ニュースリリース
2026年8月3日  | 東京, Japan

EY-Parthenon、2026年株主提案の動向を分析

株主還元だけでなく、個別事業評価も新たな論点に

プレス窓口

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 近藤 聡、以下EYSC)で戦略・M&Aトランザクションアドバイザリー業務を行うEY-Parthenon(EYパルテノン)は、2026年上半期(1月~6月)に開催された株主総会における株主提案の動向を分析し、結果を発表しました。

近年、アクティビストによる企業への要求は、株主還元の拡充だけでなく、事業ポートフォリオの見直しや個別事業のパフォーマンス向上へと広がりを見せています。EYSCでは、2026年上半期の株主提案の特徴を分析するとともに、企業価値向上に向けて企業に求められる対応や、株主との対話の変化と、説明責任のあり方について考察しました。
 

主な分析結果

1.株主提案の対象企業数は過去最多*を記録、アクティビストによる提案比率も上昇

2026年上半期の株主提案対象企業数は132社となり、過去最多となりました。また、アクティビストによる株主提案は220議案となり、全体に占める割合は前年の41.2%から46.9%へ上昇しました。提案対象企業数も67社となり、2024年(55社)、2025年(63社)から増加しています。
*1〜6月総会、ES提案を除く
 

図1 株主提案の対象企業数・議案数 Source: 各社招集通知、株主提案者HPよりEY作成
図1 株主提案の対象企業数・議案数

Source: 各社招集通知、株主提案者HPよりEY作成

2.アクティビストの提案は「株主還元要求」から「個別事業を踏まえた提案」へ広がる

アクティビストによる株主提案では、「資本政策」に関する提案が2年連続で減少する一方、「役員の選解任」を求める提案が増加しました。この背景には、株主還元を求める活動が株主提案だけでなく、企業とのエンゲージメントを通じた対話型のアプローチへ広がっていることがあると考えられます。

図2 アクティビストによる株主提案の議案タイプ別分類 (1~6月総会:ES提案を除く) Source: 各社招集通知、機関投資家ヒアリングよりEY作成
図2 アクティビストによる株主提案の議案タイプ別分類
(1~6月総会:ES提案を除く)

Source: 各社招集通知、機関投資家ヒアリングよりEY作成

3.役員選解任提案では、個別事業のパフォーマンス評価が主要な論点に

役員の選解任を求める株主提案を受けた25社のうち、半数を超える13社では、提案理由として個別事業のパフォーマンスに関する内容が含まれていました。従来の資本効率改善や株主還元といった全社的なテーマだけでなく、低収益事業の改善、投資判断の妥当性、事業ポートフォリオの見直しなど、個別事業レベルの経営課題に踏み込んだ提案が増えています。

4.株主還元水準が市場中央値を上回る企業も株主提案の対象に

アクティビストから株主提案を受けた企業の62%は、市場中央値を上回る株主還元を実施していました。株主還元の拡充だけでは、必ずしも株主提案の回避につながらない実態がうかがえます。株主提案の焦点は単なる株主還元の拡充ではなく、資本配分や事業戦略の妥当性へと広がっており、企業価値向上に向けた説明責任が一層重要になっています。

5.株主提案への支持が拡大、20%超の賛成率を獲得した企業割合は約7割に

アクティビストによる株主提案議案のうち、20%以上の賛成率を獲得した提案が確認された企業(時価総額1,000億円以上)は24社となり、対象企業に占める割合は66.7%と前年の42.9%から大きく上昇しました。24社のうち約半数は新たに株主提案が確認された企業であり、企業価値向上やガバナンス強化を求める提案に対して、株主から一定の支持が集まる傾向が強まっています。
 

本分析を受けての考察

EYSCは、こうした動向を踏まえ、企業が市場から支持を得るためには、株主還元策だけでなく、事業戦略や事業ポートフォリオに関する説明力を高めることが求められていると分析しています。
アクティビストから株主提案を受けた企業の多くは、すでに一定水準の株主還元を実施しています。こうした状況は、資本市場が企業に求める評価軸が、株主還元から企業価値の持続的な向上へと広がっていることを示唆しています。企業には、低収益事業の位置づけや将来の成長戦略、資本配分方針を明確に示すとともに、それらの意思決定プロセスや投資規律についても市場との対話を通じて理解を得ることが重要になります。
また、アクティビストによる活動は、従来の株主提案中心の手法から、企業とのエンゲージメントを通じた対話型アプローチへと広がっています。こうした環境下では、平時から株主との建設的な対話を積み重ね、企業価値向上に向けた考え方を継続的に発信していくことが、これまで以上に重要になると考えられます。さらに、企業価値向上やガバナンス強化を求める提案に対して株主から一定の支持が集まる傾向が強まっており、企業にはその戦略や意思決定の妥当性について、客観的な検証を踏まえながら、従来以上に説明責任を果たすことが求められています。

EY-Parthenon ストラテジー ディレクター 笹岡 武史のコメント:
「2026年の株主提案をひもとくと、企業価値の源泉である事業成長と成長のための投資が問われる傾向が年々強まっています。この流れは、東京証券取引所や経済産業省が主導する『企業価値向上に資する成長投資』を軸としたガバナンス改革とも相まって、今後さらに加速していくものと考えられます。株式市場は、ファイナンスとストラテジーを一体で語ることを企業に求めています。今回の分析対象からは外れますが、株主提案以外の手段によって上場企業に変革を迫るケースも増えており、市場との対話と、市場視点を踏まえた経営が、これまで以上に求められていると言えます」

2026年株主提案の動向について

本分析の詳細および、クライアントの企業価値向上に向けた取り組みを支援する「戦略的株主エンゲージメント支援サービス」については、下記をご覧ください。

戦略的株主エンゲージメント支援


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