タイ、CRSにおける追加の非報告対象者を規定 他

タイJBS ニュースアップデート 2024年4月

本アラートでは以下の内容を取り上げます。

  • CRSにおける追加の非報告対象者を規定
  • CRSに基づく報告対象となる金融口座の追加の報告者を規定
  • 新築居住用建物の建設費に係る個人所得税控除
  • 会社が無記名株式を発行している場合における電子メディアによる株主総会招集通知の発行
  • 株主が会社の吸収合併に反対し、株価について意見が一致しない場合の鑑定人の選任
     

CRSにおける追加の非報告対象者を規定

財務省は2024年4月2日、税務目的の政府間協定を順守するための情報交換に関する仏暦2566年緊急勅令に基づき、非報告対象者に関する告示を発出しました。この告示では、共通報告基準(Common Reporting Standard、以下CRS)における追加の非報告対象者が以下のように指定されています。

  • 上場会社、及び
  • 上場会社の関連当事者(法人の議決権及び価額の50%超を直接又は間接に保有する者)

2023年8月15日に公布された省令に基づいて規定された従来の非報告対象者の定義では、上場会社及びその関連当事者は除外されないため、この法令は、そのような企業を報告対象者に分類することの除外を要求するグローバルスタンダードに合わせるために制定されました。

施行日:2023年8月16日
出所:税務目的の政府間協定を順守するための情報交換に関する仏暦2566年緊急勅令に基づく非報告対象者に関する財務省告示
 

CRSに基づく報告対象となる金融口座の追加の報告者を規定

財務省は2024年4月2日、税務目的の政府間協定を順守するための情報交換に関する仏暦2566年緊急勅令に基づく報告対象となる金融口座の報告者に関する財務省告示を発出しました。この告示では、共通報告基準に基づき、歳入局長官への報告対象となる金融口座の追加報告者が以下のように規定されています。

  • 保管機関
  • 預金機関
  • 投資事業体
  • 生命保険事業体

上記の事業体は、タイ国の法律に基づいて設立された法人又はタイ国に所在地を有する外国法人支店でなければなりません。

施行日:2024年3月30日
出所:税務目的の政府間協定を順守するための情報交換に関する仏暦2566年緊急勅令に基づく報告対象となる金融口座の報告者に関する財務省告示
 

新築居住用建物の建設費に係る個人所得税控除

2024年4月30日、歳入法に基づき公布された財務省令第393号(仏暦2567年)が官報に掲載されました。この規則では、2024年4月9日から2025年12月31日までの期間に実際に支払われる新築居住用建物の建設費100万バーツにつき1万バーツの金額で、合計10万バーツを超えない範囲の個人所得税控除が認められます。要件は以下のとおり規定されています。

  • 請負業者はVAT事業者でなければならない。
  • 個人納税者は、普通パートナーシップ又は法人格を有しない社団であってはならない。
  • 建設費控除は、新築住宅の建設が完了する課税年度に控除される。
  • 2024年4月9日から25年12月31日までの期間に、1棟を超えない新築住宅について、請負契約が締結され、建設が開始されなければならない。
  • 請負契約書に係る印紙税は、電子印紙で納付しなければならない。
  • 請負業者は個人納税者にタックスインボイスを発行しなければならない。

施行日:2024年4月10日
出所:歳入法に基づき公布された財務省令第393号(仏暦2567年)
 

会社が無記名株式を発行している場合における電子メディアによる株主総会招集通知の発行

2024年4月5日、会社が無記名株式を発行している場合における電子メディアによる株主総会招集通知の発行に関する仏暦2567年財務省令が官報に掲載されました。主要な基準及び手続は以下のとおりです。

  • 会社が無記名株式を発行している場合、会社は定時株主総会の招集通知を国内新聞に掲載する代わりに、電子メディアを通じて公告することができる。
  • 電子メディアを通じた総会の告知は、所有者が確認できる一般にアクセス可能なウェブサイトにおいて実施されなければならない。商務省事業開発局長官はウェブサイトを指定することができるが、差別なくアクセスの利便性及び使いやすさを提供しなければならない。
  • 株主総会を告知する文言又は文書には、会場、日時及び議事内容を明記しなければならない。特別決議を実施するために臨時株主総会を招集する場合は、その本文に議決すべき決議案を明記しなければならない。
  • 電子メディアを通じた定時総会招集通知の公告においては、電子メディアに公告を掲載した日から総会当日まで、公告の文言又は文書を表示しなければならない。

施行日:2024年4月6日
出所:会社が無記名株式を発行している場合における電子メディアによる株主総会招集通知の発行に関する仏暦2567年財務省令
 

株主が会社の吸収合併に反対し、株価について意見が一致しない場合の鑑定人の選任

2024年4月5日、株主が吸収合併に反対し株価について意見が一致しない場合の鑑定人の選任に関する仏暦2567年財務省令が官報に掲載されました。詳細は以下のとおりとなっています。

用語の定義

  • 「株式の買手」とは、会社が吸収合併の特別決議をした場合に、反対する株主から株式を買い取るよう手配する者を指す。
  • 「反対株主」とは、吸収合併を承認するために開催される株主総会に出席し、株主総会で吸収合併の特別決議が可決される際に吸収合併に反対票を投じた株主を指す。
  • 「鑑定人」とは、反対株主が所有する株式の売買価格を評価し、決定する者を指す。

株式の買手及び反対株主が株式の売却価格について合意できない場合、会社は、反対株主の所有する株式の売却価格を査定し、決定する鑑定人を任命する責任を負います。鑑定人は独立した立場でなければならず、評価対象株式、株式の買手及び反対株主と直接的又は間接的を問わず利害の対立があってはなりません。

鑑定人の資格は以下のように定められています。

  1. 会計職業法に基づく公認会計士
  2. 不動産鑑定分野において裁判所事務局に登録された裁定人
  3. 鑑定分野において裁判所事務局に登録された、裁判所が選任した専門家
  4. 証券取引委員会事務局が承認した鑑定会社又は個人
  5. 証券取引委員会事務局が承認したファイナンシャル・アドバイザー又はコンプライアンス・オフィサー
  6. タイ独立鑑定協会及びタイ不動産鑑定人協会に登録された鑑定人

施行日:2024年4月6日
出所:株主が吸収合併に反対し株価について意見が一致しない場合の鑑定人の選任に関する仏暦2567年(2024年)財務省令


このニュースアップデートの目的は提案事項の理解を容易にすることであり、事前に専門家に相談せず、税務計画のためだけに使用しないようご留意ください。



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