今後さらに、スポーツの経済的・社会的価値を最大化するためには、自治体のスポーツイベントの誘致、スタジアムやアリーナ建設など、スポーツに関する取り組みにおいて、その社会的目的・意義を初期段階で設計し、ステークホルダーを効果的に巻き込むことが重要であることが改めて示されました。例えば、水戸市民のイベント認知度が15%程度向上していた場合、社会的効果は4千100万円増加し、イベントを通じてヘルスリテラシー(例:自身の健康に関して関心を持った)を高めた人が20%増加した場合、社会的価値は1千万円創出されたと試算されます。これら財務諸表に現れない非財務的価値の可視化により、政策立案へのフィードバックに活用されることが期待されます。
EY Japanは、「バスケで日本を元気に!」を掲げるB.LEAGUEとサポーティングカンパニー契約を締結し、クラブ、地域コミュニティ、地方自治体、国と連携して、地域社会の経済循環を促し社会課題解決に向けた取り組みを協働しています。本調査は、B.LEAGUEとの協業の一環として、3年ぶりに開催されたオールスターゲームにより、スポーツが地域やステークホルダーにもたらす経済的・社会的価値の測定・分析を行うものです。
B.LEAGUE チェアマン 島田 慎二氏のコメント:
「地域創生施策の価値は『経済的価値』『都市プロモーション価値』『ステークホルダーへの社会的価値』に大別されます。『B.LEAGUE ALL-STAR GAME』は、これらの価値の最大化に向けて新しい取り組みに挑戦し続けております。一方、これまでそれらの価値は『抽象的』であり、「関係者の満足に終始」し、『1つの恒例行事になれば十分』という認識にとどまっているのが現状です。すなわち、『価値の見える化』『PDCA』『選択と集中』が不十分ということです。B.LEAGUEはEY Japanの皆さまと、地域創生施策の『価値の可視化』『課題の明確化』『比較可能なものさし策定』に取り組みました。今回の取り組みが『B.LEAGUE ALL-STAR GAME』のみならず、Bクラブのようなプロスポーツ、他イベント関係者の方々の重要な意思決定において、お役に立つことができれば幸いです。B.LEAGUEはこれからもEY Japanの皆さまと地域創生施策のさらなる価値向上に挑んでまいります」
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
公共・社会インフラセクター スポーツDXリーダー アソシエートパートナー 岡田 明のコメント:
「『スポーツが持つ力』はある種感覚的であり体現された事象において実感できるものでもあります。地域社会の活性化や課題の解決、そして文化の形成にスポーツならびにスポーツイベントがどのような役割を果たすことができるのか。EY Japanは新たな指標の1つとして『ソーシャルKPI』のアプローチに取り組んでいます。『バスケで日本を元気に』を掲げているB.LEAGUEさまとの今回の取り組みは、地域創生の触媒として、またステークホルダー間の共通理解として機能するスポーツや、その活用方法の解像度を高めることができました。地域創生にスポーツの価値をいかに組み込み、デザインしていくのか。EY JapanはB.LEAGUEならびに関連ステークホルダーの皆さまとともに、笑顔あふれる社会の実現に取り組んでまいります」
EY Japanは、本メソッドの活用を通じて、スポーツが持つ多面的な社会的効果を明らかにし、スポーツを通じた社会課題の解決に向けて、スポーツ分野における「人づくり」「コトづくり」「場づくり」「ルールづくり」の促進と、ステークホルダーによる共創や持続的なエコシステムの構築を目指します。