税務当局はデジタルトランスフォーメーションへと動き出し、⽣成AIの統合も進むことで、納税者による申告の必要性はますます⾼まり、変⾰の必要性も加速しています。税務部⾨は、増え続ける政府の要求に対応するために必要なデータと新しいテクノロジーに後れを取らないよう、ますます⼤きな圧⼒にさらされています。
今回の調査では、以下の3つの課題が浮かび上がりました。
- すべての企業は、電⼦インボイスを含むリアルタイムでの申告のニーズの⾼まりに直⾯しています。
- ⼤企業は、経済協⼒開発機構(OECD)/G20包摂的枠組みが策定したグローバルな税制改⾰への対応に苦慮しています。
- 多くの企業は、政府による税務・財務に関するより詳細な情報の公開要求に備えています。
デジタル納税申告と電⼦インボイス
調査の回答者は、リアルタイムのデジタル納税申告への対応が、税務・財務部⾨にとって最も重要で新たな報告要件であると述べています。特定のデータに関して通常はリアルタイムで税務当局に送信する電⼦インボイスを義務付ける国が、これまで以上に増えています。政府がこのようなアプローチを取るのは、データを⼊⼿することで納税額を確定できるからです。これにより、企業にはデータが正確かつ信頼できるものであることを担保する、という⼤きな圧⼒がかかることに加え、事実上、監査サイクルが前倒しになり、実質的にリアルタイムでの監査が⾏われることになります。
電⼦インボイスの導⼊は中南⽶で始まり、当地域で定着しています。欧州では、独⾃の電⼦インボイス要件の導⼊に取り組む国・地域が増えており、アジア太平洋の国・地域もこれに続いています。現在、約 80の国・地域が何らかの形で電⼦インボイスを導⼊しており、その⼤半が常に制度を変更しているため、企業はこうした変化に後れを取らないよう絶えず対応を迫られています。さらに、2027年までに新たに16カ国が導⼊を決定または提案しています。
企業にとっては、電⼦インボイスを含むリアルタイムのデジタルファイリングが、構築か購⼊かの新たな難題を提起しています。多国籍企業は、電⼦インボイスの課題解決に地域ごとのアプローチを取ることは、もはや経済的に実現不可能であることに気づいています。
「かなりのコストとリソースを必要とします」と、Haleon plcのHead of Tax and Trade ComplianceのGemma Beck⽒は指摘します。「絶え間なく変化する申告要件に合わせて、⼈材やテクノロジーを含む現地および中央のリソースを調整することは、終わりのないタスクです。サービスプロバイダーと提携することは、あらゆる国・地域でコンプライアンスを維持するための費⽤対効果の⾼い⽅法です」
第2の柱︓グローバルミニマム課税
企業は、刻々と変化するグローバルミニマム課税の義務を順守するという課題にも直⾯しています。
具体的には、回答者の83%が、BEPS2.0に準拠した税務申告⽤情報を作成するために、ソースデータに「中程度」から「⼤幅」な調整を加える必要があると回答しています。
これらの報告要件は、主に、世界中の国・地域において第2の柱であるグローバルミニマム課税が実施されていることに⼤きく起因しています。第2の柱は、グローバルな収益が7億5,000万⽶ドル以上の企業が、その収益がどこで得られたかにかかわらず、その収益に対して最低でも15%の実効税率が適⽤されることを⽬的として策定された相互関連性のある⼀連の規則です。
140以上の国・地域が、第2の柱であるグローバルミニマム課税に原則として合意しており、それぞれの国・地域は異なるペースで、これらの規則について国内法を通じて実施に移しています。EYによるBEPS 2.0の「Pillar Two Developments Tracker」(英語のみ)の調査によると、2024年9⽉現在、39の国・地域が最終的な法律を制定し、14の国・地域が草案を提出し、9つの国・地域が⽴法化の意向を発表しています。これにより、影響を受ける企業は事業を展開するいずれかの国・地域において追加税を⽀払う必要があるかどうかを計算する必要が⽣じ、すでに急速に変化している税制の環境にさらなる複雑性が加わることになります。
OECDが以前に提唱した、いわゆる国別報告書(CbCR)も、企業が⾃社のデータにアクセスし、分析し、⽣産的に利⽤しようとする動きを強く後押しするものです。これらの報告書は、約10年前にOECDの税源浸⾷と利益移転(BEPS)プロジェクトの⾏動13で初めて求められたもので、国・地域ごとに収益額、税引前利益、納税済みおよび未払いの法⼈税を内訳で報告することが求められています。また、グループが事業を展開する国・地域ごとの資本、利益剰余⾦、従業員数、有形固定資産に関する情報も含まれます。(⾏動13では、移転価格に関するマスターファイルとローカルファイルの要件も定められており、これは過去10年間で税務当局によって課せられた税務透明性に関するもう1つのマイルストーンです)
これらの報告書は、税務当局への他の提出書類と同様に機密扱いとなりますが、EU加盟国を含む多くの国・地域では、CbCRの情報を⼀般に公開するための新たな要件を制定または検討しています。情報公開に向けた取り組みは、企業のデータシステムに新たな負担を⽣み出しています。CbCRへの対応のために、約34%が「⼤幅」な数のソースデータへの調整が必要だと回答しており、また、47%が「中程度」の数の調整が必要だと回答しています。