EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
石根 友理恵
株式会社SEAM 代表取締役・CEO
Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2024年4月10日号に掲載された記事をご紹介します。
「失敗してもいい。明日死んでも後悔しない人生を―」これは、父が急に亡くなった際、私自身が立てた人生のスタンスです。私の父の死の原因の1つは、アルコール依存症でした。幼い頃からアルコールの負の部分を目の当たりにしていた一方で、成人してお酒を嗜むようになった私にとって、お酒は人と人をつなげ、癒やしをくれる幸せのアイテムでした。
「お酒の幸せな部分を享受しながら、より安心安全に楽しめる方法はなんだろう」そのソリューションの1つとして、低アルコール飲料事業をはじめました。
とはいっても酒類製造の知識や経験がまったくない状態からのスタート。資金と仲間集め、日本各地の酒蔵をめぐりながらパートナー探し、まずは見様見真似の商品開発…すべてが手探り状態、ただあったのは想いと決意だけでした。いくつかの酒蔵の方からは、「お酒は大手が強くて新参者は売れない。やめたほうがいいよ」という助言をいただくことも少なくありませんでした。紆余曲折ありながらクラフトカクテルブランド「koyoi」をリリース。現在は30~40代の女性を中心にご購入いただいており、低アルコールというトレンドのなかでの新しい芽として大手メーカーとコラボをしたり、1つずつですが、創業時に描いていた叶えるリストを実現しています。
低アルコール事業を立ち上げた際、娘は3歳で、二人暮らし。娘とずっと一緒にいて成長を見守りたい気持ちと、仕事にかかる物理的な時間の問題で、すごく葛藤していた時期でもありました。仕事と子育てどちらも両立したいのにできない自分がなんて情けないんだと、社員にも娘にも申し訳ない気持ちが続いていました。そんななか、ある時娘が「ママ、今日は母の日だからお小遣いでママの大好きなお酒をプレゼントしたい」と言ってくれました。スーパーへ行き、私の好きな商品と娘のジュースを買って、二人で乾杯しながら「ママお仕事頑張ってね! 応援してる!」という娘の言葉に、その葛藤が吹っ切れました。それからは “両立“はなく、”共存”しようと決めています。どちらも私にとって大事な存在、100点ではないけれどメリハリをつめながらどちらも大事にする、という考え方です。そして、私は自分が楽しく仕事をする背中を子どもに見せる、ということを心がけています。
私のキャリアは、順調に階段を登っていくというキレイなものではなく、ITメガベンチャーからスタートし、数人のスタートアップ立上げ、フリーランスへの挑戦、臨月での会社設立、そして未経験の酒業界という、紆余曲折だらけの道です。そのなかではもちろん努力だけでは上手くいかないことも、自分の力ではどうにもできないことも多々ありました。ただ、努力し行動しベストを尽くすことで、後悔ない人生を過ごせると思っています。
今後もたくさんの失敗をしながら、自分の信じた道をジグザグ進み、山頂へたどり着いていきます。
石根 友理恵(いしね・ゆりえ)
株式会社SEAM 代表取締役・CEO
略歴
広島県出身。神戸大学を卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。その後、スタートアップの事業立上げを経て、株式会社SEAMを設立。父の死をきっかけに、「ココロを満たしたカラダに優しいアルコール文化を創る」というミッションをかかげ、低アルコール飲料事業を展開。自社ブランド「koyoi」、「AWANOHI」を運営、メーカーとのコラボブランド立上げを行う。