- 自動車購入者の4分の1(25%)がオンラインでの購入を検討しており、2021年の18%から増加
- 販売店からの購買意欲も、2021年の54%から61%に増加
- 「EV懐疑派」を納得させるには、引き続き販売店が重要
自動車購入者はオンラインで購入を済ませる可能性がこれまで以上に高まっており、回答者の25%が自動車メーカーまたは第三者のウエブサイトからの購入を検討しています。同時に、販売店での購入の希望者は61%に上昇し、残りの調査対象者は未定と回答しました。
20カ国15,000人の消費者を対象に調査した最新のEY Mobility Consumer Index(MCI) によると、先行販売や車両の調査のためのオンラインツールの人気は引き続き高まっており、回答者の87%が購入候補の車両に関する情報収集にオンラインツールを使用していると回答しています。しかし、販売店は依然として購入の意思決定プロセスにおいて重要な部分を占めています。66%が販売店で実際に試乗したいと回答し、販売店で購入を完了したいという回答者も61%に上りました。この数字は2021年の54%から着実に増加しています。
グローバル・アドバンスト・マニュファクチャリング・アンド・モビリティリーダーのRandy Millerは次のように述べています。
「人々が車を購入する方法が変化していることはしばらく前から認識していましたが、過去2年間でオンラインでの購入を好む傾向が急増していることもそれを裏付けています。しかし、自動車購入プロセスのデジタル化が進んでいるにもかかわらず、販売店の役割は大多数の消費者にとって依然として重要です。人々は引き続き、購入プロセスの一環として、人との交流や、車両を実際に自分の目で確かめることを望んでいます。彼らはタイヤを蹴ったり、買おうとしている車両に試乗したうえで、人とアイコンタクトを取りながら握手をして車のカギを受け取りたいのです。
販売店が消滅するのではないかと多くの議論がありましたが、その終焉を耳にするのはまだまだ先のようです。実際、私たちが目の当たりにしているのは、ハイブリッドアプローチへの移行です。購入者は、オンラインツールを使って欲しい車を絞り込み、その購入を取り巻く状況を理解したいと考えていますが、実際に車に触れ、試乗し、書類を整理し、最終的に購入する際には、販売店を介する方法が好まれています」
EV懐疑派を納得させる
また、電気自動車(EV)への移行には、販売店が不可欠であることも示されました。「EV懐疑派」とされる人々は、情報収集の段階であっても販売店を積極的に活用しており、回答者の67%(全体の平均50%)が販売店の営業担当者を通じてリサーチを行うと答え、75%(全体の平均66%)が購入前に実際に試乗したいと回答しています。
さらにRandy Millerは次のように述べています。「一部の購入者にとって、従来のガソリンエンジン車から電気自動車への移行は大きな決断です。これには走行距離に関する懸念、充電の問題、そしてコストまで、いくつかの理由があることがEYのデータによりわかっています。これらの懸念を和らげるためには教育が不可欠です。そして、EV懐疑派のほとんどが販売店の利用を好むことを考えると、まず販売店へのEVに関する教育が最も必要とされています。販売店で直接コミュニケーションを取ることによって、営業担当者は懐疑派の人々の個々の懸念や好みに合わせ、セールス方法を調整できます。メーカーがこの市場を獲得し、EVの購入につなげるために、販売店は今後もすべての購入プロセスに一貫して欠かせない存在であり続けるでしょう」
EY Japan 製造業・モビリティリーダー EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー 山田 マーク裕二郎のコメント:
「デジタル化が進み、オンラインでの購入手続きは容易になっていますが、ディーラーの存在は引き続き重要です。ディーラーはサービスやアフターケアなど、顧客にとって付加価値を提供する役割を果たしており、特に日本では伝統的なディーラーへの信頼は根強いです。
また、EVへの移行に関しては、充電インフラの整備や拡充、航続距離などの課題があります。自動車の購入手段における好みは個々の顧客によって異なりますが、環境への配慮や技術の進化などが購入の決定要因となることがあります。」