ニュースリリース

2021年9月13日 東京, JP

EY、グローバルな税務課題の対処に向けてブロックチェーンベースの官民連携プロジェクトを完遂

EYは、グローバルの源泉所得税(WHT)に特化したブロックチェーンベースの税務ソリューション「TaxGrid™」の実効性を検証するマルチステークホルダー・プロジェクトを完遂したことをお知らせします。

プレス窓口
EY Japan

複合的サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファーム

  • EYのテクノロジーを活用した源泉所得税(WHT)ソリューションで、国境を越えたWHTプロセスの非効率性と複雑さの解消を目指す
  • ブロックチェーンベースのWHTソリューションを採用することにより、投資家の税務・財務情報の分散管理、プロセスの自動化、より安全なデータ共有が可能に
  • 10年来の税務課題の対処を目的とした、税務当局と金融仲介業者の協働の取り組みにより、WHTプロセスの弾力性、有効性、効率性が向上

EYは、グローバルの源泉所得税(WHT)に特化したブロックチェーンベースの税務ソリューション「TaxGrid™」(以下、WHTソリューション)の実効性を検証するマルチステークホルダー・プロジェクトを完遂したことをお知らせします。本プロジェクトでは、配当金分配に係るクロスボーダーのWHTプロセスの非効率性と複雑さの解消や、それにより、ほぼリアルタイムに便益を得られる投資家、金融機関、税務当局の税務コンプライアンスの向上を、WHTソリューションでどのように実現できるか検証し、有意義な成果を得ることができました。

このマルチステークホルダー・プロジェクトは、ブロックチェーンベースのテクノロジーソリューションの活用に期待を寄せる利害関係者らが一丸となって進めた取り組みの集大成です。参加国は、英国(歳入税関庁)、オランダ(歳入庁)、およびノルウェーです。参加企業は、BNPパリバ・セキュリティ・サービス、シティバンク、JPモルガン・セキュリティ・サービス、ノーザン・トラスト、APGアセットマネジメント、PGGMインベストメンツ、そしてEYプロフェッショナルチームです。この他に、学界から、オーストリアのウィーン経済・経営大学と英国のエクセター大学(Tax Administration Research Centre - TARC)の2校を本プロジェクトに迎えました。

WHTソリューションは、積年の源泉所得税に関する課題への対処に加え、税務当局のほぼリアルタイムでのコンプライアンス上のリスク対応を促進します。さらに、金融仲介業者も、広範で複雑なネットワーク内で投資家情報をタイムリーに交換できるようになります。その際、規制要件の遵守などを含む、契約上の義務の履行や、投資家情報の機密性は確保されます。

こうしたメリットは、WHTソリューションに実装されたブロックチェーン技術によるものです。ブロックチェーンを活用することにより、すべての配当金取引を記録した共有台帳が作成されるため、金融仲介業者と税務当局間の税務・財務情報の交換プロセスの自動化、分散管理、より安全なデータ共有が可能になり、配当所得に係る源泉所得税の適切性と正確性が担保されます。また、税務プロセスも簡略化され、納税責任者に対する税制措置の適切性が確保されます。一方、透明性が向上し、税務当局が晒される不正リスクが軽減されます。

データプライバシー及び機密性を保護するために、WHTソリューションはゼロ知識証明(ZKP)やその他のプライバシー保護技術を活用することで、税務当局にデータへのほぼリアルタイムのアクセスを付与しながら投資家の機密情報や商業上の機密の保持を維持します。

EYのグローバル・バイス・チェア(タックス)のKate Bartonは、次のように述べています。

「この画期的なクロスボーダープロジェクトを通じて、参加者は協働してイノベーションと技術開発に取り組み、さまざまなステークホルダーがメリットを得られる税務ポリシーを確立することができました。源泉所得税に係る税務プロセスの効率性と安全性が向上すれば、税務エコシステム全体がその恩恵を受けられます。例えば、コスト削減、透明性の向上、ほぼリアルタイムでの税務コンプライアンスリスク管理などが期待されます。EYでは、引き続き、このマルチステークホルダー・プロジェクトのメンバーと密接に連携し合い、税務当局や金融仲介業者との協働の輪を広げていく予定です。グローバルな源泉所得税の課題対処に資するWHTソリューションをより広範に適用するには、法規制改正に対応する必要があり、EYではこの点に関しても注力していきたいと考えています」

EYのグローバル バイス チェア(トランスフォーメーション)のHank Prybylskiは、次のように述べています。

「ブロックチェーン技術は源泉所得税の課題対処の一助となる、というのは、もはや単なる概念ではありません。今回のプロジェクトでも明らかなように、近い将来、金融仲介業者と各国の税務当局は、法的・技術的課題の解決に向けてお互いに歩み寄り、納税責任者と税務当局の相反する要望に柔軟な対処策を見出し、デジタル変革の推進に向けて連携を深めることができるでしょう」

WU Global Tax Policy Center(ウィーン経済・経営大学、オーストリア)のDirectorであるJeffrey Owens氏は、次のように述べています。

「ブロックチェーンベースのWHTソリューションの実効性を分析したところ、多くの人が関心を寄せている法的課題に対してベストプラクティスを実践している事例が見受けられました。こうした成果を挙げている国々では、税務当局と金融仲介業者は、ほぼリアルタイムで情報にアクセスすることで便益を得ることができ、国際資本市場の機能に改善が見られました」

JPモルガン・セキュリティ・サービスのカストディ・タックス・プロダクト担当グローバルヘッドのPhil Caldwell氏は、次のように述べています。

「カストディアンと税務当局間のデータ移動が安全かつ管理された方法で実行されるかどうか評価するテストを実施しました。綿密に計画され、体系的な手法で行われた同テストにより、国境を越えた源泉所得税に係る税務プロセスの投資家業務を簡素化するには、ブロックチェーン技術が非常に有益であるという有意義な成果を得ることができました。従来の紙ベースのプロセスに代わって革新的なデジタルソリューションを導入すれば、我々の業界全体で実務の効率性が非常に向上するでしょう。今後、この革新的なソリューションが広く実践されることを期待しています」

BNPパリバ・セキュリティ・サービスのタックス・ビジネス・サービス担当グローバルヘッドのNigel Nelkon氏は、次のように述べています。

「我々は、官民連携で共通の課題に取り組むことで、潜在的な利便性を引き出すことができることを示したこの取り組みに貢献できたことを大変誇りに思います」

シティバンクのセキュリティサービス、DLT・デジタルイノベーション担当グローバルヘッドであるRyan Marsh氏は、次のように述べています。

「先端技術は、ビジネスの在り方を変えています。このイニシアティブに協力できたこと、そして、源泉所得税に係る税務プロセスを改善する新たな機会を見出すことができたことを嬉しく思います。シティバンクでは、デジタル化の潮流とテクノロジーの進歩を注視しながら、さまざまなイノベーションを試み、ケイパビリティを構築してクライアントの皆様に有益なサービスを提供できるよう注力しています。今回のプロジェクトを通じて、このソリューションは仲介者と投資家の双方にとって大きな効率化の可能性があることが判明しました。我々は、このソリューションをさらに発展させるために、関心を持つ関係者と協働していければと考えています」

ノーザン・トラストのセキュリティサービス担当グローバルエグゼクティブ兼マーケットアドボカシー&イノベーションリサーチ担当グローバルヘッドのJustin Chapman氏は、次のように述べています。

「ノーザン・トラストでは、このような革新的なマルチステークホルダー・プロジェクトに参加できたことを大変嬉しく思います。この取り組みは、進化するテクノロジーが顧客やより広範な金融エコシステムにもたらすメリットを示しています。ブロックチェーン技術を活用すれば効率性が向上し、投資家にとって大きなメリットになります。弊社は、引き続き、他の業界関係者や税務当局と連携しながらこのアジェンダを推し進めてまいります」

EY税理士法人 タックステクノロジー・アンド・トランスフォーメーション・リーダー、パートナーの橋本純は次のように述べています。

「本プロジェクトにより、ブロックチェーン技術が、税務プロセスの効率化とコンプライアンスの向上に資する可能性が示されたことは大変喜ばしいことです。ブロックチェーン技術は、WHTや間接税の分野において、大いに活用できると考えています。日本での活用の議論はこれからです。EYは、グローバルでの経験を活かし、日本におけるブロックチェーン技術の税務における活用の議論を支援していきます」

EY税理士法人 国際税務・トランザクション・サービスリーダー、パートナーの須藤一郎は次のように述べています。

「ブロックチェーン技術を利用することにより、国境を越えた源泉所得税に係る税務プロセスを簡素化することができれば、投資家、カストディアン、税務当局すべての関係者に恩恵がもたらされ、経済社会全体に大きな付加価値を創造することができると思います。このソリューションが多くの関係者に利用されることを期待しています」

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ブロックチェーンビジネスリーダー、パートナーの荻生泰之は次のように述べています。

「本プロジェクトは、ブロックチェーンの技術特性を活かし、高い機密性が求められる財務・税務情報をステークホルダー間だけでなく国境も越えて安全に共有し、また、スマートコントラクトにより税務プロセスの自動化を行っています。日本においては、ブロックチェーンが成長戦略に盛り込まれており、税務だけでなく、様々な新たなブロックチェーンの取組がなされる見込みです。EYは民間での取組だけでなく、官民を繋ぐ架け橋としてブロックチェーンの発展に貢献していきます」

 

WHTソリューションと本プロジェクトに関するさらに詳しい情報は、下記のサイトをご覧ください。
TaxGrid™

本プロジェクトの報告書の全文は、こちらでご覧いただけます。

※本ニュースリリースは、2021年7月28日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版ニュースリリース:
EY professionals, government and industry representatives complete a blockchain project to tackle global tax challenge

EYについて

EY  |  Building a better working world
EYは、「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」をパーパスとしています。クライアント、人々、そして社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼の構築に貢献します。
150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。
アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。
本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したものです。同社は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。

EYのコンサルティングサービスについて

EYのコンサルティングサービスは、人、テクノロジー、イノベーションの力でビジネスを変革し、より良い社会を構築していきます。私たちは、変革、すなわちトランスフォーメーションの領域で世界トップクラスのコンサルタントになることを目指しています。7万人を超えるEYのコンサルタントは、その多様性とスキルを生かして、人を中心に据え(humans@center)、迅速にテクノロジーを実用化し(technology@speed)、大規模にイノベーションを推進し(innovation@scale)、クライアントのトランスフォーメーションを支援します。これらの変革を推進することにより、人、クライアント、社会にとっての長期的価値を創造していきます。詳しくはey.com/ja_jp/consultingをご覧ください。

EY税理士法人について

EY税理士法人は、EYメンバーファームです。税務コンプライアンス、クロスボーダー取引、M&A、組織再編や移転価格などにおける豊富な実績を持つ税務の専門家集団です。グローバルネットワークを駆使して、各国税務機関や規則改正の最新動向を把握し、変化する企業のビジネスニーズに合わせて税務の最適化と税務リスクの低減を支援することで、より良い社会の構築に貢献します。詳しくは、ey.com/ja_jp/people/ey-taxをご覧ください。

本件に関するお問い合わせ

EY Japan BMC  (Brand, Marketing and Communications)

報道関係者の皆さま:TEL. 03 3503 1037

報道以外について:TEL. 03 3503 1100(大代表)