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2021年3月決算会社での有価証券報告書最終チェック

2021年4月30日 PDF
カテゴリー 会計情報レポート

情報センサー2021年5月号 会計情報レポート

EY新日本有限責任監査法人 品質管理本部 会計監理部 公認会計士 前田和哉

監査事業部において、国際財務報告基準(IFRS)適用企業の会計監査業務に従事するとともに、品質管理本部 会計監理部において、会計処理および開示制度に関する相談業務などに従事している。2018年から2020年の間、金融庁企画市場局企業開示課に在籍し、開示府令改正、記述情報の開示の好事例集の収集や財務諸表等規則の改定の業務に従事。

Ⅰ はじめに

本稿では、2021年3月期の有価証券報告書の作成に当たり、開示規則や会計基準等の主な改正による開示への影響、金融庁による有価証券報告書レビュー(以下、有報レビュー)の審査項目を踏まえた留意事項を解説します。文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添えます。

Ⅱ 会計基準等の主な改正等による開示への影響 

21年3月期から原則適用される、又は早期適用が可能となる主な会計基準の改正等が開示に与える影響について解説します。なお、これらの会計処理等の詳細については、本誌21年4月号の「2021年3月期決算上の留意事項」をご参照ください。

1. 会計上の見積りの開示に関する会計基準

20年3月31日に公表された企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(以下、見積開示基準)は、21年3月31日以後終了する年度から原則適用されます。

(1) 開示目的

見積開示基準では、原則(開示目的)を示した上で、具体的な開示内容は企業が当該原則(開示目的)に照らして判断することを企業に求めることとされています。当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクのある項目における会計上の見積りの内容について、財務諸表利用者の理解に資する情報を開示することが求められています(財務諸表等規則第8条の2の2第1項、連結財務諸表等規則第13条の2)。

(2) 開示項目の識別

開示する項目については、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目を識別するとされています。例えば、固定資産について減損損失の認識は行わないとした場合でも、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクを検討した上で、当該固定資産を開示する項目として識別する可能性があるとされています。

識別する項目は、通常、当年度の財務諸表に計上した資産及び負債が識別するとされています。ただし、次の項目については、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、開示を妨げないとされています。

  • 当年度の財務諸表に計上した収益及び費用
  • 会計上の見積りの結果、当年度の財務諸表に計上しないこととした負債
  • 注記において開示する金額を算出するに当たって見積りを行ったもの

なお、翌年度の財務諸表に与える影響を検討するに当たっては、影響の金額的大きさ及びその発生可能性を総合的に勘案して企業が判断することになります。また、直近の市場価格により時価評価する資産及び負債の市場価格の変動は、項目を識別する際に考慮しないとされています。

識別する項目は、企業の規模及び事業の複雑性等により異なると考えられるものの、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目を識別することから、比較的少数の項目を識別することになると考えられるとされています。

(3) 注記事項

識別した項目について、会計上の見積りの内容を表す項目名を注記し、あわせて次の注記が求められています。

  • 当年度の財務諸表に計上した金額
  • 会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

上記のうち、その他の情報については、企業が開示目的に照らして判断するとされていますが、次の項目が例示されています。

  • 当年度の財務諸表に計上した金額の算出方法
  • 当年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定
  • 翌年度の財務諸表に与える影響

見積開示基準の基本的な方針として、会計基準において開示目的を示した上で、具体的な開示内容は企業がその開示目的に照らして判断することとされているため、識別される項目の具体例を示すとチェックリスト化してしまう懸念から、見積開示基準では識別する項目の例示は示していませんが、例えば、固定資産(のれん含む)の減損や繰延税金資産の回収可能性などが見積開示基準において識別される可能性のある項目と考えられます。

識別された項目が複数ある場合は、一覧できるように重要な会計上の見積りに関する注記などの見出しを付して、まとめて記載するとされています(財務諸表等規則ガイドライン8の2の2第2項)。また、重要な会計上の見積りに関する注記は、重要な会計方針の次に注記することとされています(財務諸表等規則第9条、連結財務諸表等規則第16条)。

(4) 新型コロナウイルス感染症に関連する会計上の見積りの開示

21年2月10日に第451回企業会計基準委員会議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(21年2月10日更新)」(以下、第451回ASBJ議事概要)が公表されており、見積開示基準の適用後の考え方が示されています。

前年度に、第429回企業会計基準委員会議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(20年4月10日公表)(以下、第429回ASBJ議事概要)を踏まえ、追加情報に記載した新型コロナウイルス感染症(以下、本感染症)の今後の広がり方や収束時期等の一定の仮定については、見積開示基準の開示に含まれることが多く、見積開示基準の開示として、より充実した開示になることが想定されることや、本感染症の影響に重要性がないと判断される場合であっても、当該判断の開示が財務諸表の利用者にとって有用な情報になると判断する場合は、見積開示基準の開示に含まれないが、引き続き、追加情報を開示する趣旨に沿ったものになると考えられるとされています。

(5) MD&Aにおける会計上の見積りと見積開示基準との関係

会計上の見積りについては、MD&Aにおいても記載が求められています(開示府令第二号様式(記載上の注意)(32)g)。MD&Aにおける会計上の見積りは、財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響など、「第5 経理の状況」に記載した会計方針を補足する情報を記載するとされています。また、記載すべき事項の全部又は一部を「第5 経理の状況」の注記において記載した事項の記載は、その旨の記載により省略することができるとされています。

このため、見積開示基準の適用により財務諸表に注記される見積り項目の内容が、MD&Aで記載すべき事項と重複する場合は、MD&Aにおける会計上の見積りにおいては、財務諸表を参照し記載を省略することができると考えられます。

ただし、MD&Aにおいては、経営者がどのような前提を置いて会計上の見積りを行っているかは、経営判断に直結する事項であり、経理の状況に記載した会計方針を補足するための、情報を記載することが求められています。このため見積開示基準による注記が開示府令におけるMD&Aでの開示の要求事項を満たしているか否かを慎重に判断し、見積開示基準による注記内容が、開示府令の要求事項を満たしていない場合は、その内容をMD&Aで記載する必要があると考えられます。

(6) 見積開示基準と監査上の主要な検討事項(KAM)との関係

監査報告書に記載される監査上の主要な検討事項(以下、KAM)は、21年3月期から適用となります。KAMの記載内容として、「関連する財務諸表における注記事項がある場合は、当該注記事項への参照」「個々の監査上の主要な検討事項の内容」「財務諸表監査において特に重要であるため、当該事項を監査上の主要な検討事項に決定した理由」「当該事項に対する監査上の対応」が求められています。

関連する財務諸表における注記事項へ参照することによって、経営者が財務諸表を作成する上で当該事項をどのように取り扱ったかについて、財務諸表の利用者が理解を深めることが可能になるとされています。また、KAMに該当すると判断した理由及び監査上の対応を説明するために、監査人は主要な仮定、見込まれる結果の範囲、見積りの不確実性の主な原因などの注記事項に言及することがあるとされています。

KAMの決定プロセスにおいて、見積りの不確実性が高いと識別された会計上の見積りが、例として挙げられていることから、見積開示基準の定めに基づいて識別された項目についてKAMの対象となるケースが多くなるものと想定されます。

このように、見積り開示とKAMは密接に関連しており、見積開示基準による開示の記載内容については、監査人と慎重な協議が必要と考えられます。

(7) 連結財務諸表を作成している場合における個別財務諸表の開示

連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表における見積開示基準に基づく開示は、会計上の見積りの注記事項のうち、財務諸表利用者の理解に資するその他の情報については、連結財務諸表における記載を参照することができます(見積開示基準第9項前段、財務諸表等規則第8条の2の2第3項)。また、識別した項目ごとに、当年度の個別財務諸表に計上した金額の算出方法に関する記載をもって、会計上の見積りの注記事項における財務諸表利用者の理解に資するその他の情報の記載内容に代えることができる簡素化された開示が認められています。この場合であっても、連結財務諸表の記載を参照することができます(見積開示基準第9項後段、財務諸表等規則第8条の2の2第3項)。また、連結財務諸表を国際会計基準で作成している場合であっても、見積開示基準に基づき個別財務諸表で開示すべき情報が連結財務諸表において記載されていれば、当該連結財務諸表を参照することは可能と考えられます。

2. 改正収益認識基準の早期適用による開示への影響

20年3月31日に公表された改正企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下、改正収益認識基準)及び改正企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下、改正収益認識適用指針)は、21年4月1日以後開始する年度の期首から原則適用されますが、21年3月期からの早期適用も認められます。

改正収益認識基準 の適用により、顧客との契約から生じる収益や契約資産、契約負債又は顧客との契約から生じた債権の表示、顧客との契約から生じる収益に関する注記が求められることになります。

なお、22年3月期から原則適用する場合、当年度において、未適用の会計基準として、当該会計基準等が財務諸表に与える影響等の注記が必要となる点に留意が必要です(会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬(ごびゅう)の訂正に関する会計基準22-2項、財務諸表等規則第8条の3の3第1項、連結財務諸表等規則第14条の4)。

(1) 表示

顧客との契約から生じる収益は、適切な科目(例えば、売上高、売上収益又は営業収益等)をもって損益計算書に表示します。顧客との契約から生じる収益については、それ以外の収益と区分して損益計算書に表示するか、又は区分して表示しない場合には、顧客との契約から生じる収益の額を注記します(改正収益認識基準第78-2項、改正収益認識適用指針第104-2項、財務諸表等規則第72条第2項、連結財務諸表等規則第51条第2項)。

契約資産、契約負債又は顧客との契約から生じた債権は、適切な科目をもって貸借対照表に表示するかそれぞれの残高を注記することが求められています(改正収益認識基準第79項、改正収益認識適用指針第104-3項、財務諸表等規則第15条、第17条第1項、連結財務諸表等規則第23条第1項)。

(2) 注記事項

① 重要な会計方針の注記

顧客との契約から生じる収益に関する重要な会計方針として、次の項目を注記するとされています(改正収益認識基準第80-2項、第80-3項、財務諸表等規則ガイドライン8の2)。

① 企業の主要な事業における主な履行義務の内容
② 企業が当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)
③ 上記①及び②以外に重要な会計方針に含まれると判断した内容

上記②について、改正収益認識基準第163項において、「企業が当該履行義務を充足する通常の時点」と「収益を認識する通常の時点」は、例えば改正収益認識適用指針第98項における代替的な取扱い(出荷基準等の取扱い)を適用した場合には、両時点が異なる場合があり、このような場合には、「収益を認識する通常の時点」を注記することになる点が明確化されています。

② 顧客との契約から生じる収益に関する注記

顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を企業が開示することとされています(改正収益認識基準第80-5項、財務諸表等規則第8条の32第1項、連結財務諸表等規則第15条の26)。

開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことができ、重要性の判断については、定量的な要因のみで判断した場合に重要性がないと言えない場合であっても、開示目的に照らして重要性に乏しいと判断される場合もあると考えられるとされています(改正収益認識基準 第168項)。

開示目的を達成するための顧客との契約から生じる収益に関する注記事項として次の事項が定められています。

  • 収益の分解情報
  • 収益を理解するための基礎となる情報
  • 当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報

収益の分解情については、企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用している場合、当該会計基準に従って各報告セグメントについて開示する売上高との関係を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を注記することとされています(改正収益認識基準第80-11項)。また、例えば決算発表資料やプレスリリース等で提供されている、より詳細な収益の分解に関する情報を、その開示目的に照らしてどの程度開示すべきかを検討する必要があります(改正収益認識適用指針第106-4項)。

収益を理解するための基礎となる情報としては、契約及び履行義務に関する情報等を注記するとされています(改正収益認識基準第80-12項から第80-19項、第179項から第191項、改正収益認識適用指針第106-6項、第106-7項)。

また、当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報としては、当期に認識した収益の額のうち期首現在の契約負債残高に含まれていた額等の契約資産及び契約負債の残高等に関する情報と残存履行義務に配分した取引価格に関する情報を注記するとされています(改正収益認識基準第80-20項から第80-24項、第192項から第205項、改正収益認識適用指針第106-8項、第192項)。

これらの注記は相互に関連すると考えられ、履行義務に関する説明と収益の分解情報の区分や残存履行義務に配分した取引価格に関する情報との整合性など、注記全体として開示目的を達成するための十分な情報が提供されているかに留意が必要と考えられます。

(3) 連結財務諸表を作成している場合における個別財務諸表の開示

連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表においては、「収益の分解情報」及び「当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報」について注記しないことができるとされています(改正収益認識基準第80-26項、財務諸表等規則第8条の32第4項)。また、「収益を理解するための基礎となる情報」の注記を記載するに当たり、連結財務諸表における記載を参照することができるとされています(改正収益認識基準第80-27項、財務諸表等規則第8条の32第5項)。ただし、連結財務諸表では消去される重要なグループ内取引や、連結財務諸表では重要性が乏しいものの個別財務諸表では重要と考えられる取引等については、個別財務諸表において注記する必要があると考えられる点に留意が必要です。

さらに、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表においては、本改正会計基準第78-2項、第78-3項及び第79項の表示及び注記の定めを適用しないことができます(改正収益認識基準第80-25項、財務諸表等規則第8条の32第4項)。

Ⅲ 開示府令の改正等

1. 開示府令の改正

21年2月3日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下、開示府令)の改正が公布され、3月1日から施行されました。これは、19年12月に成立した「会社法の一部を改正する法律」(以下、改正法)の施行及び20年11月に公布された「会社法の改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正」に基づく会社法施行令、会社法施行規則及び会社計算規則などの改正を踏まえ、開示府令について所要の改正を行うものです。 

(1) 役員等の補償契約と役員損害賠償契約

役員等との間で補償契約又は役員等賠償責任保険契約を締結した場合には、「コーポレート・ガバナンスの概要」において、締結した契約の内容の概要を記載することが求められています。

補償契約に基づいて役員等の損失を補償した場合は、当該役員等が職務の執行に関し法令の規定に違反し又は責任を負うことを知ったときはその旨と損失を補償した旨及び補償した金額を記載することが求められます。

また、役員等賠償責任保険契約を締結した場合は、塡補(てんぽ)の対象とされる保険事故の概要と被保険者によって実質的に保険料が負担されているときにおけるその負担割合を記載することが求められます。

なお、補償契約及び役員等賠償責任保険契約に係る記載事項については、施行日以後に締結されたこれらの契約に係る事項に限られるとされています。

(2) 役員の報酬等

取締役の個人別の報酬等の決定方針について定めている場合は、当該方針の決定の方法や当該方針の概要の内容、個人別の報酬等の内容が方針に沿うものであると取締役会が判断した理由の記載が求められます。

また、指名委員会等設置会社以外の会社で、役員の報酬等に関する株主総会の決議がない場合、役員の報酬等について定款に定めている事項の内容に加え、当該事項を設けた日を記載することが求められます。

報酬などの種類別の開示の例として、非金銭報酬等が示されており、業績連動報酬の全部又は一部が非金銭報酬等であるときは、その内容を記載することが求められます。

取締役の個人別の報酬等の内容の決定について、取締役会から委任された取締役又はその他の第三者がその全部又は一部を決定した場合、次の記載が求められます。

  • その旨
  • 委任を受けた者の氏名
  • 当該内容を決定した日における地位及び担当
  • 委任された権限の内容
  • 委任の理由
  • 当該権限が適切に行使されるようにするための措置を講じた場合における当該措置の内容

(3) その他

主要な経営指標等の推移の自己資本比率及び自己資本利益率は、新設された株式引受権の金額を控除した純資産額を用いて計算することが明確化されました。

改正法に基づく開示府令の改正により、有価証券報告書の非財務情報については事業報告と同一の記載が求められることになります。特に役員の報酬等については、役職ごとの支給額についての考え方や取締役会や報酬委員会における報酬決定に関する具体的な活動内容等、詳細な開示規定が設けられた19年1月の改正開示府令に加えて、さらに詳細な開示が求められているため留意が必要です。

2. 記述情報の開示の好事例集

金融庁は「記述情報の開示の好事例集2020」として、20年11月に新型コロナウイルス感染症及びESGに関する開示の好事例、21年2月に「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」の開示の好事例、21年3月に「監査の状況」「役員の報酬等」等の開示の好事例を公表しました。

政策保有株式の開示については、昨年に引き続き、投資家が好開示と考える開示と現状の開示の乖離が大きいとの意見が聞かれたため、好事例集の公表に代えて、投資家が期待する好開示のポイントの例示を更新しています。

Ⅳ 金融庁による有報レビューを踏まえた留意事項

1. 2021年度有報レビューにおける審査項目等

有価証券報告書の記載内容の適正性を確保する目的の下、毎年、金融庁と財務局等との連携により有報レビューが行われています。21年度の有報レビューの概要は<表1>のとおりです。

表1 21年度有報レビューの概要

2. 過去の有報レビューにおける指摘事項

過去の有報レビューの重点テーマ項目は<表2>のとおりです。

表2 過去(直近3年間)の有報レビューにおける重点テーマ審査項目

20年度の有報レビューでは、上記に加え、新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示について、全ての有報提出会社を対象として審査が行われました。
20年度の有報レビュー結果を踏まえた留意事項のうち主なものは以下のとおりです。

  • 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」や「事業等のリスク」について、経営者の認識を踏まえて具体的に記載しているか。
  • 「MD&A」の経営成績等の状況について、経営者の評価を提供しているか。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、充実した開示が行われているか。
  • 監査の状況の開示における監査役及び監査役会の活動状況ついて、単に会議の開催頻度や参加回数を記載するにとどまらず、具体的にどのような点を重点的に監査したか等の情報を提供しているか。
  • 収益の分解情報と収益の分解情報以外の情報(特に履行義務の内容)との関係や履行義務の内容について、具体的に記載しているか。
  • 残存履行義務に配分した取引価格について、財務諸表利用者の将来予測に資する十分な詳細さで情報を提供しているか。
  • 一定の期間にわたり充足する履行義務について、収益を認識するために使用した方法やその使用した方法が財又はサービスの移転の忠実な描写となる理由に関する説明をしているか。
  • 財務諸表等に重要な影響を与える会計方針を適用する過程で行った見積りを伴う判断に関する情報として、収益認識に係る会計方針や注記の項目全体を参照先として記載しているが、参照先において当該判断が具体的に記載しているか。

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