企業年金コンサルティング

企業年金コンサルティングでは、企業年金および退職金制度等の導入・運営を支援します。急速に変化する雇用環境に対応し、従来の新卒定年を前提とした企業年金や退職金制度を、新しい働き方に即した設計へと見直し、従業員のエンゲージメントを高めるご提案をいたします。また、既存の確定給付型年金制度の効率的な管理を支援し、企業の年金制度運営をサポートします。

企業年金コンサルティングとは

古くより退職金や企業年金は、企業がそこで働く従業員が豊かに老後を過ごせるよう、その報酬制度の一環として提供されてきました。

ところが事業環境の変化とともにわが国の雇用関係も大きな変化に見舞われ、「ジョブ型」などの人事制度を導入する企業が増えている一方、退職金や企業年金制度についてはいまだ当時のコンセプトのまま見直していないという企業も散見されます。

大企業の場合、従業員一人当たり平均2千万円になるとも言われる、非常に重要な退職金、企業年金制度。

EYの企業年金コンサルティングでは「あって当たり前」ではなく、従業員にとって本当の意味のある、エンゲージメント向上につながる制度の設計と運営をサポートいたします。

企業年金を取り巻く環境変化への対応

日本の雇用観は急速に変化しています。これまでの新卒一括採用や終身雇用を前提とした雇用観が徐々に崩れ、若年層に限られていた転職市場が中高年にも拡大しています。特にテクノロジー分野などの希少なスキルを持つ人材や新卒採用は「売り手市場」が続いています。

一方、多くの企業で運営されている企業年金制度は、従来の雇用モデルを前提として設計されているため、現行の雇用環境では制度が実態に合わなくなりつつあります。例えば、従来は60歳定年で退職する前提で設計されていた企業年金制度ですが、高齢者雇用安定法の改正や人手不足により、60歳を超えて働くことが珍しくなくなっています。「ジョブ型」のような個々人が自身の人生設計の責任を持つ世界において、「いつリタイアするか」は定年という定数ではなく、変数であると言えます。

基本方針策定と新制度設計案

したがって、企業年金の設計も「いつリタイアするか」が変数である前提に基づくべきです。

EYの企業年金コンサルティングでは、クライアント企業の競争優位性と人事・報酬哲学に基づき、現行の退職給付制度との親和性を評価し、最適な退職給付制度の設計をサポートします。また、退職給付制度を新規導入する企業にも、立案から運営までご支援いたします。必要に応じて、EY税理士法人と連携し、税務面からの専門的な助言を提供します。

M&Aの効果を最大化する企業年金制度設計

企業年金が検討されるのは、人事の考え方の変化だけではありません。M&Aが企業の成長戦略の一環として重要なピースとなる中、事業買収時には売り手の企業年金が大きなイシューとなることがあります。買収時のデューデリジェンス、スタンドアローンイシューへの対応、制度分離と価格調整、買収後の制度統合によるシナジー創出などが含まれます。

EYの企業年金コンサルティングでは、EYのM&Aアドバイザリー部門と緊密に連携し、クロスボーダー年金デューデリジェンスからプレ・クロージング支援、ポスト・マージャー・インテグレーションといった、ディールのスタートから完結までシームレスな支援を提供します。

株主価値向上につなげる企業年金戦略

確定給付型年金制度の場合、そのリスクが財務的な観点から問題となることがあります。企業は社外の信託に拠出し、年金資産を運用して将来の給付に充てますが、適度な資産運用リスクを取ることで掛け金を抑えることが一般的でした。しかし、財務的な視点から見ると、これは株主価値を高めるリスクテイクであるかを問う必要があります。

投資家は企業の本業における専門性を評価し、その領域でのリスクテイカーとして期待しています。しかし、本業でもなければ専門性も限定的な株式市場等での年金資産運用でのリスクテイクを正当化できるような、納得感のある説明ができるでしょうか。年金資産運用でのリスクテイクを正当化する説明が難しい場合、資産運用のリスクを抑えた運用を選択することも考えられますが、年金のバランスシートを連結ベースで考えると、ROE(自己資本利益率)を毀損(きそん)する戦略ともなり得ます。そのため、確定給付型年金制度自体を終了・清算するアプローチも考えられます。それにより、母体企業のリスクバジェットを最適化することで株主価値の向上へとつなげます。

EYでは、国内外の確定給付型年金制度のリスクを俯瞰(ふかん)し、段階的に制度を終了へと導くコンサルティングを提供します。

EYの企業年金コンサルティング

時代の変化と企業のニーズに沿った企業年金・退職金制度の設計と運営を、経験豊富なコンサルタントが幅広くご支援いたします。

① 退職給付制度の導入・改定

  • 退職金・企業年金 新制度設計支援
  • 退職金・企業年金 制度改定支援
  • 退職給付制度に関連する企業・従業員の課税関係の整理支援、関連規程案への税務助言
  • 新制度導入支援:
    • 労使交渉支援
    • 退職金規定類作成支援
  • 導入後運営支援:
    • フィナンシャルウェルネス向上支援
    • 確定拠出年金運用商品パフォーマンスレビュー

② クロスボーダーM&Aの際の年金イシューへの対応

  • クロスボーダー年金デューデリジェンス(年金債務デューデリジェンス、ターゲットとの価格交渉を含む)
  • プレ・クロージングまでの制度移行支援
  • TSA(Transition Service Agreement)解消支援
  • 年金に係る価格調整支援
  • 年金バイアウト
  • ポスト・マージャー・インテグレーション

③ 国内外の年金債務整理

  • (国内)確定給付型年金制度清算、確定拠出年金移行
  • (国外)確定給付型年金制度清算、年金バイアウト
  • 代替制度設計と移行支援



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ニュースリリース

EY Japan、新しい雇用モデルに適した企業年金・退職金制度の導入を支援する「企業年金コンサルティングサービス」を開始

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 近藤 聡)は、2025年7月1日より、従来の新卒定年を前提とした企業年金や退職金制度を、新しい働き方に即した設計へと見直す企業年金コンサルティングサービスを開始します。

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