タイ、特別開発地域の事業者に対する税制措置の延長 他

 

タイJBS ニュースアップデート 2024年6月

本アラートでは以下の内容を取り上げます。

  • 特別開発地域の事業者に対する税制措置の延長
  • 新築居住用建物の建設費に係る個人所得税控除に関する補足的規則
  • 登録資本金が500万バーツを超える会社の必要書類の改定

特別開発地域の事業者に対する税制措置の延長

2024年6月5日、南部国境県の特別開発地域、ヤラー県、パタニー県、ナラティワート県、サトゥン県及びソンクラー県の特定地区の経済促進措置を2024年1月1日から26年12月31日まで延長する5つの勅令が、官報にて公布されました。従前の措置は2023年12月31日に終了しました。延長される税制措置は、特別開発地域(Special Development Zones:SDZ)における物品の販売及びサービスの提供に適用されます。主なポイントは次表のとおりです。

1)事業運営を支援する税制措置

税金の種類

検討事項

個人所得税

  • SDZに所在する個人事業者に対する個人所得税率は、2024年から26年までに発生した歳入法第40条第7項及び第8項に基づく事業所得について0.1%まで引き下げられる
  • 個人の納税者は、個人所得税計算目的でその他の所得から適格所得を除外することを選択できる

法人所得税

  • 2024年から26年までの会計期間において、SDZに所在する事業者に係る法人所得税率は、3%まで引き下げられる
  • 法人事業者については、仏暦2554年勅令第530号第7条に基づく中小企業免税は適用されない
  • 法人事業者は、法人所得税目的において、SDZ内及びSDZ外で発生した損益をそれぞれ計算する必要がある

源泉徴収税

  • SDZにおける不動産の売却から生じる個人の課税対象所得に係る源泉徴収税率は、2024年から26年までの期間、0.1%に引き下げられる

特定事業税

  • SDZにおける営利目的の不動産の売却から生じる所得に係る特定事業税率は2024年1月1日から26年12月31日までの期間、0.1%に引き下げられる

施行日:2024年1月1日から26年12月31日まで
出所:
1)仏暦2567年勅令第783号
2)特別開発地域における事業に係る減税の基準、方法及び要件に関する所得税に関する歳入局長官告示(第446号)
 

2)SDZにおける有能な従業員及び投資を奨励するための税制措置

税金の種類

検討事項

個人所得税

  • SDZ外に居住する有能な従業員の個人所得税に関し、SDZに所在する雇用主が支払う賃金から生じる所得に係る税率が3%に引き下げられる

法人所得税

  • SDZ外に所在する会社又は法人格を有するパートナーシップは、SDZ内における事業に使われる場合に、SDZ内に所在する会社又は法人格を有するパートナーシップへの投資のための支出、及びSDZに新規会社又は法人格を有するパートナーシップを設立するための支出の2倍を控除することが認められる

施行日:2024年1月1日から26年12月31日まで
出所:
1)仏暦2567年勅令第784号
2)特別開発地域における雇用及び会社又は法人格を有するパートナーシップへの投資に対する所得税減免の基準、方法及び要件に係る所得税に関する歳入局長官告示(第447号)


3)CCTVの設置を支援する税制措置

税金の種類

検討事項

個人所得税


法人所得税

  • 個人及び法人事業者は、2024年1月1日から26年12月31日までの税金費用としてCCTVの購入及び設置に実際にかかった費用の2倍を申告することができる

施行日:2024年1月1日から26年12月31日まで
出所:仏暦2567年勅令第785号
 

4)投資を奨励するための税制措置

税金の種類

検討事項

法人所得税

  • SDZにおける事業に関連する設備に対する投資及びその拡張又は改良により発生した費用の2倍の控除が、法人所得税目的で認められる(修繕・保守費用を除く)

施行日:2024年1月1日から26年12月31日まで
出所:仏暦2567年勅令第786号
 

5)スタートアップ事業者を奨励するための税制措置

税金の種類

検討事項

法人所得税

  • 対象産業に属しており、かつSDZに所在する、2024年1月1日から26年12月31日までに設立されたスタートアップ事業者は、5会計期間にわたって法人所得税を免除される

施行日:2024年1月1日から26年12月31日まで
出所:
1)仏暦2567年勅令第787号
2)特別開発地域における対象業種の会社又は法人格を有するパートナーシップへの投資に対する所得税免除の基準、方法及び要件に係る所得税に関する歳入局長官告示(第448号)
 

新築居住用建物の建設費に係る個人所得税控除に関する補足的規則

2024年6月24日、新築居住用建物の建設費に係る個人所得税控除を申告するための仏暦2567年財務省令第393号に基づく基準、方法及び要件を規定する所得税に関する歳入局長官告示(第444号)が公布されました。2024年4月9日から25年12月31日までの期間に実際に支払われた新築居住用建物の建設費100万バーツにつき1万バーツの控除が設定されており、合計10万バーツが上限となります。詳細は以下のように要約されます。

  • 請負業者は、歳入法第91条の2第6項に基づく特定事業税が課される営利目的の不動産販売業に従事していてはならない。工事契約及び土地売買契約は別々に締結されなければならない。
  • 新築居住用建物の建設(増築、改築、修繕・保守及び解体を除く)に限り、税控除が認められる。
  • 複数の個人が共同で工事契約を締結する場合、免税措置は個人納税者数に応じて等分される。
  • 夫婦それぞれに所得があり、共同で工事契約を締結する場合

(a)夫婦別々に個人所得税申告書を提出する場合、各人が実際に支払った100万バーツにつき1万バーツの所得税免除を受けるが、免除の合計は10万バーツが上限となる。
(b)夫婦共同で個人所得税申告書を提出する場合、上記所得税免除に加え、どちらか一方の配偶者分につき追加免除、すなわち実際に支払った100万バーツにつき1万バーツの所得税免除を受けるが、免除の合計は10万バーツが上限となる。

  • 納税者は、(1)タックスインボイス、(2)工事契約書、及び(3)建設許可証又は建物管理法に基づく建設工事請負通知書を、税務調査官による調査のための証拠として用意しなければならない。
  • 建設費控除は、新築居住用建物の建設が完了した課税年度、すなわち工事契約書、建設許可証又は建設工事請負通知書に記載された完了日のうち最も遅い日が属する年度において控除される。

施行日:2024年4月9日
出所:新築居住用建物の建設費として支払われる所得に係る所得税免除の基準、方法及び要件を規定する所得税に関する歳入局長官告示(第445号)
 

登録資本金が500万バーツを超える会社の必要書類の改定

2024年5月23日、商務省事業開発局(Department of Business Development:DBD)は会社設立、増資、増資を伴う合併など、登録資本金が500万バーツを超える会社の登記に必要となる書類に関する命令を公布しました。この命令は、従前の命令No.1/2566に代わり、2024年7月1日に発効しました。

比較すると以下のとおりです。

取引株式払込の種類必要書類

 
従前の規則改定後の規則

i)法人設立登記
ii)増資を伴う合併(A+B=C)

現金

a)登記日

 


 
  • 会社の取締役が株式と引き換えに投資として金銭を受け取ったことを示す銀行の証明書
  • 会社の取締役が株式と引き換えに投資として金銭を受け取ったことを示す銀行の証明書
  • 株式の払込を受けることに関する権限を有する取締役からの確認書
  • 取締役全員が外国人であるため、又はタイ投資委員会、タイ工業団地公社などの投資奨励に関連する他の機関から投資奨励又は営業許可を得ているため、前述の書類を提出できない場合の説明文書

 

b)登記日から15日以内

 


 
  • 会社が株式と引き換えに投資として金銭を受け取ったことを示す銀行の証明書
  • 会社が株式と引き換えに投資として金銭を受け取ったことを示す銀行の証明書。説明文書が必要な場合のみ適用

 

財産

a)登記日

 


 
  • 財産の所有権を会社に譲渡する意思を示す所有者からの確認書
  • 財産の所有権を会社に譲渡する意思又は財産を賃貸する意思を示す所有者からの確認書
  • 登録を要する財産の所有権を証明する書類
  • 財産の詳細

 

b)登記日から90日以内

 


 
  • 不動産又は登録を要する財産:会社が当該財産を所有していることを証明する書類
  • その他の財産:当該財産の詳細及び価値を示したリスト
  •  不要
 労務登記日 

 
詳細無し
  • 株式と引き換えに労務を受け取る確認書
  • 労務に関連する書類(雇用契約書等)

i)増資
ii)増資を伴う吸収合併
(A+B=A or B)

現金

登記日

 

 
  • 会社が増資分の金銭を受け取ったことを示す銀行の証明書
  • 会社が増資分の金銭を受け取ったことを示す銀行の証明書
  • 会社からの株式支払受領の確認書
 

財産

  • 会社からの株式払込受領の説明文書
  • 不動産又は登録を要する財産:会社が当該財産を所有していることを証明する文書
  • その他の財産
    当該財産の詳細及び価値を示したリスト
  • 会社からの株式払込受領の確認書
  • 登録を要する財産
    a)譲渡:
    会社が当該財産を所有していることを証明する文書。又は
    b)賃貸
    賃貸契約書及び財産の所有権を示す証拠書類
  • 登録を要さない財産
    a)譲渡:
    当該財産の詳細を示したリスト
    b)賃貸:
    賃貸契約書
 

労務

詳細無し

  • 株式と引き換えに労務を受け取る確認書
  • 労務に関連する書類(雇用契約書等)

施行日:2024年7月1日
出所:パートナーシップ及び株式会社の設立、増資登記及び株式会社の増資合併登記の申請の基準及び書類の規定に関する中央パートナーシップ及び会社登記局の命令No.1/2567


このニュースアップデートの目的は提案事項の理解を容易にすることであり、事前に専門家に相談せず、税務計画のためだけに使用しないようご留意ください。



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