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2023年3月期第1四半期 決算上の留意事項

2022年6月30日 PDF
カテゴリー 会計情報レポート

情報センサー2022年7月号 会計情報レポート

EY新日本有限責任監査法人 品質管理本部 会計監理部
公認会計士 宮﨑 徹
公認会計士 大竹勇輝
公認会計士 石川 仁

品質管理本部 会計監理部において、会計処理および開示に関して相談を受ける業務、ならびに研修・セミナー講師を含む会計に関する当法人内外への情報提供などの業務に従事している。

Ⅰ はじめに

23年3月期においては、改正時価算定適用指針及びグループ通算制度に係る実務対応報告42号が期首から原則適用となります。また、新型コロナウイルス感染症(以下、本感染症)やウクライナ情勢の影響は、引き続き会計上の見積りに影響を与えることが考えられます。このため本稿では、これらを中心に23年3月期第1四半期決算にあたっての留意事項を解説します。なお、本文中で使用する会計基準の略称及び適用開始時期は<表1>のとおりです。

表1 会計基準略称及び適用時期の一覧

また、文中の意見にわたる部分は筆者らの私見であることをあらかじめお断りします。

Ⅱ 時価算定会計基準及び改正時価算定適用指針のポイント

1. 当四半期決算における時価算定会計基準による注記事項

19年7月4日に企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」(以下、時価算定会計基準)が公表され、それに合わせて企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第19号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」及び企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下、四半期適用指針)が改正されました。また、時価算定会計基準の公表に伴い、20年3月6日に、四半期連結財務諸表規則及び四半期財務諸表等規則も改正され、四半期において求められる金融商品に関する注記事項も改正されました。

具体的な四半期における注記事項は、<表2>のとおりです。なお、総資産の大部分を金融資産が占め、かつ、総負債の大部分を金融負債及び保険契約から生じる負債が占める場合を除く(連結)財務諸表提出会社は、第1及び第3四半期において、<表2>の注記を省略することができます。

表2 四半期における金融商品に関する注記事項

ここで、時価算定会計基準の適用初年度においては、経過措置が設けられていたことから、<表2>の②の事項については、注記は要しないとされていました。しかし、時価算定会計基準の適用後2年目である23年3月期第1四半期において、<表2>の②の事項については、新たに開示が求められるため、留意が必要です。ただし、<表2>にも記載のとおり、四半期(連結)貸借対照表の科目ごとに、会社(企業集団)の事業の運営において重要なものとなっており、金額が前期末日に比して著しい変動が認められる場合にのみ注記が求められています。

2. 当四半期における改正時価算定適用指針のポイント

改正前の企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(以下、時価算定適用指針)においては、投資信託の時価の算定に関する検討には、関係者との協議等に一定の期間が必要と考えられるため、時価算定会計基準公表後概ね1年をかけて検討を行うこととされていました。また、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記については、時価を把握することが極めて困難と認められることを理由に時価の注記を行っていないケースが従来みられていましたが、一定の検討を要するため、投資信託に関する取扱いを改正する際にその取扱いを明らかにすることとされていました。

上記の経緯を踏まえ、ASBJにおいて審議が行われていましたが、21年6月に改正時価算定適用指針が公表されました。22年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から改正時価算定適用指針が原則適用となります。22年3月期においては、多くの会社が改正時価算定適用指針を早期適用せず、投資信託について改正前の会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」の取扱いを適用できる経過措置を適用していたと考えられます。このため、23年3月期より適用される改正時価算定適用指針の四半期決算におけるポイントを解説します。

(1) 投資信託の時価の算定

投資信託財産が金融商品又は不動産である投資信託の具体的な時価の算定に関する取扱いは、<表3>のとおりです。

表3 投資信託の時価の算定に関する取扱い

(2) 貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記に関する取扱い

組合等への出資の会計処理については、有価証券とは異なり時価をもって貸借対照表価額とすることは求めておらず、どのようなケースで時価の注記を求めるかについては、どのようなケースで時価をもって貸借対照表価額とすることが必要であるかと併せて検討する必要があるとされました。したがって、会計処理について今後の検討課題であることを認識した上で、改正後の時価算定適用指針では、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資について、時価の注記を要しないこととされました。

(3) 四半期における注記事項

改正時価算定適用指針の適用に伴う、四半期での注記事項は次のとおりです。なお、<表2>に記載のとおり、四半期(連結)貸借対照表の科目ごとに、会社(企業集団)の事業の運営において重要なものとなっており、金額が前期末日に比して著しい変動が認められる場合にのみ注記が求められています。

① 四半期貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合その他これに準ずる事業体への出資については、<表2>の①の注記事項の記載を要しない。この場合には、その旨及び当該出資の四半期貸借対照表計上額を注記しなければならない

② 投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、<表2>の①の注記事項の記載において、当該投資信託等が含まれている旨を注記しなければならない(当該投資信託等の四半期貸借対照表計上額に重要性が乏しい場合を除く)

③ 投資信託等について、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従い、投資信託等の基準価額を時価とみなす場合には、<表2>の②に掲げる事項の記載を要しない。この場合には、その旨及び当該投資信託等の四半期貸借対照表計上額を注記しなければならない

なお、改正時価算定適用指針の適用初年度においては、上記の①及び②の注記事項については比較情報について記載することを要しないとされており、また、③の注記事項については、比較情報も含めて、記載することを要しないとされています。

また、改正時価算定適用指針の適用初年度においては、改正時価算定適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用するとされており、この場合、その変更の内容について注記するとされています。

Ⅲ 会計上の見積りのポイント

1. 新型コロナウイルス感染症の影響

わが国では、一時は感染者数の急速な減少により収束に向けた期待感も出てきていた一方、新たな変異株の影響で22年1月以降に感染が再拡大しました。現在は、国内において緊急事態宣言等が発令されている状況ではないものの、今後再び感染が拡大し、緊急事態宣言等が発令される可能性も考えられます。また、海外においても、上海のロックダウンにより物流が停滞するなど、本感染症が依然として大きな影響を及ぼしています。

以下においては、主に23年3月期第1四半期の財務諸表を作成するにあたって、本感染症が会計上の見積りに与える影響を評価する際に企業が考慮すべき留意点をまとめています。会社の業種・業態によっては、以下に記載した論点以外にも重要な論点が存在する可能性がありますので、各社の状況を鑑み、慎重にご検討ください。

(1) 四半期決算における基本的な考え方

四半期決算では、開示の迅速性を踏まえ、財務諸表利用者の判断を誤らせない範囲で、前年度決算から経営環境等に著しい変化が生じていないことを前提に、前年度決算の結果を利用した会計処理を行うことが容認されていますが(四半期適用指針16項など)、本感染症に起因する経営環境の変化は、日々刻々と企業に大きな影響を与えていると考えられることから、簡便的な会計処理を採用している場合においても、3月の本決算後の経営環境の重要な変化を四半期決算に織り込んでいく必要があります。

(2)会計上の見積りに与える影響

会計上の見積りは、「資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出すること」とされています。

ここで、「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(20年4月10日公表ASBJ議事概要)では、次の点に留意するとされていました。

  • 合理的な金額の算出に際し、本感染症の影響のように不確実性が高い事象についても、一定の仮定を置き最善の見積りを行う必要がある
  •  一定の仮定を置くにあたっては、外部の情報源に基づく客観性のある情報を用いることができる場合には、これを可能な限り用いることが望ましいものの、客観性のある情報が入手できないような場合には、今後の広がり方や収束時期等も含め、企業自ら一定の仮定を置くことになる
  •  企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離(かいり)が生じたとしても、誤謬(ごびゅう)には当たらないものと考えられる

企業の状況によっては、現在においても、本感染症が企業の業績に与える影響を正確に見通すことが困難な状況が継続していることも考えられます。このような場合、上記議事概要の考え方を踏まえて、この四半期決算においても、外部の情報源に基づく客観性のある情報が入手できない場合には、企業自ら一定の仮定を置くことが引き続き必要と考えられます。

なお、本感染症が発生してから数年が経過していることに鑑みれば、企業の状況によっては、本感染症の発生間もない時期と比べて、見積りの不確実性の程度が相対的に低くなっており、以前に比べて仮定の合理性を判断しやすい状況になっていることも考えられます。したがって、企業自ら一定の仮定を置くにあたっては、それぞれの企業が置かれている現時点の状況に照らして、当該仮定が最善の見積りといえるかどうかを検討することが求められると考えられます。

この点も踏まえて、四半期決算においては、前年度決算で企業が置いた仮定の合理性について、各四半期の状況に照らして検討する必要があると考えられます。

(3) 四半期における開示

20年6月26日更新のASBJ議事概要及び20年5月11日ASBJ議事概要(追補)の考え方に基づく四半期の開示は<表4>のとおりと考えられます。年度では「会計上の見積りに関する注記」が求められていますが、四半期において当該注記は求められていないことから、追加情報として記載するものと考えられます。

表4 四半期における開示パターン

なお、重要な変更か否かは、第2四半期以降において、直前の四半期末との比較ではなく、前年度末との比較である点にご留意ください。

2. ウクライナ情勢の影響

22年2月24日にロシアによるウクライナに対する侵攻が開始され、その後日本を含む米国・欧州などが国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの銀行を排除するなど、ロシアに対する複数の経済制裁を課しています。ウクライナ情勢の影響は、ロシア・ウクライナに拠点や関係会社を有している企業だけでなく、両国との間で取引がある企業や原材料の調達先となっている企業においても重要な影響を及ぼす可能性があります。また、エネルギー価格の高騰などの間接的な影響は幅広い企業に及ぶものと考えられます。

したがって、多くの企業において、会計上の見積りに対するウクライナ情勢の影響を検討する必要があると考えられます。

しかし、依然としてロシアによる侵攻は継続しており、ウクライナ情勢の影響の今後の広がりを予測することは困難な状況と考えられます。また、仮に侵攻が終結したとしても、ロシアに対する経済制裁の解除等によって、侵攻前の経済環境に戻ることが見込まれるかどうかについても不確実性が高い状況と考えられます。

このように不確実性が高い状況である点は、本感染症による影響と同様であることから、会計上の見積りに対するウクライナ情勢の影響を検討するに当たっては、上記「1. 新型コロナウイルス感染症の影響」で示した考え方が、参考になるものと考えられます。

Ⅳ グループ通算制度の適用における留意点

1. グループ通算制度及び実務対応報告42号の適用

22年4月1日以後開始する事業年度より、連結納税制度からグループ通算制度に移行されました。また、グループ通算制度を適用する場合における法人税及び地方法人税並びに税効果会計の会計処理及び開示の取扱いを定めた実務対応報告42号が、22年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から原則適用されています。

本項では、実務対応報告42号を23年3月期の期首から適用している前提で、グループ通算制度自体や実務対応報告42号の内容を踏まえて、特に23年3月期第1四半期において留意すべき事項を整理していきます。

なお、グループ通算制度の概要については、本誌20年11月号及び20年12月号を、実務対応報告42号の概要については、本誌21年8月・9月合併号を、グループ通算制度を適用する上での税務上、会計上の留意事項については、本誌21年12月号をそれぞれご参照ください。

(1) グループ通算制度の概要

現行の連結納税制度は、企業グループ全体を1つの納税主体とする制度であり、各法人の所得金額と欠損金額を合算(損益通算)して計算した連結所得金額に、親法人の適用税率を乗じ、各種税額控除等を行って連結法人税が計算されていました。しかし、連結納税制度については、損益通算等により、単体納税に比べて連結グループ全体の法人税額が減少するというメリットがある一方、税額計算の煩雑さや、誤りが生じた場合にグループ全体の再計算が必要であり、税務調査後の修更正に期間を要するというデメリットが生じていました。

この点、グループ通算制度は、損益通算等のメリットを残しつつ、親法人及び各子法人が法人税の申告を行う個別申告方式となっている点に特徴があります。グループ通算制度の概要をまとめると<表5>のとおりです。

表5 グループ通算制度の概要

(2) 実務対応報告42号の概要

上記のとおり、連結納税制度とグループ通算制度とでは、全体を合算した所得を基に納税申告を親法人が行うか、各法人の所得を基にそれらを通算した上で納税申告を各法人が行うかなどの申告手続は異なるものの、企業グループの一体性に着目し、完全支配関係にある企業グループ内における損益通算を可能とする基本的な枠組みは同じであることから、実務対応報告42号の基本的な方針として、連結納税制度における実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」(以下、合わせて「実務対応報告5号等」)の会計処理及び開示に関する取扱いを踏襲することとしている点に特徴があります。

ただし、連結納税制度とグループ通算制度との税法上の取扱いの相違点に起因して、連結納税制度適用時の会計処理及び開示と異なる部分が生じ得るという点には留意が必要です。

2. 適用による影響

ここからは、「単体納税制度からグループ通算制度へ移行した場合」と「連結納税制度からグループ通算制度へ移行した場合」とに分けて、グループ通算制度への移行にあたって会計処理へ影響する可能性がある点について、主な内容を整理していきます。

(1) 単体納税制度からグループ通算制度への移行の主な影響

① 税効果会計

グループ通算制度は企業グループの一体性に着目し、完全支配関係にある企業グループ内における損益通算を可能とする基本的な枠組みとなっており、グループ通算制度を適用する通算グループ全体が「課税される単位」となると考えられることから、連結財務諸表において通算グループ全体に対して税効果会計を適用することとされています(実務対応報告42号47項)。この点、単体納税制度からの特徴的な変更点として、繰延税金資産の回収可能性の判断における企業の分類として「通算グループ全体の分類」を判断する必要があるという点が挙げられます。当該判断にあたっては、一時差異や課税所得等の通算会社ごとに生じる項目は、その合計が通算グループ全体で生じるものとして取り扱い、企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(以下、回収可能性適用指針)15項から32項に基づき判断することになります(実務対応報告42号17項)。

また、個別財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断の際の企業の分類について、「通算グループ全体の分類」と「通算会社の分類」のいずれか上位の分類に応じて回収可能性を判断することになります(実務対応報告42号13項)。そこで、例えば、「通算グループ全体の分類」が「通算会社の分類」より上位の場合には、法人税及び地方法人税に係る企業の分類が変わり繰延税金資産が増加することが考えられます。

また、繰延税金資産の回収可能性の判断に関する手順は、基本的には単体納税制度における手順(回収可能性適用指針11項)と同様ですが、通算税効果額の影響を考慮する必要があります。すなわち、将来加算一時差異の解消見込額と相殺し切れなかった将来減算一時差異の解消見込額について、まず、通算会社単独の将来の一時差異等加減算前通算前所得の見積額と解消見込年度ごとに相殺し、その後に、損益通算による益金算入見積額(当該年度の一時差異等加減算前通算前所得の見積額がマイナスの場合には、マイナスの見積額に充当後)と解消見込年度ごとに相殺することになります(実務対応報告42号11項(1))。このため、損益通算による益金算入見積額(マイナスの見積額に充当後)だけ繰延税金資産が増加することが考えられます。

② 欠損金の切捨て

グループ通算制度の開始・加入時においては、一定の要件を満たす場合を除き、通算法人の繰越欠損金は切り捨てられることになります。このように、繰越欠損金の引継ぎが認められない場合に、切り捨てられた税務上の繰越欠損金に対して繰延税金資産を計上していた場合には、当該繰延税金資産を取り崩す必要があります。当該繰延税金資産を取り崩すのは、グループ通算制度の適用を前提として税効果会計を適用することになる時点であると考えられます。したがって、実務対応報告42号を23年3月期の期首から原則適用した場合には、23年3月期の期首からグループ通算制度の適用を前提とした税効果会計を適用することになり、23年3月期第1四半期において税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産を、法人税等調整額を相手勘定として取り崩すことになります。

(2) 連結納税制度からグループ通算制度への移行の主な影響

上記1.(2)のとおり、実務対応報告42号の基本的な方針として、連結納税制度における会計処理及び開示に関する取扱いを踏襲することとしていることから、会計処理に大きな影響はないと考えられますが、例えば以下の点のような税制の変更により、繰延税金資産の計上額に影響することも考えられます。

連結納税制度における特定連結欠損金の控除額と、グループ通算制度における特定繰越欠損金の控除額の算定方法が異なっており、連結納税制度においては、損益通算前の所得で控除額が算定されていたのに対し、グループ通算制度においては、損益通算後の所得で控除額が算定されることとなります。このため、繰延税金資産の回収可能性に影響を及ぼす可能性があります。すなわち、損益通算前所得金額におけるプラスの金額が、損益通算後所得金額では減少する又はゼロとなる場合、連結納税制度において損益通算前所得金額に基づいて回収可能性があるものとされていた特定繰越欠損金に係る繰延税金資産が、グループ通算制度では減少する又はゼロとなる可能性があります。この場合、当該繰延税金資産は、法人税等調整額を相手勘定として取り崩すことになります。

3. 23年3月期第1四半期の留意点

(1) 四半期の簡便法との関係

上記「2. 適用による影響」のとおり、グループ通算制度及び実務対応報告42号の適用に伴い税効果会計への影響が生じる可能性があります。

この点、仮に四半期における繰延税金資産の回収可能性の判断における簡便的な取扱い(企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」16項、17項)を採用している場合には、経営環境等に著しい変化が生じていない等の一定の要件を満たせば、前年度末に検討した将来の業績予測等を用いて繰延税金資産の回収可能性を簡便的に判断することができますが、適用影響がある場合には、23年3月期第1四半期において当該影響を織り込む必要があります。

(2) 会計方針の変更への該否

① 単体納税制度からグループ通算制度へ移行する場合

単体納税制度からグループ通算制度へ移行する場合には、税制上の制度の変更による影響が生じるのみであり、グループ通算制度への移行に伴って新たな会計方針を採用することは、「会計処理の対象となる新たな事実の発生に伴う新たな会計処理の原則及び手続の採用」に該当し、会計方針の変更には該当せず、会計方針の変更に関する注記も要しないと考えられます。

② 連結納税制度からグループ通算制度への移行の影響

上記のとおり実務対応報告42号は実務対応報告5号等の会計上の取扱いを踏襲しており、会計方針の変更によって重要な影響は生じないと考えられます。このため、実務対応報告42号の適用は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当するものの、会計方針の変更による影響はないものとみなすこととされており、会計方針の変更に関する注記も要しないとされています(実務対応報告42号32項(1)、67項)。

なお、上記のとおり、いずれの場合であっても、会計方針の変更に関する注記は不要と考えられますが、単体納税制度又は連結納税制度からグループ通算制度へ移行し、実務対応報告42号を適用している旨を追加情報として注記することが考えられます。

※ 本誌21年8月・9月合併号では公開草案に基づいて解説しているが、最終公表された実務対応報告42号は、公開草案から基本的に変わっていない。

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