。したがって、社内チームと連携して何が障害になっているのかを特定し、それに対して最適な解決策や自動化できる部分を見極めることが重要です」と、Robertson氏は述べています。
また、デジタル化戦略がソーシング戦略や現在のプロセスとどのように補完し合うかを考慮することも不可欠です。最先端のテクノロジーや手法が、常に全ての状況において最良の選択肢であるとは限らないため、ビジネスがテクノロジーに何を求めているのかということを理解することが重要です。実際、この調査では、適切なテクノロジーを選び、早期に成果を示すことが、テクノロジー投資でROI(投資対効果)向上に寄与する要因として大半の法務部門に認識されていることが明らかになっています。
テクノロジーは摩擦や障害を取り除くべきものであり、何が妨げになっているのかを特定するために社内チームと連携することが重要です。
さらに、法務部門は、テクノロジー投資が期待される成果をもたらしているかどうかを判断し、将来のビジネスケースの形成に役立てるために、目標や成功指標を設定・評価するべきです。「小規模でも成果が明確なパイロットプロジェクトは、大規模な投資を正当化する上で非常に有効ですが、全体的なビジネス全体の利益を強調することも重要です」と、Rosser氏は助言しています。
96%の回答者が、テクノロジー投資においてROIが意思決定に影響を与えると認識しているにもかかわらず、一般的な「時間の節約」や「コスト削減」以上の指標を考慮している法務部門はほとんどありません。ROIのあらゆる側面をより深く分析することで、法務部門はより効果的なテクノロジー施策の立案と優先順位付けに役立つ重要なインサイトを得ることができます。
また、法務部門はCIO(最高情報責任者)と連携し、テクノロジーのビジネスパートナーを特定するか、外部プロバイダーを活用して導入支援を受けることも検討すべきです。これにより、ROIの向上と予算の優先順位付けの両方に貢献できます。テクノロジーパートナーは、他の成功事例から学び、テクノロジー要件を階層化し、ロードマップを作成し、テクノロジーを適切な順序で導入することで、実装の成功率と価値を高める支援ができます。
全ての法務部門は異なるペースで進化しており、それぞれの組織固有の状況下で運営されています。しかし、自信を持ってイノベーションを成功させるためには、全ての法務部門がまず機能の基盤要素の整備に注力する必要があります。事業部門と対話し、優先事項や解決すべき課題について理解を深めましょう。現在の業務慣行や法務機能が直面している課題について深いインサイトを育みましょう。そして、それらの課題に対応し、ビジネスを支援するために、適切なリソースを最適な場所に配置することが重要です。
EYのメンバーファームは、現地の法律や規制により法律業務の提供が認められていない場合、法律業務の提供ができません。本記事にある第三者の見解は、必ずしもEYまたはEYのメンバーファームの見解ではありません。また、これらの見解は、表明された時点の文脈にて解釈してください。