EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY-Parthenonは、EYにおけるブランドの一つであり、このブランドのもとで世界中の多くのEYメンバーファームが戦略コンサルティングサービスを提供しています。
「ウェルビーイング」は、いまや個人の幸福を超え、組織の持続的な競争力を左右するテーマとして注目されています。多くの企業や自治体がその重要性を認識し、経営や事業に取り入れようとしていますが、抽象的な概念であるが故に、「どのように実践すればよいのか」「経営課題とどう結びつけるのか」といった声も少なくありません。EYは、ウェルビーイングを経営の言葉に変え、組織と事業の中に戦略的に実装する支援を提供します。
一般に「ウェルビーイング」は、人が心身ともに健やかに、社会の中でよりよく生きる状態を指す概念として認知されています。これまで主に個人の幸福や健康を中心に語られてきましたが、いまや組織や社会の持続的成長とどう結びつけるかが問われています。
EYは、この問いに対し、ウェルビーイングを単なる理念や人事施策にとどめず、経営における「戦略的な投資領域」として捉えます。
その上で、EYが定義するウェルビーイング経営とは、ウェルビーイングを経営の軸の一つとして扱い、「ウェルな状態※」に向けた戦略的な投資と、そのマネジメントを行っていくことです。
ここで言う「経営の軸の一つとして扱う」とは、例えば次のようなことを指します。
| レベル | 取り組みの方向性 |
| パーパス・ビジョン・戦略 | 「どんな人・組織・社会のウェルビーイングを大切にするのか」を明確にし、中長期の方向性や重点テーマに織り込む。 |
| 投資・制度設計 | 働き方・マネジメント・事業/サービスへの投資判断に、あらかじめウェルビーイングの観点を組み込む。 |
| マネジメント | 財務・事業指標とあわせて、ウェルビーイング指標やサーベイ結果を継続的にモニタリングし、組織・職場などの状態を改善するサイクルを回し続ける。 |
※人・組織・顧客・社会がそれぞれの目的に向かって、主観的にも健全で幸福な状態にあり、信頼・安全・自己決定といった基盤が保たれている状態。また、それが環境変化やプレッシャーにより一時的に損なわれても、自ら修復し再生できる力を備えている状態。
そもそも、企業や自治体が「ウェルビーイングに取り組む」――あるいは一歩進めて「投資する」とは、どういうことでしょうか。
それは、従業員・職員の働く環境を整えることかもしれませんし、事業や行政サービスを通じて社会課題の解決に挑むことかもしれません。
当然ながら、組織によって課題も、優先すべき施策も異なります。
だからこそ、まず「なぜウェルビーイングに注目するのか」を明確にすること。そして、「何を解決し、どこに投資するのか」を定めること。この2つが、ウェルビーイング経営の第一歩になります。
ウェルビーイングへの投資は、いくつかの軸で整理することができます。
ここでは、特に理解しやすい2つの観点を紹介します。
1つ目の軸は「ウェルビーイング投資の向け先」です。
投資が主に向けられている先が、従業員や組織といった内部なのか、それとも顧客や地域・社会といった外部なのか。
2つ目の軸は「ウェルビーイングの位置づけ」です。
健康や安全、信頼といった基盤的価値(Foundation)として位置づけるのか、あるいは価値創出や変革につながる差別化要素(Differentiator)として位置づけるのか。
こうした軸を掛け合わせることで、ウェルビーイング経営における投資領域を、4つの象限として捉えることができます。
図:ウェルビーイング経営の4象限整理
このフレームは、4象限すべてを満たすことを目的とするものではありません。
ウェルビーイング経営の多様な在り方を整理し、組織にとって本質的に重要な領域を見極めるための思考の枠組みとして活用することを意図しています。
ウェルビーイング経営の実践には、意義・目的を定義し、投資を設計し、マネジメントを通じて定着させる一連のプロセスが欠かせません。
EYは、このプロセスを 「Define / Invest / Manage」 の3つのステップで支援します。
ウェルビーイング経営を「戦略的投資」と捉えたとき、その具体的なリターンは何か? それは、「持続可能性(サステナビリティ)」と「価値創造(イノベーション)」という2つの言葉に集約されます。
現代は、BANI——すなわち、システムが「Brittle(脆弱<ぜいじゃく>性)」を露呈し、人々が「Anxious(不安)」を抱え、物事が「Non-linear(非線形)」に変化し、全体像が「Incomprehensible(理解不能)」となる時代です。このような環境下では、組織のサステナビリティが常に試され続けています。
外部環境の変化に対し、組織が健全性を維持・修復できる力(レジリエンス)の中核は「従業員・職員がウェルであること」です。もし組織が「ウェルではない状態」に陥ると、このレジリエンスの基盤が崩れ、急激な機能不全や事業継続性の喪失といった重大リスクが顕在化します。
「ウェルな状態」への投資は、こうしたリスクを個人の「意識」や「モラル」の問題として片付けず、「構造」として起こりにくくするためのサステナビリティ投資だと言えます。
サステナビリティが、組織の存続に関わる「守り」の経営リターンだとすれば、イノベーションは、未来の価値を創出する「攻め」の経営リターンです。
イノベーションは、指示と命令に基づくオペレーションの延長や「頑張れ」といった精神論からは生まれません。その創出には、ウェルビーイングと深く関連する3つの条件が必要です。
「ウェルな状態」(健全に機能し、信頼・安全・自己決定といった基盤が保たれている状態)への投資は、従業員一人ひとりの創造性を解き放ち、こうしたイノベーションの土壌を形成する、「攻め」の経営リターンそのものであると言えます。
ウェルビーイング経営が注目を集める一方で、その本質を捉えきれず、表層的な施策や理念的メッセージにとどまってしまうケースも少なくありません。
典型的な誤解と、それを乗り越えるための視点をご紹介します。
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